新旧2つの山頂 那岐山(2001.8.25)
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やはり1000m
暑く,長かった夏が終わりに近づき,山では秋の気配が感じられるようになってきました。といっても,近場の低山は,まだまだヤブとクモの巣と残暑の三重奏です。ということで,今回も,先日の扇ノ山に続き,1000m級のお山に行くことにしました。同行のS田さんも同じ意向のようで,那岐山に即決。あわよくば,滝山にも…とも考えています。那岐山は,岡山県でも有数の人気スポットとかで,あまりたくさんの登山者がいるとwithMTBはヒンシュクものですが,残暑の厳しいこの時期には登山者は少な目でしょう。ただし,MTBの乗車率は,あまり高くはないようです。
押しと担ぎの登山道
中国道から迷いながらも那岐山のふもとへ。上の第3駐車場(P)に車をとめ,MTBで出発です。はじめは,林道の登りなのですが,すぐに「登山道入口(B・Cコース) おつかれさまでした」の標示を発見。ここから登り始めるようです。植林の中のガレた道です。ところどころで,道は,植林の中に迂回しています。そりゃそうでしょう。岩だらけのガレた道より,植林の中のふかふかの道の方が歩きやすいもの。でも,MTBに乗車は不能です。
15分ほど登ると,再び林道(@)へ。なんのこっちゃ?!さっきの林道を登り続ければ,ここまで来れたのです。ガレガレの道を担ぎ上げるより,林道を乗って登る方がよっぽど楽だったし,早かったでしょう。チョットくやしい。「Cコース那岐山2.1km」の標示と,那岐山についての説明があります。チョット,お勉強。
那岐山国有林
- 国有林のおいたち
那岐山国有林は,岡山,鳥取の県境に位置し,この地形は全般に急であり,山の高さは海抜500m〜1240mの範囲にあります。この国有林は,版籍奉還により旧藩領が,明治5年に国有林野となったものです。- 気候 自然
この地方の気象条件は年間降水量約2000mm,最深積雪は,約2.0m,積雪期間は11月中旬〜4月上旬で年間平均気温は,約12℃となっています。森林植物帯上,水平的には,暖帯北部,垂直的には暖帯から温帯下部に属しています。基岩は花崗岩,流紋岩からなり,土壌は黒色森林土壌でスギ,ヒノキの適地が多く生育状況は,おおむね良好です。また多くの野性野獣も生息しています。なお夏から秋に来る台風の影響で那岐山麓に吹き荒れる「広戸風」は全国的にも知られています。- やくわり
総面積431haを全て水源かん養保安林としているほか,311haが氷ノ山,後山,那岐山国定公園に,73haがレクリエーションの森(那岐山風景林)に指定されており,各種の公益的機能発揮のための森林の維持造成に努めています。近畿中国森林管理局 岡山森林管理署
途中でも,森林教室のようなスポットがあります。イラスト入りで,森林の役割などを説明してます。木のイスや簡易トイレ?まで完備しています。でも,この施設を利用した人は,今までに何人いるでしょう。素朴な疑問を感じつつ,さらに登ります。10分ほどで,水場です。先日の扇ノ山の肌を刺すほどの冷水ではありませんが,それでも汗だくの身体に気持ちのいいわき水です。一息ついたところで,再びMTBの担ぎです。
眼下には日本原
登りはじめから約1時間。ようやく,五合目の標示です。単純に考えれば,これで中間地点です。あと1時間です。しばらく登ると,薄暗い植林帯から明るい自然林へ出ます。ブナやナラの葉のやわらかな緑がきれいです。尾根に出ると,大神岩(A)です。「大神岩標高1000m」の標示があります。ここには,木のベンチもあり,格好の休憩ポイントです。早速,大神岩に行って見ます。なるほど,尾根の先端でもあるので,下界の日本原の景色がきれいに見えます。ただ,今日は白っぽくモヤっているのが残念です。
「バリバリバリ」「ドーン!」…?昼間っから花火大会でもないでしょう。カラス除けの脅しでもないでしょう。那岐山のふもとには,広大な自衛隊の演習場地があるので,自衛隊が機関銃や大砲をブッ放しているのでしょう。チョット興ざめです。行財政改革が叫ばれている今日この頃,自衛隊についても「聖域なき改革」の手が入るのでしょうか。
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大神岩からのしばしのMTBライドを楽しみ,また押し&担ぎです。これから主尾根まではさほど距離はありませんが,途中の岩に「落書き」が彫られています。昔,修験者がこの霊峰で修行をしている時に刻んだものなのでしょうが,要は「落書き」でしょ?ここ以外にも,先ほどの大神岩にも彫られているそうです。なんとも,まぁ。
山頂は2つ?!
樹林帯を抜け,ササの斜面に出ると,山頂はすぐです。那岐山の山頂は,三角点のある山頂が旧山頂(B)で,その東に見える山が新山頂なんだそうです。国土地理院の地形図では,旧山頂が那岐山山頂1240と記されています。三角点山頂には,ログハウスの避難小屋があります。こちらは,鳥取県が建てたものだそうです。平成6年建設というと,扇ノ山の山頂避難小屋と同時期です。造りは,氷ノ山二の丸にある避難小屋に似ています。WCまで完備です。この山頂に,那岐山の山頂についての標示があります。
那岐山の最高地点標高標示
最高地点標高1255m(新那岐山表示) 三角点表示1240m(旧那岐山表示)
2001.3.13国土地理院
この山頂からは,滝山への縦走路が見えます。ササ原の中につけられた1本の道が,縦走への意欲をそそります。また,ここからは,鳥取県側に下りるコースもあります。「西字塚下りコース避難小屋1100m」小屋の前のササ原には,古びた「風穴」の標示があります。あたりに風穴があるのでしょうか。探してみたものの,結局見つからず。だいたいやねぇ,こんな山頂に風穴なんてあるの?ナゾです。三角点付近には,「水場」の標示もあります。こんな山頂に水があるなんて,オドロキです。
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少し早いですが,ランチタイムに。広大な日本原を眺めながらのランチは,うまい!東には,Aコースの1009.5のピークも見えています。Aコースの下りは,なかなか楽しそうです。これだけの斜面なら,MTBで下ることができそうです。Aコース全てを下るのは,チョット大変です。ならば,Aコース途中の鞍部からBコースへ出るというのなら,いいかもね。しかも,鞍部は林道終点のようになっています。林道がこちらの谷に下っているようなら,なおよろし。ダメでも,Bコースとはそれほど離れていないので,なんとかなるでしょう。決定です。あいかわらず,自分の都合のいいようにしか考えない2人です。今までに何度も痛い目にあったというのに…,学習能力無しです。
S田さんは,いつものように,食べることより無線に夢中です。誰かのHPで,未だに無線をする人がいる!なんて書いていましたが,世間一般から見ればアマチュア無線って,「レッドデーターブック」ものなのでしょうか。ランチを終えて,地元の登山者とおしゃべりです。あれこれしゃべっていると,いつの間にか時間が過ぎ,もう滝山に行く気がなくなってしまいました。それよりも,Aコースの下りが楽しみです。
1時間近く山頂で過ごしてしまいました。これからは,MTBのお楽しみです。山頂から少し下ったところにも避難小屋があります。こちらは,奈義町が建てたもののようです。コンクリート造りの建物で,中には炉があり,宿泊も可能です。窓が小さく,薄暗いのが難点です。避難小屋からすぐの所には,岩場があります。ここから,新山頂まではMTB担ぎです。
新山頂(C)は,あまり広くはありませんが,旧山頂同様にすばらしい展望です。石碑もあります。
那岐山海抜1240m
中国山脈の霊峰那岐山は昭和44年4月に国定公園に指定
昭和59年4月吉日建立 岡山県奈義町 奈義町観光協会」
でも,実際は,この山頂は1255mの標高があり,地形図では無名のピークになっています。それにしても,どうして,こちらのピークが那岐山山頂でなかったのでしょう。三角点ピークから見ても,こちらのピークの方が高いというのは,明らかだと思うのですが。昔は,どちらのピークが那岐山山頂だったのでしょうか。
Aコースは「楽あれば苦あり」
さて,これからは快適な?尾根道です。少しのアップダウンがあるものの,MTBで楽しく走れます。ただ,大きな石があるので,つまづいて前転しそうです。開けた尾根道を楽しみ,やがてAコースとBコースの分岐へ。さらに尾根道を進むと,「那岐山登山道上り(頂上へ0.6km) 東仙コース下り河津原奥本 岡山県奈義町へ」の標示があります。この1201地点(D)からは,県境に沿って黒尾峠に下る道と,北の奥本に下るコースが分岐しているようです。もちろん,我々はAコースの尾根下りです。
しばらくは快適な尾根道です。まるで,氷ノ山の三の丸からの下りのようです。道のあちこちに出ている岩にスリルを感じながらも気持ちのいい下りです。が,極楽はいつまでも続きません。いきなり,斜面が急になり,あぶない!地位?も名誉?も扶養家族!もあるボクは,早速押しです。しかし,そんな邪念?のないS田さんは果敢に挑戦。結局,…自爆。amen!やはり,「楽あれば苦あり」が浮世の常です。
さほど急ではない下りですが,真ん中に水の流れでできた溝があり,あちこちに石が転がっています。その上,草や木の根が張り出し,歩いているだけでもコケそうです。路面さえよければMTBに乗車可能です。ところどころで,植林の中を強引に下るものの,長続きはせず,結局,押しと担ぎの下りとなってしまいました。やはり,遠くから見たのと,実際に行ってみたのとでは,違いますねぇ。
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目論見通りにBコースへ
それでも,部分的にはMTBに乗って下り,鞍部(E)へ。山頂から見た通り,林道の広場になっています。Aコースは,正面の斜面を登るようになっていますが,我々は,Bコースがあるであろう谷を目指します。林道はBコース方面に下っているものの,すぐに終点。しかし,Bコースがある谷は,すぐそこなので,植林帯を強引に突破することにします。なぜか,古びたテープがあります。植林帯の中を快適?に乗車。小さな尾根を下ります。地図で確認し,さらに下ると,すぐに渓流と道に出会います。5合目という標示(F)があります。ここは,Bコースの5合目地点のようです。さほど苦労もなく,Bコースに出ることができ,ラッキーです。これを「ヒョウタンからコマ」というのでしょうか,「天は自ら助くるものを助く」「信じるものこそ救われる」「犬も歩けば棒に当たる」というのでしょうか。
目論見通りの快挙?に気分をよくして,Bコースを下ります。植林の中の道ですが,傾斜がゆるやかで,路面もいいので,MTBで快適ライドです。薄暗いものの,日の光がさえぎられ,身体に当たる風もいい気持ちです。崩れかけた作業小屋を過ぎ,木の橋を過ぎると,Cコースとの合流点です。すぐ下の林道に出ると,駐車場までは間もなくです。
中国地方の名峰那岐山に登ることができ,満足です。Cコースで登り,AコースからBコースへ下っただけなので,距離は短かったものの,尾根や山頂からの展望がすばらしかったです。今度は,その展望を楽しみながら,滝山への縦走もしてみたいものです。時期は,秋の紅葉の頃がよさそうです。その頃は,空気も澄み,大山や兵庫県境の山々も望めることでしょう。また,お楽しみが増えました。