早春の播磨灘 嫦峨山(2002.2.3)
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雨のち晴れ
朝まで降り続いた雨がようやく上がり,明るい太陽が顔をのぞかせ始めました。青空も少し見え始めています。昼からですが,ちょっとお外に行くことにしました。行き先は,御津町室津の嫦峨山です。この山は,先日,「兵庫の山々 山頂の岩石」で記録をUPされていました。見ると,鳩が峰から嫦峨山,その北東尾根と縦走できるようです。あまり長い距離でもなく,播磨灘を臨みながら山歩きが楽しめるというので,この山に決定。ただし,withMTBが可能かどうかは,行ってからのお楽しみというところです。
R250で姫路を抜け,揖保川を渡って御津町へ。左手には,梅林で有名な綾部山が見えます。正面に見えるのが,嫦峨山からの北東尾根のピークでしょうか。なぜか,このあたりは,交通の取締りが盛んです。もちろん,安全運転のボクが取り締まられるわけがありません。
岩見港を過ぎるあたりで,右手に坂道があります。この道の先から北東尾根に登ることにします。名田忠山荘の看板が目印です。登り始めるとすぐに海が見え始めます。この坂は,すばる坂という名前だそうです。由来は?です。展望のいい車道を登り,名田忠山荘を過ぎると未舗装路になり,左手の谷には産業廃棄物処理場のような所があります。その先(P)の路面はかなりえぐれています。終点はすぐなので無理をせず,車をとめます。
やっぱ withMTBでしょう
歩きでもいいかなぁと思いながら,左手の尾根を見るとさほど高低差はありません。う〜ん,ここはやっぱ,withMTBでしょう。ところが,この選択が…。MTBの準備をしながら海を見ると,おだやかな播磨の海に男鹿島が見えます。加古川では日差しもあったのですが,このあたりは黒い雲が空をおおっています。太陽が出ていれば,播磨の海がもっときれいに見えるでしょう。残念です。
車道の終点は,ダイセル化学工業の敷地です。境界にはフェンスが張り巡らされています。フェンスには侵入を警告する看板まであります。警察の看板があるなんて,初めて見ました。フェンスの手前には「自然観光…道路整備…」の看板もあります。
不法侵入者は住居侵入罪(刑法第130条3年以下の懲役又は10万円の罰金)・金網を破った者は器物損害罪(刑法第261条3年以下の懲役又は30万円の罰金)に罰せられます。 兵庫県龍野警察署
立入禁止 当社敷地内につき無断立入を禁ずる。 ダイセル化学工業株d磨工場
尾根への登り口は正面のピークにあります。急な登りには新しいロープが設置されています。赤ペンキは古そうですので,尾根道自体は以前からあったものなのでしょうが,最近,整備し直されたのでしょう。MTBを担ぎ,急な上りを登ります。ロープがあるので大助かりです。
有刺鉄線沿いの尾根道
すぐに尾根へ。やはり尾根道はなだらかです。しかし,すぐ脇には有刺鉄線のフェンスが尾根上を延々と続いています。それでも,しばらくは山道らしい道ですが,しだいに有刺鉄線脇の切り開きのような道になります。シバの切り株があちこちにあり,歩くのもイヤな道です。しかし,左手の斜面には,ところどころに岩場があり,そこからは播磨灘が見渡せます。岩見港に入港する船が一条の白い航跡を残しています。右手向こうには男鹿島と家島本島が見えます。振り返ると,東には姫路の臨海工業地帯が広がっています。
一つ目の228ピークを下ると,再び,有刺鉄線沿いの道になり,左右は雑木に囲まれ,展望はまったくありません。急坂を登りきると,左手に新しい切り開きの道(@)があります。おそらく,播磨灘を見ながら歩けるようにと,新しく整備された道なのでしょう。展望に惹かれて,早速行ってみます。
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左手に播磨灘を見ながらの気持ちのいい道ですが,路面に新しい切り株が目立ち,つまずきそうです。ほとんど勾配のない道ですが,MTBには乗れそうにありません。どうやら,右手のピークを巻きながら,嫦峨山への鞍部に出るようです。右手のピークも気になるので,再び,有刺鉄線沿いの道に復帰。しばらく登り,ピークに出るものの,あいかわらず展望のない,おもしろみのない道です。
ピークから少し下ると,新しい山道との合流点(A)です。ここは岩場にもなっているので,展望が開けています。正面には嫦峨山のピークが見えます。その左手には,唐荷島,その向こうには家島の島影が見えます。あいかわらず,海面はおだやかです。のどかな早春の海です。やはり,春の海はいいものです。
乗車不可の尾根道
展望岩場を下り,嫦峨山への鞍部に着くと,「ダイセル化学工業株式会社播磨工場」 の看板が立っています。ここからは,有刺鉄線は古いままで,尾根道から離れています。ようやく,山道らしい道になったものの,ところどころに岩が出ているので,MTBで下るのはちょっとムリっぽい。結局,この尾根道でMTBに乗ることができたのは,最初に登ったピーク付近だけです。なんのこっちゃ。やっぱり,等高線だけでは判断できませんね。
ほどなく,嫦峨山のピーク(三等三角点 点名七曲 標高265.8)(B)へ。尾根の取り付きから約45分ほどです。ピークには,なぜか三角点らしきものが2つもあります。脇には,測量の時に使ったと思われる古いポールがあります。その奥には,ダイセル化学の看板もあります。道は,北向きに下っています。おそらく,鳩が峰に下るルートなのでしょう。
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嫦峨山から室津へGO!
三角点の南には,大きな穴が四つあいています。その右手奥を見ると,赤テープがあり,細いながらも道があります。この道は,尾根の南を下る道なのでしょう。山頂から鳩が峰に下るルートは,今までと同じ,有刺鉄線沿いの道でしょう。しかも,展望も期待できないとあれば,赤テープの道を南下するのもいいかもしれません。途中で道がなくなっていれば,引き返してもさほど距離はないでしょう。ということで,鳩が峰から旧室津街道を通れないのは残念ですが,この尾根を南下することに決定。
極細シングルトラック(ST)は,とてもMTBに乗ることはできません。見ると,両脇には新しい切り株があちこちにあり,この道も新しく整備されたものなのでしょう。強引にMTBに乗るものの,長続きはせず。極細STなのでMTBを押して歩くにも,両脇の木々の枝や草にひっかかって大変です。でも,道はしっかりしているので安心です。ところどころに赤テープもあるので,このようすだと,室津の集落まで続いているようです。木立の間からは,大浦湾が見えています。
乗ったり押したりの下りですが,尾根が急に広がり,雑木の疎林(C)に出ました。気分よくMTBで下るものの,道が不明です。しばらく,あちこちしたあげく,尾根の真ん中を下ると,ポッカリ空いた空き地に出ます。下山ルートは,その空き地の先です。気持ちよく空き地を下ると,再び,うっそうと生い茂った雑木林の中の道です。それでも,MTBに乗って下れるだけマシというものです。
雑木林を過ぎると,いきなり,TVの共同受信アンテナに出ます。どのアンテナも東を向いています。これで下山は確実です。ところが,喜んだのもつかの間,下山ルートは竹林の中を下ることになり,倒れた竹がある,竹の切り株がある,枝が張り出しているでMTBに乗るどころではありません。赤テープはところどころにあるので,ルートは間違ってはいないようですが,最後の最後までガッカリです。
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水仙のお出迎え
ところが,室津の家並みが近づいてきた時,道の脇に水仙を発見。今季初めて見る自然の水仙です。思いがけない発見に思わずニンマリ。さらに下り,畑に出ると,水仙の群生の出迎えです。あたり一面に水仙のいい香りが漂っています。これまた,ニンマリ。目の前には,早春の日の光に映えた銀色の播磨灘が広がっています。取り付きから山頂まで45分,山頂から20分ほどで下山。短いながらも楽しい縦走でした。でも,MTBの乗車率が20%ほどだったのは,ちょっと誤算。でもまぁ,たまにはこんなこともありかなぁ。
R250に降り(D),このまま帰るのももったいないので,室津の町を探検です。まずは,港に沿って賀茂神社を目指します。室津は古くからある町ですが,歴史的な家屋は見当たらずちょっとガッカリ。港の出口付近の駐車場には大阪築城の際の石が展示されています。
巨石の由来
この巨石は,豊臣秀吉が大阪城を築いた時石垣に使用するため,西国の大名が運ぶ途中たまたま「室の泊」で海中に落としたものと言い伝えられています。その後約四百年の間灯篭の端とよばれた船着き場近くの海底に沈んだままでしたが,昭和四十七年室津漁港修築工事の際揚げられ,湊口番所跡(現在地)に置かれました。
こんな巨石の一つ一つを積み上げて石垣が築いていかれたのかと大阪築城の工事のようすや,多くの人たちの苦労のほどを偲ばせると共に室津の人たちや港に出入りした幾多の人びとの栄枯盛衰喜怒哀楽が織りなした歴史の多くを,私たちに語りかけているかのようであります。御津町観光協会
駐車場の奥から賀茂神社へ。この神社は,かなり歴史のある大きな神社です。賀茂神社から室津小学校の前を通り,藻振鼻へ。ベンチもあり,以前は展望がよかったのでしょうが,今では周りの木が高くなったために,あまりよくはありません。足元の断崖を見下ろすと,波打ち際の海の水がきれいです。冬だからでしょうか,とても澄んでいます。汚い海の代表のような瀬戸内海ですが,こんなにきれいな時もあるのです。さらに急坂を登っていくと,廃墟になったレストランがあります。その上の畑からは,播磨灘がきれいに見えます。まわりには,水仙が咲き誇り,白梅もチラホラ咲き始めています。さすが,海沿いの南斜面です。暖かさが違うようです。山城跡を見学し,再びR250へ。あとは,車までもどってチャンチャンです。
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