去りゆく夏に秋の気配 段ヶ峰・フトウガ峰・達磨ヶ峰縦走(2001晩夏)


  
P・@〜D
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再び,1000m級へ

記録破りの猛暑?になった今年の夏も,終わりに近づいてきました。朝晩は過ごしやすくなり,日中は湿気の少ない暑さに変わってきました。1000m級の山々では,秋の気配がしています。これからは,山行きの絶好の季節です。

今回は,播但境界に高原状にのびる段ヶ峰,フトウガ峰,達磨ヶ峰の縦走です。5〜6年前にも,同じコースをwithMTBで行ったことがあるのですが,今回はソロツーリングです。

段ヶ峰は二等三角点のある西端の高地から東に向かって,延々と豊満な山稜をのばし,南を栃原谷,北が菖蒲沢によって深くえぐられた,山というよりも高原に近い山容で,稜線上は気象の関係か,低い潅木,低いクマザサ,短い草原におおわれ,のびのびと明るく,展望をさえぎるなにものもない自由の天地である。そしてフトウガ峰と呼ぶいちばん広い高原状の台地の東端でキレット状に落ちこみ,その先で山稜は細まり人をよせつけないヤブと密林がつづくが,最後の東の端に至って達磨峰(912m)をもたげる。(『兵庫の山やま 総集編』多田繁次)

段ヶ峰から達磨ヶ峰への稜線は,尾根というよりも高原です。そのなだらかな草原がwithMTBには恰好です。しかも,段ヶ峰への登山口である千町峠までは林道が通っているので,MTBに乗って登ることができます。段ヶ峰からのなだらかな尾根も,乗車率は高かったような記憶があります。しかも,段ヶ峰やフトウガ峰からの展望に,大いに期待がもてます。

極楽,林道の登り

栃原からゴルフ場に向かって急坂を登ると,「段ヶ峰登山口」の標示があります。少し登ると,広場です。以前は,ここに国民宿舎生野荘があったのですが,今ではただの空き地になっています。先月の峰山高原レクセンといい,生野荘といい,それまであったものが次々につぶれていくのは,チョットわびしいです。

広場には,先客のものらしい車がとまっています。歩きで登山の人は,ここから達磨ヶ峰,フトウガ峰,段ヶ峰と登っていくのでしょう。登山口の案内板にも,そのように書かれています。その案内板の横に,「クマに注意」なんて標示があります。いつごろに立てたものかわかりませんが,今でもクマが出るというのでしょうか。何年か前には,クマが出没したようですが。まさか,最近のことでは…。

ゴルフ場を見ながら,別荘地を抜けます。別荘地は,個人の別荘や会社の保養所が多いようです。なんともうらやましい限りです。バブル期に林立した別荘地とは違って,落ち着いた雰囲気があります。近くには,プチホテルカッセルもあります。テニスコートもありますが,今日は誰もプレーをしていません。

舗装路は,一旦は下り,栃原の集落から登ってきた道と合流し,再び登ります。「通行止め」の看板が立っていますが,MTBなら大丈夫でしょう。間もなく,舗装路がアスファルトからコンクリートに変わり,やがて地道に変わります。地道といっても,荒れていないので,普通の乗用車でも問題なく通行できます。さほど斜度もなく,快適に登れます。と,いきなり,大型トラックが見えます。どうやら,工事をしているようです。このために「通行止め」となっていたようです。重機の間を抜け,工事のおっちゃんに峠まで行けることを確認し,再び林道を登ります。

左手には,ヒシロガ峰,フエバノ峰などが見えます。杉谷には,きれいな案内板があります。それによると,ここから,フトウガ峰に登ることができるようです。谷に沿って,道もあります。左手の谷はしだいに深くなってきます。尾根をまき,倉谷に向かうと,前方にはこれから登る段ヶ峰からフトウガ峰へのなだらかな草原の尾根が見えます。ガレ場を過ぎると,今度は前方に千町峠が見えます。峠からヒシロガ峰に向かって林道工事をしているようです。峠近くに登ると,右手後方に林道がのびています。おや?この林道がこのままのびれば,フトウガ峰をぶち抜くことになるかもね。そりゃあ,アカンやろ!

千町峠(@)には,悠友山荘があります。珍しいことに,持ち主らしい人がいます。山荘の奥では,建て増し工事をしています。電気も水道もないこの地で,別荘とは。でも,登山者の多い段が峰の登山口にあるのは,チョットにぎやかすぎやしませんか。

段ヶ峰へ

植林の中の道を登ります。本日の初担ぎです。MTBに乗り始めた頃は,この登りがけっこう辛かったのですが,今では担ぎや押しにすっかりマヒしてしまっています。植林帯を抜け,ササの中の道を登ると,左手に展望が開けてきます。このあたりから尾根道になり,さほど斜度はありませんが,ササと草で道が見えません。MTBに乗っても,路面が見えないので,チョット不安。道すらわからないところもあります。前方に段ヶ峰の山頂が見えるようになると,さらに展望はよくなります。後方には,千町ヶ峰の大きな山容が見えてきます。左手には,笠杉山から段ヶ峰へ縦走した時の最後のピーク1088(西段ヶ峰?)が見えています。

最後の登りを終えると,1103.4mの段ヶ峰山頂(A)です。二等三角点のピーク(1087m)は,もう少し北ですが,どちらのピークも,すばらしい展望です。北には氷ノ山が見えています。が,今日は三の丸付近からは雲がかかり,山頂は見えません。頭上を見ると,黒い雲が広がり,朝の青空は見えません。まるで,冬の雪雲です。今にも雨が降ってきそうです。これはちょっとヤバイ!

快適尾根道

しばらく,展望を楽しんだ後,フトウガ峰に向かってGO!人一人が歩ける程度の道=シングルトラック(ST)の所々に岩や木の根が出ていて,テクニカルコースです。でも,足元までのササや草木なので,見晴らしは抜群です。高度感もあり,この縦走路で一番気持ちのいいコースです。ゆるやかに下り,樹林帯に入ると,小川を渡ります。倉谷の源頭部ということですが,こんな尾根に水が流れているのは不思議です。

  
フトウガ峰への草原の尾根 フトウガ峰山頂
フトウガ峰への草原の尾根
フトウガ峰山頂

再び,草原の中のSTになり,段ヶ峰を後ろに快適に進みます。フトウガ峰山頂手前の分岐(フトウガ峰分岐 杉谷登山道 町道まで40分⇔段ヶ峰山頂40分 登山口70分)を過ぎ,草原の山頂(B)へ。駐車場から約2時間。12時になったので,ランチです。誰もいない山頂で,のんびりとランチですが,しだいに寒さを感じるようになってきました。さすが,標高1000mです。上空の黒い雲の影響もあるのでしょうが,まだ夏だというのに寒いとは。山頂にも,標示があります。(フトウガ峰山頂標高1083m 段ヶ峰山頂45分 登山道75分⇔達磨ヶ峰山頂80分 登山口110分)

ランチを終え,展望を楽しみます。まず,北西には氷ノ山。あいかわらず,山頂付近は雲の中です。その東には,鉢伏山とハチ高原スキー場が見えます。さらに東には,東鉢伏スキー場も。妙見山や蘇武岳のシルエットも見えているかも。東方面には,山頂にアンテナ群のある粟鹿山。手前には,青倉山。その続きに朝来山。粟鹿山の右には,三国岳,千ヶ峰。その奥には,篠ヶ峰まで見えています。南には,笠形山の雄大な姿が見えます。少し西を見ると,暁晴山も見えます。西には,黒尾山の鉄塔も見えます。一山,阿舎利山,三久安山もならんでいます。まさに360°の展望台です。

達磨ヶ峰へ

  
フトウガ峰からの草原の下り 達磨ヶ峰山頂
フトウガ峰からの草原の下り
達磨ヶ峰山頂

気持ちのいい山頂をあとに,草原の中のSTを下ります。しばらくすると,前から二人のハイカーです。駐車場の先客です。前方の大岩で記念撮影。ここからは,少しガレた急坂です。道は,しだいに植林の中に入っていきます。展望がないのが残念です。道もガレ気味で,MTBに乗ったり,押したりです。下りきったところ(C)が,最低コル(最低コル 北西へ段ヶ峰85分 東へ菖蒲沢を経て生野駅110分 南東へ達磨を経て生野荘90分)です。

915のピークに向けて,久しぶりに担ぎです。左手には,伐採跡が広がっています。ピークからは,ほぼ平坦な地形ですが,道が草で見えません。MTBに強引に乗ってみるものの,道がわからないので,すぐに脱線してしまいます。道の両側からはり出したススキや木の枝で,うでや足に小さなすり傷がついてしまいました。風呂に入ると,この傷口がヒリヒリ,これまたイイ気持ち?やめられまへんなぁ〜?

少しアップダウンのあと,前方に達磨ヶ峰が見えてきます。

山頂のドームから南面一帯の,青草におおわれたダルマさんの,でっぷり太ったおなかのような山膚が,火山状のスロープを描いて,栃原高原へと流れる線形の滑らかな美しさは何にたとえようもない。さらにその単調さを破るように,ダルマの目玉のような露岩や,可憐な草花や,ヤマツツジの紅の調和感―。(『前掲書』)

あいかわらず,草で見えなくなった道を探しながら,進みます。右手下には,ゴルフ場が見え,後ろには,段ヶ峰から下ってきた尾根が続いています。ゴルフ場全体と栃原の集落が見えるようになると,達磨ヶ峰はもうすぐです。長細い尾根を進むと,小さなピークが現れます。達磨ヶ峰山頂(D)です。

達磨ヶ峰からの下りは,急で,ガレ気味です。押しと担ぎで下りますが,それではくやしいので,ところどころで短い距離でもMTBに乗ってみます。しだいに,セミの鳴き声が大きくなり,周りに松の木が多くなり,急に周りが明るくなると,目の前に広場(P)が見えます。縦走路の終点です。

縦走は秋がいいかも

フトウガ峰から約1時間。快適な下りあり,ガレ場あり,押しと担ぎあり,変化に富んだ縦走路でした。MTBの乗車率も高く,満足,満足です。これで天気がよければ,もっと景色がきれいだっただろうなぁと,欲が出ます。時期としては,やはり秋がいいでしょう。夏草の生い茂る今の時期は,道がわかりづらい上に,ササなどで手足に切り傷ができてしまいます。秋なら,ススキの穂もきれいでしょうし,秋の花も咲いているでしょう。それに,空が澄んでいるので,360°の大展望をより楽しむことができるでしょう。でも,ハイカーが多いかも。


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