行きはよいよい,帰りは… 藤無山(2002.8.3)


  
P・@〜D
P・@〜D

今日は1000m

暑い!暑い!こんな日は,お手軽か,1000m以上の山かというので,先週はお手軽ハイキングにしましたが,今週は1000m以上の高所で避暑登山です。ターゲットは,奥播州の秘境?藤無山。以前は秘境といえるほどの山だった藤無山ですが,今ではすっかり観光化され,ツアー登山の対象となってしまっています。一般的には,大屋スキー場から稜線をたどるのですが,今回も2年前と同様,道谷と公文を結ぶ沼谷林道から藤無山山頂のコースを選択。下りは,藤無山山頂から南に下る登山道を行ってみることにします。この登山道はまだ行ったことのないコースです。不安と期待がよぎります。

今回は,林道が長いので,withMTBでの山歩きです。どちら回りのコースにするかが,まずは問題です。とりあえずは,南の林道から登って,藤無山山頂。それから,鞍部に下り,沼谷林道へ行くことにします。反対回りだと,南の林道へ下るまでが,かなりの急斜面のようです。いずれにしても,林道の分岐点,つまり小原の集落のはずれに車をとめることになります。でも,その前に,南の林道からの登山道を確認しなければなりません。分岐点から少し入ったところにある志倉の住人に話をうかがってみましょう。

藤無峠から山頂を経て南麓の林道へ

志倉の集落には,数軒の家屋があるだけで,そのうちの1軒は志倉山荘です。そこのおばちゃんの話によると,林道の終点から登山道があり,標識もハッキリしているとのこと。道は,ハッキリしないところがあるものの,テープがあるので大丈夫。道は,それほど急でもないということです。この言葉を聞いて,同行のS田さんとコースを決定!さほど急でもない南の林道への道を下る方が,MTBの乗車率が高そうです。ということは,沼谷林道を登り,前回同様,鞍部から藤無山山頂を目指すことになります。

分岐点から少し進んだ所(P)で車をとめ,MTBの準備を整えて,沼谷林道を登ります。途中には,祠や営林署小屋があります。祠のまわりには,大木が林立し,それらを祀っているようです。営林署小屋は,今は使われなくなっていますが,入口の人形がユーモラスです。林道は未舗装で,ところどころ,荒れ気味の箇所はあるものの,勾配はさほどきつくはないのでのんびりとはしれます。右手の渓谷からは涼しげな水音が聞こえ,まわりの木立のおかげで林道は日かげになっているので,気分的には涼しく感じられます。でも,実際は,汗だくです。

分岐に到着。ここには,江戸時代にできた墓地があります。「道谷7km」という表示板もあります。林道は,いよいよ,山あいの道となります。しばらくは渓谷沿いの道ですが,ヘアピンカーブからは渓谷をはなれ,九十九折りの道となり,標高を稼ぎます。あいかわらず,道は木立にかこまれ,日かげの道となっています。木立の間からは,藤無山への稜線や,三久安山への稜線が見えます。

林道の路面は,さほど荒れてなく,普通乗用車でも十分通行できます。でも,結局,この林道で出会った車は1台だけでした。あまり利用する人はいないみたい。藤無峠に近づくと,三久安山方面の展望が開けます。ずっと下には林道が見え,かなりの高度感があります。結局,1間20分の林道ヒルクラムとなりました。峠には,一宮町と大屋町との境界尾根がありますが,踏み跡はなさそうです。やっぱり,前回と同じ地点から登山道を進みましょうか。

  
林道 藤無山
林道
藤無山

藤無山山頂へ

峠から少し下ったところ(@)に登山道の入口があります。入口といっても,標示があるわけではなく,枯れ木に赤テープが巻かれているだけです。しかも,一面のササ原で,踏み跡すらわかりません。前回,このコースを歩いたわれわれは,らしい所からササ原に突入。強引に突破すると,植林の中の道になります。この道は,以前は林道だったようで,車が通れそうな幅があります。もちろん,今では廃道状態です。その林道のつきあたりが,登山道の入口です。O柿さんの赤布テープがあり,植林の中に山道が延びています。

谷間の薄暗い植林の道は,あまりいいものではありません。おまけに,時々,頭上でバリッ!という音が聞こえます。クモの巣です。やっぱり,夏場はクモの巣が多い。植林の中の山道は明瞭なうえに,赤テープがあるので,迷うことはありません。15分ほどで藤無山の稜線へ。まわりが一気に明るくなります。

ここから1時間ほどの登りです。が,今日は,withMTBなので,もう少し時間がかかるでしょう。目の前には,いきなりの急斜面です。MTBを担ぎながら登るので,あちこちにMTBが当たり,歩きにくい。今日のコースを逆に回ると,この急斜面を下ることになっているはず。こりゃあ,乗れまへん。

急斜面を登ると,928付近(A)のなだらかな尾根に出ます。このあたりは,MTBに乗れるのでうれしい!しかも,ここからは,藤無山はもちろん,三久安山,戸倉付近の山々が望めます。が,残念なことに,この日はモヤがひどく,ほとんどの山が白っぽくかすんでいます。ガッカリ。

気分よく,尾根走りを楽しんだあとは,2度目の急斜面の担ぎです。しかし,距離はさほど長くはありません。「この急斜面を登ったら山頂やったっけ?」などと話しながら登るものの,登ってみるとまだ先に尾根は続いています。ありゃ,まぁ。まわりの木々は,しだいにブナが多くなってきます。山頂が近くなった証拠です。北向きに展望の開けた切り開きからは,灰色のシルエットだけの氷ノ山が望めます。嗚呼,残念。

  
藤無山山頂の三角点 藤無山山頂
藤無山山頂の三角点
藤無山山頂

藤無山頂は秋へ

部分的にMTBに乗りながら,ようやく藤無山山頂(B)へ。三角点(二等三角点 点名三本杉 1139.2)の上は,なぜか赤いペンキで塗られています。この惨状を見たら,多田繁次さんはどう思うことでしょう。

忽然として眼前が明るくなり,せまい伐り開きのテラスへ飛び出した。何気なく足もとに視線を向けると,全く思いもかけなかった待望の三角点が,低いササの葉かげに静まっていた。頂上だ!歓声を上げて握り合った三人の手が感動にふるえた。十時二十分だった。
かすり傷一つない二等三角点の標石の,汚れない美しさがこの山の清純さを示していた。…

               (『兵庫の山やま 総集編』多田繁次)

山頂は,まわりの木が切られ,少し広くなっていますが,展望はほとんどありません。あちこちにプレートがかけられ,特大の登山記念プレートもあります。いくら追悼登山の記念だからといって,こんなにでかいプレートかけていいものなのでしょうかねぇ。

ちょうどランチタイムとなったので,ランチにしましょう。いつものように,割り子そばとコンビニ弁当です。今日は暑いので食後のコーヒーはやめ。S田さんは,いつものように無線をしようとしていますが,残念ながらつながらないみたいです。山頂付近では,セミがにぎやかに鳴いていますが,トンボもたくさん飛んでいます。山頂は,夏から秋へと季節はうつりつつあるようです。

ブナの古木林

ランチを終え,いよいよ,未知のルートへ。テープはありますが,登山道はササでおおわれています。ササをかき分けながら下ります。ササのために路面の状態がわからないので,MTBに乗ることはできません。しばらく下ると,ようやく乗車可能に。展望はなく,まわりにはブナの古木が林立し,小鳥の鳴き声だけが聞こえてきます。山頂からの南尾根を下るのではなく,その東に谷に向かって下っています。途中には,藤無山へのルートを示す標識もありますが,かなり急な下りです。もちろん,MTBには全く乗車できません。う〜ん,こんなはずではなかったのに…。

  
藤無山山頂直下のササ原を下る 林道終点の藤無山登山口
藤無山山頂直下のササ原を下る
林道終点の藤無山登山口

ブナ林を抜けると,踏み跡とピンクテープを頼りに,下ります。あいかわらず,MTBを押したり,担いだりの下りです。担いで登って,担いで下る。これって,最悪〜!なんのためのMTBやねん!と思っても,MTBとは一蓮托生。今さらどうにもなりません。ちょっと大きな杖と思うことにしましょう。

植林を抜け,谷のガレ場を下ります。一旦,植林の中でMTBに乗車可能になりますが,喜びすぎてミスコース。正規コースに復帰し,尾根を巻きながら,林道に近づきます。そして,林道終点(C)へ。藤無山山頂からは1時間ほどの下りでした。ここには藤無山の登山道の標示がありますが,このコースを利用する人はあまりいないかもしれません。急な上に,展望がほとんどなく,コースもはっきりとしていない。でも,それだけにアドベンチャー度が高く,静かな山歩きができます。しかも,山頂付近のブナ林は,大屋スキー場からのコースにはないものです。

林道の下りで,ようやくMTBの出番です。さほど荒れていない林道を気持ちよく下ります。結局,登りと下りの林道だけがMTBの出番ということになってしまいました。林道の分岐点からさらに下ると,左手に「藤無山の湧き水」(D)があります。木の根元に湧き出る水は,一宮の名水の一つにあげられていますが,ここまでポリタンクを持って来る人はいません。早速,いただきましょう。一口ゴクリ,…うまい!冷たい名水は,熱く火照った身体の隅々にしみわたります。ここの水は,冷たいだけでなく,透明感のある味です。こんなにおいしい水を飲むのは初めてです。未知のコースには,新しい発見があるものです。メデタシ,メデタシ。


「山と自転車」にもどる

ホームページにもどる


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理