伊和神社の鬼門 岡城山(2002.7.27)
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連日の真夏日!
暑い!今日も真夏日!こんな日は,1000mを越えるような山に行くか,お手軽コースに行くに限ります。ということで,以前から目をつけていた一宮町の宮山に行くことにしました。この山は,R29で山崎町から一宮町に入る時に,前方に見える見事な三角形のお山です。しかも山頂にはお城があったそうで,展望もよさそうです。ふもとの「町民の森」から登山道があるということで,ピストンで1時間半ほどのお手軽ハイキングです。でも,ピストンだけじゃあもったいなので,北に延びる尾根をたどって735.6の三角点まで行ってみましょう。ただし,尾根に踏み跡程度でも道があればの話です。こんな真夏に,ヤブ漕ぎはまっぴらザンス。
道の駅の脇から一宮スポニックパークを目指します。スポニックパークの手前で右折。「町民の森」と「宮山登山口」の標示通りに斜面を登ると,児童公園,そして貯水タンクのある広場(P)に到着。ここにも「宮山登山口」の案内が立っています。道路からは,70mほど登っただけですが,展望はグッドです。眼下には,伊和神社のあるこんもりとした森が見えます。西には,朽ちた電波塔のある黒尾山も見えます。正面には,伊和三山の一つである高畑山が南に向かってなだらかな尾根を延ばしています。
登山口から林道を登ります。植林の中の道ですので,真夏の陽射しがさえぎられ,チョッピリ涼しげです。林道は,軽トラックなら走れそうな広さがあり,さほど急ではありません。道は大きく方向を変え,高度を上げていきます。途中の展望のいいカーブには,ベンチが設置されハイキングコースとしても整備されています。
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斜面を九十九折りに登ると,尾根道になります。ここからは,林道を下に見ながら尾根歩きです。尾根には,石段があり,大岩の下には小さな祠があります。このあたりは郭跡でしょうか,階段状に広場があります。さらに尾根を登ると,先ほどの林道の終点らしい地点に出ます。遊歩道らしく,木の丸太階段が設置されています。ここからほどなく山頂となります。貯水タンクから20分です。
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さすがは城跡
岡城山(宮山)山頂(@)は,木が多いものの,それらの間から300°の展望が楽しめます。東を見ると,花咲山から行者山…暁晴山までが連なって見えます。花咲山の左手には,荒尾山から植松山,黒尾山も見えます。反対の西を見ると,目の前に白倉山が見えます。お城があったというだけのことのある展望のよさです。山頂には,ふもとに道の駅ができた記念登山のポールがあります。その脇には,なにやら書いた旗が立っています。三角点(四等三角点 点名東市場 514.4)は,少し離れた所にあり,草に覆われています。
岡城跡
岡城は,岡山城・宮山城とも呼ばれ,播磨国一宮伊和神社を眼下に望む宮山の山頂に築かれています。
「播磨鑑」などの古記録によれば,七条赤松家の末流である赤松治部少輔教弘が,明徳3年(1392)ここに初めて城を築いたとされますが,嘉吉の変(1441)の時の一旦落城したものと見られています。
その後,天文年中(1532〜54)にいたり,岡城豊前守吉政が再びこの地に城を築いて居城としましたが,天正8年(1580)羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)によって宇野氏の居城である長水城が攻め落とされた際に,岡城も落城したものと伝えられています。
山頂部から三方の尾根にかけては,主郭跡と見られる石塁を備えた東西約12m・南北約15mの平坦地を中心に,それらを取り巻く帯郭跡や階段状に連なる郭跡,防御のための堀跡などが残されており,昔日の姿を偲ぶことができます。また,山頂からの眺望はすばらしく,この城の軍事的な重要性をよく物語っています。
一宮町・一宮町教育委員会
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尾根を北上
展望を楽しんであとは,このまま,ピストンでは,ちょっとお手軽すぎです。尾根をちょいと北上してみましょう。幸い,踏み跡はあります。赤いプラ杭もあるので,尾根道は大丈夫でしょう。岩場を過ぎ,歩くにつれて,標高が上がります。尾根の両側は植林なので,あまり展望がいいとはいえません。それでも,ところどころで現れる雑木林は,緑がきれいです。それにしても,このあたりのセミは,どうして地上をのたうちまわりながら苦しそうに鳴いているのでしょう。セミの寿命が尽きる寸前なのでしょうか。
尾根道ははっきりしていますが,倒木があったり,MTBで北から南下してきても乗車率は高くはなさそうです。ちなみに,宮山からの下りの乗車率は80%以上はありそうです。尾根を北上するのは,withMTBでは意味ないじゃん,ですが,北の標高の高い地点からこの尾根をなんかするもの,withMTBではビミョ〜です。
部分的には急な登りもあり,岩の多い所もあります。ただし,尾根が狭いので,支尾根に入ってしまうこともありません。クモの巣はあるものの,夏場のこの時期でも,道がはっきりしている上にヤブっぽくないので,お気楽に歩けます。尾根の前方に大岩が出現。急な登りと大岩が,展望のない尾根道にアクセントをつけています。その大岩を過ぎると,この尾根には珍しい雑木林です。支尾根も分岐しています。この支尾根から下ることもできそうですが,とりあえず,この先の三角点まで行ってみましょう。
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下山ルートは?
宮山山頂から50分ほどで三角点ピーク(A)です。三角点(四等三角点 点名打呑口 735.6)には,丸い金属がはめ込まれていて,その四方を石で囲っています。植林の中なので,残念ながら全く展望はございません。さて,これからどうすっぺ?先ほどの分岐点に戻って,西の尾根を下るか。それとも,この先の鞍部から西に下るか。この三角点の「点の記」には,鞍部から西のルートを記入しています。でも,それって,道ではなさそうです。だとしたら,東に下った方が,林道に出られるだけ,マシです。西のルートでは,車道歩きになってしまいます。ここは,東に道があることを願って,鞍部に行ってみましょう。
あいかわらず,植林に囲まれた薄暗い尾根道です。少し登り返したあと,鞍部(B)に下ります。鞍部で道を探しますが,無し。西に下ると,中腹からは林道があるのですが,車道歩きを考えるとパス。東に下ってみましょう。幸い,道は無いものの,植林の中なので歩くことはできます。おそらく,この植林帯は下の林道にまで広がっているのでしょう。植林を下るだけです。しだいに斜面は急になり,ズルズルと足を滑らせながら,下ります。左手に小川が出てくるあたりから,山道が出現。植林の作業用の林道だったのかもしれませんが,いまやすっかり廃道状態。荒れ放題です。ヒルがいないかチェック。どうやらこのあたりには,ヒルはいないようです。メデタシ,メデタシ。
渓流で川床料理?
山道をどんどん下ります。途中で,山道は消え,再び,斜面を下ることになります。おそらく,あの山道は小川になってしまっているのでしょう。細い岩場を慎重にクリア。植林の間から,林道が見え始めます。最後は,小川沿いに下って,林道(C)へ。すぐ脇には,岡城川が流れています。ここでちょうど,ランチタイムとなりました。渓流の岩に座ってランチを食します。足元を流れる清流が爽やかな風を運んできます。まるで,京都貴船の川床料理!…?
ランチの後は,長〜い林道歩きです。今まで歩いてきた尾根を右手に見ながら,のんびり歩きます。結局,この林道では,1台も車に出会いませんでした。橋を渡ると,左手には白倉山へ直登できる斜面が現れます。でも,かなり急です。「点の記」では,この斜面を登るようになっているのですが,これだけの傾斜のまま500mほどの高度を稼がなきゃならないのですから,今からちょっと寄り道ってわけには行きません。またの機会ということにしましょう。
林道は,地道から舗装路になり,右手には宮山山頂が見えてきます。このあたりになると,セミは頭上で元気よく鳴いています。集落が近づくころには,まわりの空気はすっかり高温多湿に。肌にまとわりつく湿気がたまりません。車に戻って着替えたあとは,時間もあるので,いつも素通りしている伊和神社に行ってみることにします。
時間があるので
伊和神社(D)の境内には,杉の大木が何本もあり,昼なお薄暗く,建物にも1500年の歴史を感じます。境内には,夫婦杉や鶴石などがあります。
次に,まだ時間があるので,もう一ヶ所。手抜き足抜きの山登りです。伊和神社の北,伊和三山の一つである花咲山に登ってみることします。この山からだと,今日歩いた宮山とその北尾根が一望できるはずです。しかも,この山には林道があり,山頂直下までついています。つまり,楽チン山登りってわけです。
ふもとの嵯峨山から林道を登ります。路面はさほど荒れていないので,普通乗用車でも登れるかもしれません。ただし,前から車がくると,すれ違える所がほとんどありません。山頂付近では,山頂の東側を巻き,TVアンテナの林立する広場が終点です。ここから花咲山山頂まではすぐです。長細い尾根を歩くこと5分ほどで,花咲山山頂(E)です。ここには,三角点(三等三角点 点名下野田 637.7)があります。この三角点も,全く展望はありません。ヤブっぽい中に忘れられたように存在しています。
この山は,あまり訪れる人がいないようで,尾根道も両側から枝が張り出し,夏草で覆われている所もあります。ほとんど頂上まで車で行けて,しかも山頂の展望が全くないんだから,登るに値しない山ということでしょう。楽しみにしていた宮山の展望もあまりよくなく,ガッカリ。