三日月は雲海の中 御殿山縦走(2001.29)


  
P・@〜E
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年末だって

何かと話題の多かった2001年も,年末。世間は,帰省ラッシュやお正月の準備で大騒ぎですが,世俗と?家族と?無縁の我々は,今日も今日とて,山歩きです。今回は,久しぶりにwithMTBです。目的地は,三日月町の御殿山。ここは,あまり標高がない上に,新しい高圧線が尾根上を通っていてます。しかも,その尾根は,あまり高低差がなく,MTBで極楽尾根走りができそうです。でも,もちろん,地形図には破線すらありません。不安と期待をもって,三日月町へ。

相生から播磨科学公園都市を抜け,濃い霧に包まれた三日月町に入ります。三方里山のふもとから「味わいの里三日月」(P)へ。車をとめ,MTBの準備です。周りは濃い霧に包まれ,これから登る御殿山あたりの山々が全く見えません。地形図では,すぐ上の鞍部から尾根を登ることになりますが,行く先が見えないのは困りものです。

ガス,ガス,ガス

とりあえず,地形図通りに,すぐ上の鞍部を目指します。墓地の横から,ゲートを過ぎ,ゆるやかな山道を登ると,「火の用心」が立っています。ここが峠(@)でしょう。道ばたには,石の道標があります。「左 夢サキ 右 市…」これから行く御殿山は,北へ巡視路を進みます。南にも,巡視路が延びています。正面には,山道が続いています。あまりにもきれいな道なので,チョット調査です。行ってみると,谷の向こうからは,車の通れる林道になっています。そして,さらにその奥に山道は続いています。調査を終え,再び峠へ。

プラ階段を登り,尾根道を進みます。ところどころに倒木がありますが,下りならMTBに乗って,極楽ダウンヒルです。しかし残念ながら,登りなので,押し&担ぎです。ガスの影響もあって,頭上の木々から水滴が落ちてきます。路面に敷き詰められた落ち葉もぬれています。晴れていれば,展望もいいだろうし,落ち葉のじゅうたんも気持ちいいでしょう。チョット残念です。

ガスで白っぽい景色の中を進みます。地形図から想像していたよりはゆるやかな道で,MTBに乗車可能なところがあるほどです。尾根の合流地点からは,巡視路は御殿山の南を巻き高圧線鉄塔へ。御殿山山頂へは,鉄塔からさらに登ります。山名を表すプレートはなく,三等三角点(標高351.0)(A)があるだけです。日陰には,1週間前の雪が残っています。今シーズン,初めて見る雪です。

予想通りの極楽尾根道

さて,これから待望の尾根縦走です。頭上を見ると,高圧線が尾根に沿って北に延びています。この高圧線がある限り,巡視路があり,きれいな道になっているハズです。ということは,MTBでも乗車可能の確率が高いということです。喜び勇んで,MTBのペダルを回します。なだらなか山道は,極楽そのものです。しかも,あたりにガスがたちこめているので,深山の趣があります。

気持ちよく下りきったところに「火の用心」があります。東麓の「春哉」への山道もあります。表示はありませんでしたが,西麓の東徳久へも山道は延びています。まだ,あたりはガスで白くなっているので,ふもとの展望は全くありませんが,頭上には青空がのぞき始めました。ガスの水分が凍りついて白くなった木々の枝からは,溶けた水滴がポタポタと落ちてきます。

小さなピークを巻きながら,快適に尾根縦走は続きます。なぜか,道が掘れていたりするので,まるでボブスレーコースのような所もあります。小さなピークからは,尾根が派生しているので,要注意です。地形図とコンパスで道を確認しながら進みます。予想通りの快適な尾根縦走に満足,満足です。そして,今日,2つ目の三角点(B)に到着。

  
御殿山山頂付近 Bから見るガスの縦走路
御殿山山頂付近
Bから見るガスの縦走路

展望のよさに感激

この三角点は,四等三角点で点名は間村です。西麓の集落の名前をつけたのでしょう。標高357.3ですので,先ほどの御殿山とは,ほとんど同じぐらいの高さです。さほど,アップダウンもなく,快適だったはずです。ここには,鉄塔があり,展望が開けています。北を見ると,後山から船木山,鍋ヶ谷山,駒の尾の連山が,雪をかぶって白く見えています。手前には,日名倉山も見えます。その左手には,2ピークの那岐山と滝山も見えています。南には,雲海の上に頭を出した赤十字山から多賀登山の尾根が見えています。想像だにしなかった展望のよさに,感激です。あまりの感激に?,少し早いですが,この展望を楽しみながらランチにします。

S田さんは,いつものように無線をしようとしていますが,無線機からは雑音が聞こえるだけで,誰も応答してくれません。まわりの条件がよくないのでしょうか,それとも,こんな年末にまで山で遊ぶ人はいないのでしょうか。さて,どちらでしょう。

  
Bから見る後山連山 植林の中を下る
Bから見る後山連山
植林の中を下る

展望を楽しみ,温かいランチで満腹になったところで,縦走の再開です。が,行く手を見ると,鉄塔はこの下の鞍部から東に曲り,尾根から外れてしまっています。こりゃあ,困った!鉄塔がなければ,その巡視路がなくなり,極楽尾根道も期待薄です。ここから,ピストンで帰るというのも,MTBの乗車率が高いので,悪くはありません。でも,とりあえず,下の鞍部まで行くことにします。

これまでの縦走路とは違い,薄暗い植林の中を進みます。まったく展望はありませんが,MTBには乗れるので,まずは満足です。そして,鞍部へ。ここは,地形図にもあるように,東西に山道があります。あとで,S田さんの調査によると「京坂」だとか。…峠とはいわないようです。S田さんの好きな石仏もあります。

このあたりから,倒木が道をふさぎ,路面は荒れ気味です。巡視路は,先ほどの京坂から下っているようです。あいかわらず,あたりは薄暗い林です。展望のない道をMTBを押しながら進みます。と,なだらかなピーク(C)着。見ると,「火の用心」があります。ということは,京坂からの道も巡視路だったようです。巡視路は,このピークから東に延びる尾根へ続いているようです。ということは,これからは巡視路ではない山道になるのでしょうか。尾根を偵察するものの,道らしいものはありません。ただ,すき間の多い木立になっているのが救いです。MTBが枝にからまる,ツルにからまる。乗車するどころか,前に進むこともままならない状態です。これから先が思いやられます。

ヤブヤブヤブの尾根縦走

地形図では,アップダウンの少ない尾根ですが,踏み跡すらなくなり,ヤブヤブヤブです。先ほどの巡視路を下るのが正解だったようですが,今となっては,引き返すのもシャクです。前進あるのみです。バキバキッ!バサバサッ!ガリガリッ!イッテテテェ〜!枯れ木の折れる音と悲鳴が,静かな山中に響きます。ますますひどくなるヤブを強引に突き抜けると,標高453.2の三等三角点(点名平松)があります。赤白の測量用のポールが突き刺さったままです。この三角点を訪れる人は,ほとんどいないのでしょう。このピークから263の鞍部までは,なだらかな傾斜の尾根です。でも,今までの様子からは,MTBに乗ることはとても無理でしょう。チョット残念です。

三角点で,しばし休憩。西と南の展望を楽しみ,縦走の再開です。三角点ピークからは予想通りのなだらかな尾根です。木立のすき間をぬって,強引にMTBに乗ります。が,それもすぐにダメ,ダメ。西の谷からは,猟犬の鳴き声が近づいてきます。ヤバイ!先を急ぎます。

  
点名平松三角点 大地と雲
点名平松三角点
大地と雲

道がないだけに,尾根をまちがえやすいので,地形図とコンパスで方向を確認しながら進みます。なだらかな尾根とはいえ,これではwithMTBの意味はまったくありません。やれやれ。いつもの?パターンです。鞍部の手前まで来ると,下に林道が見えます。西の漆野からの林道でしょうが,その林道を下ると,とんでもないことになってしまいます。進路を右手に取り,鞍部を目指します。S田さんの調査によると,この鞍部(D)は「渋坂」といわれているそうです。

最後のヤブ漕ぎを抜けると,そこは立派な林道です。尾根はまだまだ続きますが,もうこれ以上北上してもMTBに乗れるような尾根道はないでしょう。しかも,時刻は2時半ですが,日差しは夕陽のそれです。ここで,尾根縦走はおしまいです。結局,巡視路から北は,ほとんど乗車不能ということです。地形図では,なだらかな尾根が続いているだけに,道さえあれば…と都合のいいことを考えてしまいます。

林道を気持ちよく下り,ふもとの上真宗の集落(E)へ。あとは車道を下り,三方里山のふもとを通って,味わいの里三日月へ。途中の車道からは,ガスのなくなった縦走尾根が見えています。縦走中も,ガスがなければ,展望がもっとよかったことでしょう。入口では,「大地と雲 石野耕一 ’96西播磨石彫シンポジウム」と書かれた石彫が出迎えてくれました。


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