稜線は別天地 大段山(2002.7.14)


  
P・@〜D
P・@〜D

お手軽大段山

降りそうで降らない中途半端な天候の週末。幸い,土曜日のサッカー観戦中は雨が降らず,しかもV神戸の久々の勝利に気をよくしての就寝でした。天気予報では,日曜日も台風の影響であまりいい天気ではないということでしたが,朝,起きてみると,きれいな青空が広がっています。8時は過ぎているものの,この天気はもったいない。お山に行きましょう。といっても,あまり時間のかかる山には行けません。となると,やっぱり,こんな時こそ大段山でしょう。予てから登ってみたかった山ですし,先週の高峰の下山路から見る堂々とした山容は,なかなか魅力的です。

S田さんからは,withMTBで登っても乗れないということを聞いていたので,今日は歩きです。青空に気分をよくして車に乗っていると,加西付近で北の山々が白っぽくかすんでいます。福崎に来ると,黒い雲のチラホラ。山崎に着くと,フロントガラスに雨粒がポツポツ。アリャ〜!加古川の青空はなんやったんや!でも,ここまで来て引き返すのもくやしい。大段山を登るだけなら,さほど時間がかからないでしょう。それに,少しの雨なら,涼しいかもしれません。でも,そんなことより,重大な問題が発覚!玄関に置いた地形図を忘れてきてしまったのです。でも,これも,大段山のピストンだけなら地図無しでもNo problemかな?

一宮町に入り,草木への峠道を登ります。峠付近から見る奥播磨の山々にも黒い雲がかかっています。やはり台風の影響があるのでしょうか。風も強めです。草木の集落を抜け,上千町に向かいます。すれ違う車はほとんどなく,のどかな風景が広がっています。窓からは,涼しい高原の風が入ってきます。天気が少し気になるものの,気分爽快。未踏の大段山が楽しみです。

山頂まで30分

新しい表示板のある上千町の登山口(P)から,林道を登ります。鹿除けゲートから入り,植林の中の林道を少し登ると,左手に新しい木造りの作業小屋があります。テープがあり,山道もはっきりしています。谷道なので,ヒルがいるかもと気にしながら歩くものの,ヒルは見当たらず。よかった,よかった。植林の中の道なので,どこで歩けそうです。踏み跡があちこちにあり,どれが登山道がわからなくなってしまいました。でも,記憶によると,北に向かえば尾根に出るはずですから,適当に歩きやすい踏み跡をたどってみましょう。

谷道が歩きにくくなったところで,尾根に向かって登ります。見上げると,空が低く見えています。尾根はすぐ上なのでしょう。少し急な斜面を登ると,尾根に到着。ここには,O柿さんの赤布があります。おそらく,この尾根の鞍部には,上千町と黒原への点線ルートがあるのでしょう。大段山へは,この尾根を登るだけでしょう。道もしっかりしているので,地形図がなくても迷うこともなさそうです。

南の植林の間からは千町ヶ峰が見えます。尾根の北斜面は,ブナを中心とした,鮮やかな緑の自然林です。しばらくは,その緑を楽しみながら登ります。正面に大きなブナの木を発見。ここは,大きな尾根の分岐点(@)です。テープもあちこちにあります。おそらく,上千町の神社からのルートの分岐点でもあるのでしょう。それにしても,登山口の案内はあったものの,途中の道標は全く見当たりませんでした。こんなのって,あり?

  
ブナの木 大段山山頂
ブナの木
大段山山頂

尾根が西に向くと,周りは松の疎林に変わります。左手には,千町ヶ峰がドド〜ンと構えています。その左手には,ガスに覆われた段ヶ峰が見えます。さほど高低差はなく,歩きやすい道です。少し登ると,なだらかなピークに到着。北方向に展望はないものの,南方向の展望がGoogです。地形図がないので,現在地がわかりませんが,このあたりが大段山の山頂でしょう。奥の方が少し高そうなので,行ってみましょう。あった!大段山の山頂(A)です。山名を書いた木柱があり,その脇には三角点(二等三角点 点名繁盛 966.0)があります。その三角点の横には,測量で使った櫓がありますが,注意事項を書いたプレートもありますが,すっかり朽ち果てています。なぜか,木の間に黄色いテープが張られています。いったい,何のためのテープなのでしょう。手前の木には,O柿さんのプレート(MTB登山 大柿 ’01.11.23 13.00)もかかっています。それにしても,標高1000m近くの山に30分で登れるなんて,楽チンです。

地形図無しで山歩き

初めの予定では,大段山へのピストンを考えていましたが,こんなにすぐだと,ちょっと物足りません。弁当を食べる間もありません。かといって,地形図もなく,草木ダムへ下るルートを行くのはちょっと…です。と,リュックの中に兵庫県地図があったのを思い出し,早速取り出してチェック。なんとか,超大まかな地形はわかります。まぁ,これで行ってみるか!山に行く人の中には,道路地図だけで山に行く人もいるって話ですから,行って行けないこともないのでしょう。プラ杭もあることだしネ。

山頂から南に向かう尾根を下ります。右手の植林の下には,池があります。残念ながら,ほとんど水はありません。再び,尾根をどんどん下ります。あいかわらず,松の疎林の中の道です。少し登り返した所(B)で,尾根が分岐。手持ちの地図では,こんな細かところはわかりません。さて?左手の尾根に行くと,そのまま下ってしまいそうなので,とりあえずは,右手の尾根を進んでみましょう。感覚的には,北に向かっているようですが,コンパスで確認すると,西に向いています。プラ杭も続いています。とりあえず,OKということにして,進みます。

  
大段山山頂の池 高峰
大段山山頂の池
高峰

北方向の展望が開けたりもし,下り基調で快適尾根道です。と,いきなり,視界が広がり,ササ原に出ます。左手には鹿除けネットがあり,鹿の頭蓋骨がぶら下がっています。生前は立派だったであろうその角がネットにからみつき,力尽きたのでしょう。哀れな末路です。でも,やっぱり気持ち悪い!

展望のササ原

ササ原はすっかり枯れ果て,歩きやすいのですが,ハーフパンツの足のひざから下は傷だらけです。右手に奥播磨の山々を見ながら,尾根を進みます。少し強いですが,涼しい風が吹いています。この日は,下界では今季の最高気温を記録したということですが,そんな気配は全く感じられません。山上の別天地です。

大段山山頂から30分。918(C)の枯れたササ原に腰を下ろし,ランチタイムです。左手には,先週登った高峰が見えています。その左手には,アンテナのある暁晴山も見えています。山頂よりもいい展望です。涼風に吹かれながら,割り子そばとコンビニ弁当を食します。お腹がいっぱいになったところで,下山にとりかかりましょう。

ネットとプラ杭は南の尾根を下っています。地形図もないことだし,ネットとプラ杭をたどって下りましょう。少し下ると,高峰を望む絶好のポイントです。さらに下ると,今度はTVアンテナが朽ち果てています。こんなに高い所まで,アンテナを持って上がるなんて,スゴイ!これで,確実に下山できるでしょう。

ネットとプラ杭を頼りに,植林の中の尾根を下ります。しだいに尾根は急になり,MTBを持って来なくてよかった。乗れるであろうと思っていた山頂からの下りも,実際には倒木が多くて,乗車率は5割もなさそうです。やはり,大段山はMTBで登る山ではなさそうです。

急な尾根を下り,岩場を過ぎ,高度はどんどん下がります。と同時に,右手の谷から小川の水音が大きくなってきます。植林の向こうの谷を見ると,すぐ下に小川がありそうです。ちょっと寄り道。植林の中を下ると,小川よりも先に林道が目に入ってきました。これが,草木ダムへ下る林道かもしれません。谷の上部にあった植林帯に苗木を植えるためにつけられた林道かもしれませんが,今となっては,コンクリート舗装は荒れ,もはや廃道状態です。

  
暁晴山山頂 自転車のホイールで水車?
暁晴山山頂
自転車のホイールで水車?

のどかな山里

林道をとっとと下り,出口(D)へ。チェーンのある出口を出ると,草木ダムです。ここから上千町まで,長〜い車道歩きです。ただ,車道といっても,車が頻繁に通るわけではなく,草木川沿いに涼風に吹かれながらのんびりと歩けます。道の両脇には野草の花が咲き,大ミズナラがあります。下千町ののどかな風景を楽しみながら,上千町(P)に到着。長い車道歩きと思っていたましたが,意外に短く感じました。

郷土記念物 千町の大ミズナラ  指定対象 ミズナラ1本  指定年月日 平成6年2月4日
地域の人々の暮らしを永年見守ってきたこのミズナラは,地域のシンボルとして親しまれている。
ミズナラとしては県内最大の巨木である。
  兵庫県

帰りには,一度寄ってみたかった「家原遺跡」へ。古代,中世の住居が再現され,歴史資料館もあるようです。近くには,温泉もあり,見物の人もたくさんいました。有名な所なのでしょうか。

  
高峰をバックに古代の村 御形神社
高峰をバックに古代の村
御形神社

次に,高峰と関係のある御形神社へ。こちらは,誰も訪れる人はなく,ひっそりと静まりかえっています。日本一の大絵馬や,相生松,夫婦杉などがあり,鮮やかな朱塗りの社殿です。

御形神社の伝説と御神徳伝説

1.夜の間杉
奈良時代宝亀3年(772)に,当社の御祭神の夢のお告げがあり,山神社の森の3本の大杉が鼎立し,その中心に高峰山(風土記に云う,黒土の志爾岳)に居られた御祭神を遷座したという伝説の杉。本殿裏の注連縄の掛かった大杉,推定樹齢600年。

2.沖田の碑
高峰山(風土記に云う,黒土の志爾岳)に居られた御祭神は,この神社の坂下の南に,小さな丘に飛び降りられたところ,偶偶そこに生えていた柚子の木で,目を傷められてしまい,その為にこの里には柚子の木が実らなくなってしまったと伝えられています。今はその所に石碑を建てて識しとしています。(御形大神降臨処,出雲大社宮司,千家尊祀の刻字あり。)

御神徳
当社は1200年以上の歴史を持ち,御祭神に「氏子繁栄」を主として見守られ,氏子もまた,よく氏神さんを篤く尊敬してきました。その他に五穀豊穣,産業育成,祈雨祈晴,病気平癒等は霊験あらたかなもののうちです。
特に秘伝の病気平癒の憂目の祈祷は,大病難病に効果著しいとして,今も氏子を中心に波賀・千種などに広く知られています。


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