平成之大馬鹿門と後山連山縦走(2002.4.28)


  
P・@〜D
P・@〜D

季節の移り変わりが,少し早い今年の春。あちこちの山では,新緑が鮮やかです。春の大型連休の前半,残雪を見に行くのも楽しそうですし,新緑を楽しむのもいいでしょう。あれこれ考えた結果,久しぶりに後山連山を縦走することになりました。S田さんの記録によると,前回は5年前の6月に行っています。あの時は,見事な新緑の中で1000mの縦走路をMTBで楽しみました。あの感激をもう一度ってところです。

今回も,松ノ木フィッシングセンター近くの登山口からアプローチです。昨年までは,天然水が無料でしたが,今年は有料になっています。35リットル単位だそうですので,山登りの前にボトルに一杯というのはムリ?車を登山口の駐車場(P)にとめ,MTBで出発です。林道で登れる所まで登って,あとは担ぎです。板馬見渓谷沿いの林道は,車でも上がれますが,そうなると帰りにこの林道を上がらなければならないので,最初の元気なうちに林道を上がろうというわけです。

コンクリート舗装された林道は,時おり急になりながらも,MTBで乗って登れるのがうれしい。同行のS田さんは,「黒尾山を思い出す〜!」としきりに感激?しています。そういえば,黒尾山の林道も長かったよなぁ。でも,この板馬見渓谷の林道は,ところどころに石像などがあり,単調な登りにアクセントをつけています。「なめらの行者」像は,あいかわらずにこやかな表情です。右手の谷には,朽ちかけた木の橋がかかっています。

林道の脇には,スミレなどの野草が咲き,春一杯です。途中には,「後山頂上まで2850m」の標識がありますが,結局はこの山道も林道の終点にでてしまいます。林道の終点(@)は5年前とは違い,舗装された広場になっています。いよいよここから山道です。案内板によると,大馬鹿門まで2時間だそうです。かすかな記憶によると,この2時間はほとんどMTBを担いでいたはずです。

植林の中を登ると,二の沢の小屋があります。山道は,この小屋の中を抜けるように続いています。そして,宿坊跡へ。ここには三角屋根の避難小屋があります。毎回,ここを通るたびに不思議に思うのですが,「大壁忠司氏」って誰?ここでテント生活をしたからって,それがどうしたの?テント生活なら,大阪城公園に行けば,何年もテント生活を送っている人はたくさんいます。

大壁忠司氏板葉見山南興基地跡 この地でテント生活

岩小屋の不動尊 大自然の偉大な力によってえぐられた岩に,不動明王が祠ってあります。

掛橋の行場 丸木橋が谷の上に架けられていてこれを渡っていましたが時には罰に合い谷川に落ちる人もあったそうです。

この板馬見渓谷は,「48ヶ所にものぼる修験者の行場があり,西の大峰ともよばれている」そうです。宿坊跡の先にある不動滝は,昼なお薄暗く,渓谷には木の橋がかかり,深山の趣があります。あたりがそうであるだけに,木々の緑が一層鮮やかに感じられます。

渓谷を渡り,木の階段を登ると,山道は渓谷からはなれ,急斜面の登りとなります。途中には,石仏のある岩屋があります。でも,昔の人って,どうしてこうも,大岩巨岩,巨木を見ると,信仰の対象にしてしまうのでしょうか。アミニズムというのか,八百万の神への信仰というのか,「物」を信仰するにもほどがあるというものです。

  
不動滝の木橋 新緑あふれる谷
不動滝の木橋
緑あふれる谷

一般コースと大馬鹿門コースとの分岐に到着。もちろん,昭和之大馬鹿者は,迷わず平成之大馬鹿門コースへ。ここからは,山道の傾斜がゆるやかになり,おごしき山のある尾根に向かいます。植林から雑木林になり,なだらかな広い谷には新緑が広がり,明るさいっぱいです。思わず,足を止め,カメラを手にしてしまいます。

ひとしきり,写真を撮り,おごしき山(A)へ。おごしき山というものの,山という感じではなく,尾根の一部です。このおごしき山の大馬鹿門と北にある空山の大馬鹿門で一対の大馬鹿門というわけです。ということは,おごしき山と空山の大馬鹿門をお参りしてこそ,真の馬鹿というものです。これは,時間があれば,空山にも行かなければなりません。時間があれば…ですが。

平成之大馬鹿門の由来

                平成8年3月               京都仏教大学の門柱を石彫家・空充秋氏(香川県)が寄贈。                 
           平成8年2月               大学側が馬鹿という言葉は差別につながる。大学の門としてふさわしくない,又作者は実るほど首を垂れる稲穂のイメージ(還愚)の精神の思いと対立。
           平成8年5月               大学側と作者の間で両者話し合いがつかず撤去となり,全国的な「馬鹿」論争が巻起こり,平成之大馬鹿門騒動が起こった。
           平成8年9月               撤去された平成之大馬鹿門論議はその後マスコミを通して全国的話題を化すと共に,全国から門の誘致合戦が始まった。千種町は逸早くこの馬鹿門の誘致に情熱を燃やす。その結果千種町に寄贈されることが決定し全国の新聞,テレビ,ラジオを通して一斉に発表される。
           平成9年4月               ちくさ高原に平成之大馬鹿門の設置,4月1日(エイプリールフール)平成之大馬鹿門祭,平成之大馬鹿門大学村の設立,コンサートを開催。
           平成9年5月      千種町西河内593-8番地おごしき山,同町998-9番地空山にヘリコプターで設置される。

大馬鹿門からの展望は,あいにくの曇り空のため,あまりいいとは言えませんが,それでも氷ノ山をはじめとする但馬・播磨・美作の山々が見えます。これから縦走するダルガ峰もなだらかな稜線を見せています。少し早いですが,ランチタイムにすることにしました。もしかして,この連休で後山に登る人が多いと,ゆっくりとランチタイムができないかもしれないからです。いつものコンビニ弁当に,そばをいただき,満腹満腹。

大馬鹿門から後山までは1時間の登りです。満腹のおなかにキツイ登りです。細く急な尾根を登り,しだいに高度を稼ぎます。しばらく登ると,右手にちくさ高原スキー場がはっきりと見えてきます。5年前は歩きにくかったササヤブの中の道は,今ではすっかり踏み固められ,歩きやすい山道になっています。さらに登ると,ブナの林になります。まだ時期的には早いためか,葉を落としたままの枝が頭上に広がっています。

  
おごしき山平成之大馬鹿門 極楽快適縦走路
おごしき山平成之大馬鹿門
極楽快適縦走路

ブナ林からは後山山頂はすぐです。昼過ぎの山頂(B)には,たくさんのハイカーがランチタイムをしています。山頂までMTBを持って来た我々2人にビックリ。あきれるやら,バカにするやらで,どこへ行ってもハイカーからは同じような反応が返ってきます。しかし,まだ,MTBに反感を持たれていないので一安心です。首都圏の山のように,MTB入山禁止にならないように,ハイカーと自然保護にはくれぐれも気をつけなければなりません。

S田さんは,他のハイカーに山の説明をしたり,写真を撮ってあげたり,MTBの説明をしたり,そしてついでにいつものさむ〜いギャグの連発と,サービス?小さな親切大きなお世話?につとめています。山頂の祠は,ブルーシートで包まれています。その裏の樹木は伐採され,北の展望が広がっています。そのおかげで,山頂はほぼ360度の展望になっています。南には日名倉山,東は植松山,北には三室山と氷ノ山,そして西にはこれから行く縦走路が見えています。曇りがちの天気で,遠望がきかないのが残念です。

サービス?を終えて,いよいよ縦走の開始です。早速,気持ちのいい下りが始まっています。MTBを担いで上がった3時間をすっかり忘れ去り,極楽の縦走です。これがあるから,MTBはやめられまへ〜ん。しばらくすると,小さな登りに。登った小さなピークから振り返ると,後山の山頂が見えます。祠を包むブルーシートも見えています。さらに縦走路は続きます。ゆるやかな上りを登ると舟木山です。ここにも7〜8人のハイカーがいます。やはり後山は人気スポットのようです。

丸太の階段を下り,気持ちのいい縦走路です。残念ながら両側のササが,背丈以上の高さがあるので,展望がなくなってしまいました。ところどころにブナの木があり,山道の脇のあちこちには小さな花が咲いています。下りを楽しみ,ピークに登るたびに,後山が小さくなり,鍋ヶ谷山が大きくなります。なだらかな稜線が続き,明るい尾根道です。鍋ヶ谷山のピークには山頂を示すものは見当たりませんでしたが,目の前に駒ノ尾山が見えています。草原におおわれたように見えるその山頂には,案内板のような物が建っています。5年前の縦走では,行っていないだけに楽しみです。

鍋ヶ谷山からの急な下りは,階段があるのでスリル満点です。駒ノ尾山のピークを見ながら,縦走は続きます。小さなピークからは,駒ノ尾山山頂直下にある避難小屋も見えています。この避難小屋は,コンクリート造りで煙突まであります。ダルガ峰への縦走路は,駒ノ尾山には向かわず,この避難小屋から北に向かっています。150mほどのゆるやかな上りを登ると駒ノ尾山山頂(C)です。

山頂には,ストーンサークルのような日時計?があります。最近,この山頂が整備されたということですが,これほどまでに整備されると,山頂というより公園という感じがしてしまいます。でも,おかげでまわりの木々も刈りはらわれ,360度の展望が広がっています。これが青空の下だったらなぁと,つくづく思ってしまいます。後山の山頂で一緒だった中年ご夫婦に追いつき,犬連れの男性には追いつかれてしまいました。

  
駒ノ尾山山頂のストーンサークル 後山からの縦走路を振り返る
駒ノ尾山頂のストーンサークル
後山からの縦走路を振り返る

若杉地区と駒の尾山,後山を結ぶこの歩道は,延長約20kmで,樹齢200年のブナの天然林(若杉自然研究路),手入れの行き届いたスギ,ヒノキの美林(ダルガ峰),ドウダンツツジの群衆(駒の尾山),又県下最高峰の後山,それに続く舟木山,駒の尾山からの眺望はすばらしく,晴天どきには瀬戸内海を見渡すことができます。
途中には解説板,誘導標識,休憩舎などが整備されており,自然との対話をはかりながら利用できます。

駒ノ尾山から下り,再び,縦走路に復帰。縦走の再開です。しばらく快適に下りますが,やがて丸太階段の激下りに。テクニシャンのS田さんも,MTBに乗って下るのはムリのようです。激下りを下ると,再び,快適な下りが始まります。そして,鞍部へ。鞍部からは,正面のピークを巻くように山道が続いています。ガレ気味の道ですが,ほぼ水平の道なので,MTBで乗車可です。

ピークからの山道と合流し,鞍部に下ると,ダルガ峰への最後の登りです。最後とはいえ,急な登りです。MTBを担いでゆっくり登ります。幸い,距離が短いので,さほど時間はかからず,ダルガ峰(D)へ。このあたりは,平坦な樹林帯で,どこがピークかわかりません。でも,まわりは鮮やかな新緑でいっぱいです。まるで緑の海にいるようです。縦走のフィナーレを飾るにふさわしい光景です。あとからやってきた中年ご夫婦も感激の様子です。

新緑の海から植林の中に道に変わり,いきなりスキー場に飛び出します。第2リフトの終点。ちくさスキー場の最上部です。ここからは,メルヘンコース,ダイナミックコース,パノラマコースの3本のコースに分かれて下ります。すぐ近くのダイナミックコースでは,パラグライダーを楽しむ人たちが風を待っています。斜面を見ると,急ですが,路面がきれいなので,このダイナミックコースを下ることに決定。途中まで下ると,左の道を通るように言われて,やむなく山道へ。この道は,パラグライダーをする人が利用する道のようです。そして,第1リフト終点へ。芝生をMTBで走らないようにという忠告を受けたので,あまり芝生の生えてないメルヘンコースへ。路面は凸凹で,ガレ気味です。溝を横切り,スキー場の駐車場へ。

  
ダルガ峰の新緑の海を行く 雪ん子
ダルガ峰の新緑の海を行く
雪ん子

あとは,登山口まで舗装路を下るだけです。ロードレーサーほどのスピード感はありませんが,下りはやっぱり楽しいものです。ほとんどブレーキを使わず,ペダルを回すこともなく,下るがままにMTBを走らせます。途中で,空山からの縦走路の終点,高保木の森を確認。いつの日にか来るであろう空山大馬鹿門の予習です。今日は,時間切れで空山大馬鹿門にお参りできなかったのが,残念です。


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