初冬の尾根歩き 富岡山・深山(2001.12.2)


  
P・@〜F
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地図と磁石を頼りの山歩き?

12月になり,いよいよ冬本番となるはずですが,先週から小春日和が続いています。ということは,冬場は積雪が予想される但馬地方の山にも,まだ行けるということです。S田さんと相談の上,富岡山・深山の縦走に決定。このコースは,『四季の山 西日本コース』(岳人編集)で紹介されていたものです。その記述に惹かれる部分があります。

富岡山は京都府北西端,兵庫県と接する天田郡夜久野町の山である。北西に床尾三山,東に居母山の山稜を並走させているが,床尾山などがよく登られているのに対して,富岡山は余り人に知られることもなく,静けさを保っている。今回,紹介する深山までの山嶺には明確な登山道もなく,あるかなきかの踏跡をたどることになるが,地図と磁石を頼りの山歩きも,また楽しい。
深山は地図には山名が記入されていないが,富岡山の北にある780m峰で,床尾山を別にすれば,この辺りの最高点であり,夜久野町の最高峰でもある。山中ではまず人に出会わないが,鹿の姿は必ずといってよいほど目にするであろうし,熊もいるという。冬,雪に閉ざされる前に,京都府の「辺境の山」を訪ねてみてはいかがだろうか。
(前掲書)

なんとスバラシイ雰囲気の山では,あ〜りませんか。しかも,深山からの下りには,ブナ林が広がっているそうです。でも,熊にだけは出会いたくはないものです。

地形図を見るかぎりでは,富岡山から深山までの尾根は,MTBに乗車可能です。でも,富岡山への担ぎ上げは,かなりきつそうです。しかも,深山からの下りだって,あまり乗れそうにありません。尾根だって,地形はなだらかでも,ヤブ漕ぎならもちろん乗車不能です。ということで,今回は,WithoutMTBです。

夜久野町から板生に向かいます。富岡山の東の谷をはさんで,居母山があります。S田さんによると,その居母山にはテッペンからMTB乗り乗りのコースがあるとか。これまた,そそられます。

『四季の山』では,富岡山の南西,三谷から林道を登るコースを紹介していますが,そこから登るとなると,深山から下山してからが大変です。10km近くの舗装路歩きを余儀なくされます。そこで,S田さんが「点の記」で調べたところによると,板生の公民館から登ると1時間だそうです。これだと,登り時間も短縮できますし,下山してからの舗装路歩きも半分ぐらいですみます。迷わず,S田さんの提案に賛同。

富岡山への正規ルートって?

板生の集落に着き,公民館へ。S田さんは,地元の人から富岡山への登山ルートの情報を収集しています。情報によると,公民館裏の谷を上り詰めると富岡山に行けるとのこと。廃屋前(P)に車を止め,鹿除けネットを過ぎます。しばらくは林道ですが,2つ目の砂防ダムからは植林帯の中の道になります。植林の中には,苔むした石垣がいたるところにあります。棚田跡のようなところもありますが,畑にもならないほどの狭い石垣の段々もあります。いったい,何のための石垣なのでしょう。

あいかわらず,暗い植林の中の道です。道はしだいに細く,急になってきます。獣道のような踏み跡があるものの,しだいに富岡山とは離れていきます。これでは,マズイ!もうこれ以上,離れるわけにはいきません。しかたがありません。目の前の急斜面を登るしかありません。急斜面を登りながら,徐々に富岡山に向かいます。と,右手に急斜面。この辺りでは珍しい雑木林の斜面なので,登れそうです。しかも,斜面の上がピークになっているようです。谷を登っても,最後は急斜面なので,ここは雑木林を登ることにしましょう。

登り始めると,急ですが,下草はなく,手足四輪駆動で登れます。頭上に見える明かりを目指して,獣のように四つん這いで登ります。それにしても,本日最初の富岡山でもこれだけのアルバイトです。さてさて,これから先がどうなることやら。いつものことですが,不安とあきらめの交錯したなんともいえない快感?です。

まったく展望のない富岡山

なんとか這い上がりピーク(@)着。木には赤テープが巻きつけられています。見ると,道らしいものがあります。三角点がないので,富岡山の北の大きなピークです。富岡山は,すぐ南のピークです。薄暗い植林の道を進むと,朽ちた測量櫓に囲まれた苔むした三角点(A)があります。そのかたわらには,注意書きのプレートがあります。

「このやぐらは基本測量に使用する測標です。展望台ではありません。あぶないから,のぼらないでください。 国土地理院」 

こんな朽ちた測量櫓に登れるもんなら,登ってほしいものです。しかも,こんな植林の中で,何を展望するのでしょう。少し南の尾根に進むと,南方向の展望がチビッと開けているだけです。赤テープは,南の尾根と南東の尾根に付いています。富岡山のメインルートは,どれなのでしょう。

山頂には山名表示板?もありますが,これもまたかなり古いものです。登山記念のプレートもあります。それにしても,見事なほど,展望のない山頂です。

  
富岡山の三角点 763ピークから見る粟鹿賀山
富岡山の三角点
763ピークから見る粟鹿賀山

縦走開始

再び,登ってきたピーク(@)に戻り,縦走尾根を確認します。ピークから見ると,東にはっきりとした尾根が見えています。でも,それでは縦走できそうにありません。地形図によると,縦走尾根は北です。その北を見ると,ヤブっぽい上に急な斜面なので尾根には見えません。でも,方角は北なので,ヤブを強引に突破すると,植林の向こうに鞍部が見えます。踏み跡も明瞭になり,予想外に快適な縦走路です。

鞍部から登ると,明るい雑木林の道になります。大勢で歩いたような踏み跡があり,テープもあちこちにあります。右手の木立の間からは,居母山が見えます。なだらかな尾根道は,まるでMTBのためにあるような道です。MTBがないのがクヤシ〜イ!でも,この尾根まで持って上がるのは,タイヘ〜ン!

あいかわらず,雑木に囲まれた尾根道をサクサクと歩く,この快感。ふつうならやっかいなササも,すっかり枯れてしまっているので,no problem です。静かな山中に,オッサンたちのうるさい声が響いています。Give me MTB!

意外に快適な尾根道

富岡山から30分ほどで763のピーク(B)に到着。いきなり,東方面の展望が広がります。目の前に居母山。その左手には,三岳山などが見えます。南には,アンテナ群の粟鹿賀山,さらには,篠ヶ峰,五台山,三国ヶ岳などのシルエットが見えます。逆光とはいえ,すばらしい展望です。それまでがあまり展望に恵まれなかっただけに,感動的ですらあります。

展望を楽しんだ後は,尾根道の縦走を再開。時間的にも,この先の706.1三角点ピーク(テッコウ山 点名栗尾)でランチタイムです。あいかわらず,気持ちのいい尾根道です。部分的には,植林が尾根までせまってきているところがありますが,ほとんどは雑木林の中の道です。下草はすっかり枯れ,踏み跡も明瞭です。もちろん,赤テープやビニールテープもあり,まったく迷うことはありません。ガイドブックにあった「今回,紹介する深山までの山嶺には明確な登山道もなく,あるかなきかの踏跡をたどることになるが,地図と磁石を頼りの山歩きも,また楽しい。」という記述は,現在では当てはまらないようです。チョットがっかり,チョットやれやれ。

30分足らずで,テッコウ山(C)に到着。登山記念のプレートがあります。「栗尾 760.1M  1996.11.26  榾火山の会」 あまり有名ではなさそうな山ですが,三角点は角が欠け,まわりには弁当箱などが散らばっています。ガッカリです。と同時に,怒りもこみ上げてきます。が,その怒りもそこそこに,東に広がった笹原でランチタイムです。富岡山に登り始めるころから雲が増え,しぐれ模様です。天気予報では快晴ということで,加古川も青空だっただけに,意外です。やはり,日本海側は天気の変化が早いのでしょうか。幸い,風がないのであまり寒くはありません。いつものローソン弁当とこうどん,仕上げはホットコーヒーです。お腹いっぱい。

  
赤テープでリンボーダンス 快適な尾根道も油断禁物!
赤テープでリンボーダンス
快適な尾根道も油断禁物!

テッコウ山からは,縦走路は残り半分です。あいかわらず,落ち葉のじゅうたんの道は,サクサクと気持ちのいい音がします。左手の木立の間からは,床尾山や鉄鈷山が見えています。木立の中の縦走路なので,展望はいつも良いとは限りませんが,その木立のおかげで冷たい風がさえぎられ,快適に歩けます。でも,いくら快適な尾根道とはいっても,足元には気をつけなければなりません。落ち葉の下には,何が隠れているか,わかりませんからね。

気持ちのいい尾根歩きを楽しむこと30分で,780の深山(D)です。ここにもゴールテープのような赤テープやビニールテープがあります。残念なことに,ほとんど展望はありません。予想外に快適だった縦走は,いよいよフィナーレが近づいてきました。次のピークからは県境尾根を下るだけです。

  
深山の赤テープでゴールイン! 県境尾根のブナの谷
深山の赤テープでゴールイン!
県境尾根のブナ谷

すばらしいブナ林

深山から県境尾根はすぐですが,途中で踏み跡が分かれています。しだいに植林の方に下る踏み跡と,このまま尾根を進む踏み跡です。チョット?ですが,ここはとりあえず,県境尾根を目指し,尾根道を進みます。小さなピーク(E)に着くと,県境を示すコンクリート杭があります。南東の尾根に下る道は明瞭ですが,北に向かう尾根道はあまりはっきりはしていません。ここは,地形図で慎重に確認です。下りで迷走というのは,今までに幾度となく経験したことです。

方角を定め,北西の尾根を下ります。それまでの縦走路ほどのきれいな道ではありませんが,落ち葉に残った踏み跡はわかります。と,左手に谷が見え始めると,ブナの林が広がってきます。一面,ブナの落ち葉におおわれたなだらかな谷は,富岡山・深山縦走を成し遂げた者だけが見ることのできる,大自然からのご褒美です。

境界尾根は小さいうえに境界杭が見当たらないので,わかりにくいですが,地形図を見ると明らかです。北面の急斜面もポイントです。551地点は,少しなだらかな尾根になっています。ここからは,コンクリート杭があります。ガイドブックでは,西の大きな尾根を下ったようですが,それは境界尾根ではありません。境界尾根は,北西に少し下ったところから続いています。ここからは杭もあり,切り開きもはっきりしています。下草や倒木があり,少し歩きづらいですが,それさえなければMTBでも極楽ダウンヒルコースです。

車道歩きも,また楽しい

植林が目の前に見えてくると,車道が見えてきます。県境は植林の中ですが,最後の最後まで雑木林のサクサク道を楽しみ,車道(F)着。14:20 登り始めから下山まで,5時間ほどの行程です。富岡山への登りは,チョットきついものの,あとは極楽,極楽。楽しい尾根歩きでした。

このあとは,車をとめた板生に向かって,車道を下るだけです。ヒッチハイクをしてもいいのですが,歩いているといろいろな発見があります。

発見その1 現世スキー場。小さいながらもナイター設備があります。ゲレンデでは,ササを刈っていました。ところが,リフトが見当たりません。ロープトウなのでしょうか。それとも,もう廃止になっているのでしょうか。

発見その2 第一村人。何なさってんですか?地蔵堂で世間話に花を咲かせている4人のおばあちゃん。話を聞くと,鉄鈷山近くにのびている林道の法面から化石が出たとか。これは要チェックです。

発見その3 S田さん曰く,ここの石仏はいろいろなアイテムが満載されていて,表情もおもしろいとか。

発見その4 道の脇に,頑丈なおりを発見。犬でもないし,馬でもなさそう。早速おじゃましてみると,中にはイノシシが5〜6頭がいました。その表情は,なかなか可愛い。

車道歩きもなかなかいいものです。

大油子玄武岩

着替えを終え,帰路についた時,道路わきに玄武岩を発見。小規模ながら,見事な節理です。そういえば,この夜久野町は地学的に見るべきものが多いところです。京都府唯一の火山である宝山。化石を産する石灰岩。夜久野鉱山。

大油子玄武岩

宇宙空間に浮かぶ地球,何十億年にもわたって度重なる地殻変動をうけた地球,またその上にあって進化しつづける生命,そしてその中では露の命にも似た人類の歴史からは,はかり知れない地球の不思議の数々,今この地に立って,悠久の過去に思いを致すとき,生けるものの命の,平和と繁栄を願わずにはおれない。
今日の地質学によって,地質時代の地磁気の移動や逆転が明らかにされているが,夜久野ヶ原を作るこの玄武岩は,玄武洞のそれと共に,松山基範博士により研究測定され,世界で初めて過去の地磁気の変化が立証された歴史的記念物である。
「京都大学理学部地質学教室」 理学博士 中沢圭二教授

  
大油子玄武岩柱状節理
大油子玄武岩柱状節理

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