ちょいとadventure 展望と奇岩巨岩の羽黒山(2002.9.1)


  
P・@〜F
P・@〜F

ちょい山

シマノ鈴鹿ロードでの2レースを終え,いつもなら2日目は午後の国際ロードを観戦して帰るのですが,今回は自分の出るレースを終えて,山に登ることにしました。1日目も,自分の出るレースが終わったら御在所岳と鎌ヶ岳に行くつもりでしたが,雨のため断念。でも,今日は雲は多いものの,雨は降りそうにありません。行き先は,帰り道に見える羽黒山です。この山は300mほどの低山ですが,山頂から北へ続く尾根には,巨岩が点在し,展望とスリルを楽しむことができるとのこと。昼からのちょい山にピッタリです。

関町に近づくにつれて,羽黒山とその奥にある明星ヶ岳がはっきりと見えてきます。御在所岳方面は,ガスっぽかったのですが,このあたりではガスは見られません。R1に入り,道の駅でパンフレットをチェック。この関町は,江戸時代は宿場町として栄えたそうで,今なお当時の面影を残す町並みが保存されています。

古代三関の一つであった鈴鹿の関で名高い関町。江戸時代,東海道五十三次の47番目の宿場町として栄え,その東と西の両追分間の約1.8kmに及ぶ「関宿」の町並みは,国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され,今なお古い町屋が軒を連ねています。
町には,歴史的な名所や旧跡も多く,また,自然を生かしたレジャー施設があり,四季折々の自然の美しさとすばらしさを十分満喫できます。関町で自然と歴史をのんびりと散策してみましょう。

「道の駅」関宿 パンフレットより

観音山

関ロッジ近くの駐車場(P)に車をとめ,まずは目の前の観音山に登ります。少し歩くと,山の斜面に大きな洞穴がいくつもあいています。近くを通りかかった人に聞くと,太平洋戦争の時の防空壕だとか。あまり奥行きはないのかもしれませんが,放置されたままの防空壕とはちょっと危険な感じです。

観音山の登り口は,遊歩道となっています。ここには,33体の石仏が遊歩道の脇に並べられていますが,どの石仏も頑丈な鉄格子で守られています。これでは,石仏の保護というより,石仏が牢屋に入れられているみたいです。まるで,兵庫県大屋町加保坂のヒスイの原石です。

石仏を見るためか,必要以上に曲がりくねった山道を登りきると,山頂手前の尾根に出ます。尾根にはアンテナや丸いコンクリートの造形物があります。すぐ上が山頂(@)です。ここにもアンテナがあるものの,展望はあまりよくはありません。長細い山頂から急な下りを下ると,林の中に出ます。車道に出ると,ここから羽黒山の登山口までの長い車道歩きです。

巨岩にょきにょき羽黒山

分岐を過ぎると,右手に関富士がそびえているのが見えます。登るのには,さほど時間はかかりそうにないのですが,あまり時間がないので,とりあえず,今は羽黒山です。関富士の北麓につけられた車道からは,羽黒山に点在する巨岩が見えます。播磨地方では岩山は多いのですが,羽黒山のように樹林帯の中ににょきにょきと巨岩が屹立している様は見たことがありません。御在所岳でも,奇岩があちこちにあるそうですが,この鈴鹿山系は奇岩巨岩が多いのでしょうか。

車道から林道へ。すぐに,正法寺山荘跡の標示があります。ちょっと寄ってみましょう。行ってみると,広い草地(A)といった感じです。春には桜がきれいだそうです。

国指定史跡  正法寺山荘跡

関氏一族は平家を祖とし,室町時代鈴鹿川一帯に勢力をのばして,関氏を名乗るようになりましす。
関氏の本城は,亀山市若山の地に在って,16世紀には神戸城(鈴鹿市),国府城(鈴鹿市),峯城(亀山市),鹿伏兎城(関町)も一族で固め,関五家と呼ばれる,北勢随一の土豪でした。
この関の地では,京都大徳寺の末寺として砦を兼ねた正法寺山荘の創建や現在のまちの基になるまちづくりに関氏は努力してきましたが,やがて織田・豊富氏による全国統一の前に衰退の運命をたどります。

むかし,山寺ありけるとなん。牟楯の用意にや。をのづからの岩を楯,矢ぐら門は石を棟柱。四方50町。谷めぐりてみゆ。凡,数万軍兵とりむかへるともおそるべくもみえず。  ――宗長日記――

関氏一族は,平家ゆかりの揚羽蝶の家紋を用いていました。

関町教育委員会

林道をさらに進むと,右手に木の鳥居があります。その脇には,羽黒山登山口の標示もあります。暗い植林の中を登ります。しばらく登ると,お堂に到着。石の鳥居の奥には,苔むした急な階段があります。とりあえず,登ってみましょう。ところがこの急な階段は,急な岩場に変わり,ちょっとdangerousです。登り詰めたところは,大岩にあいた穴んこです。なんとも変わった神社です。

羽黒権現神社  羽黒権現神社の由来

元暦元年(1184)佐藤継信,忠信は,平家討伐のため,源義経に従ってこの地を通りましたが,そのとき,けらいの人が病気となって,ここにとどまることとなりました。その人は日夜,本国の羽黒大権現に祈願したところそのかいあって願いを成就することができましたのでたいそう喜びはるか奥州出羽国羽黒山より羽黒大権現を勧請してこの山にお祀りしたといわれています。

鈴鹿国定公園の一部となっているこの山は,巨岩奇岩が多く,現在大権現をお祀りしてある,ほこらも,大きな岩の上部を穿ったものです。山すそを流れる渓流には,大がま,小がまとよばれる深い淵もあります。

さすが「展望岩」

羽黒山への登山道は,石の鳥居の右横の林の中です。赤や黄色のテープがあるので,迷うことはありません。登山道は,先ほどの神社の大岩の上部に出るようについています。上部は,展望岩です。ここからは,関町をはじめ,鈴鹿の町や伊勢湾が一望できます。右手には,錫杖岳がその鋭い山頂を天に突きたてています。羽黒山の中腹や近くの山を見ると,樹間からにょきにょきと巨岩が突き出ています。

テープに導かれて,さらに山道を登ると,左手にまたもや「展望岩」の標示があります。すぐ近くのようなので,ちょっと寄り道。この展望岩(B)も,すばらしい展望です。この日の強風は,登りで火照った身体にいい気持ち。ここで展望を楽しみながら,遅いランチタイムとします。先ほどの展望岩も,この展望岩も巨大な礫岩です。どうやらこのあたりの岩は礫岩が多いようです。山の岩といえば,花崗岩や凝灰岩が多い播磨地方とは違います。

  
展望岩から鈴鹿・伊勢湾 羽黒山北尾根の岩場 その1
展望岩から鈴鹿・伊勢湾
羽黒山北尾根の岩場 その1

山頂は2つ?羽黒山

パンとジュースのランチを終え,山頂に向かいます。山頂付近になると,シダにおおわれた山道になり,あまりいい気分ではありません。登り切ると,ピークらしき所に岩が頭を出しています。その脇の木には「羽黒山」のプレートがあります。???ここには三角点があったはずだけど…。あたりを見回しても三角点はありません。まわりのシダの中のどこかにあるのでしょうか。三角点はあきらめて,縦走にとりかかります。

ところが,尾根を北に進むと今度は三角点のあるピーク(C)へ。ここにも羽黒山のプレートがあります。なんのこっちゃ?!三角点があるので,こちらが本当の山頂なのでしょうが,それなら先ほどのプレートは何だったのでしょう。わざわざ違うピークに付ける必要があったのでしょうか。

岩場,岩場,岩場…

いよいよ,北尾根の縦走です。すぐに岩場の出現です。その岩場の下には,尾根から根こそぎ倒れた大木が朽ちています。砂岩の極細の岩場です。足を滑らすと,急斜面に滑落です。でも,ちょっぴりスリルがあり,楽しい。やはり,HPの記録にあった通り,羽黒山の北尾根は岩場の多いところです。

尾根から見える東の山にも,巨岩がにょきにょき。なかなか楽しい光景です。小ピークを巻きながら,再び岩場へ。ここも大木が倒壊したりで,荒れた雰囲気です。巨岩がいくつもあり,山道も見えません。まずは,その巨岩のテッペンヘ。ここからは,西の山なみが見えます。こちらには巨岩が少ないようです。風に吹かれて,いい気持ちです。

さて,ここから道はどうなっているのでしょうか。大岩の根元を見ると,わずかなすき間があります。覗いてみると,そのすき間の向こうに山道が続いています。なるほど!岩場を迂回するのではなく,岩場の根元を潜るわけだ!でも,こんなのも楽しいものです。岩を潜り抜けてふり返ると,逆ルートで来た方が侵入路がわかりやすそうです。

  
羽黒山北尾根の岩場 その2 羽黒山北尾根の岩場 その3
羽黒山北尾根の岩場 その2
羽黒山北尾根の岩場 その3

岩場を出たところには,「羽黒山歩道」のプレートがあります。これから先は,尾根にある大岩を巻きながらしながら進みます。それにしても,よくもこれだけ,尾根にきれいに大岩を並べたものだと感心するほど,尾根に大岩が点在しています。しかも,その脇には大木が根こそぎ倒れています。土の少ない岩場で育った大木が,支えきれずに倒壊するのでしょうが,なんだか異様な光景です。

しばらく進むと,今度は,大岩が正面に立ちはだかっています。この大岩を乗り越えるのは大変です。右手を見ると植林です。少し下って,迂回し,大岩の上部へ。逆ルートだと,わかりにくいかもしれません。さらに進むと,今度は岩場を横切るようにロープが付けられています。なるほど,ロープがなければ,かなり危険です。ロープを頼りに岩場を横切っていると,そのロープが劣化してささくれています。これはdangerousです。でも楽しい。

気分よく,尾根を進んでいると,左手にテープ(D)があります。とりあえず,テープを無視して尾根を直進するものの,やはり道は不明瞭になり,尾根は急降下しています。先ほどのテープから左に下り,自然歩道に出るのでしょう。テープに戻って左折。ここからの尾根道は,先ほどまでの大岩尾根とは違い,木立に囲まれた平凡な尾根道です。

東海自然歩道へ

しばらくして,分岐点(E)へ。ここには,「羽黒山 1.2km  筆捨山 1.2km  観音山 2.0km  東海自然歩道」とあり,高圧線鉄塔の番号も書かれています。「251 250」筆捨山にも行ってみたい気もしますが,ピストンでも30分はかかりそうなので今日のところはパス。ここからは,地形図通り,なだらかな尾根道が続いています。ただ,木立に囲まれているので展望がほとんどないのは残念です。しかし,こんなになだらかな尾根道を歩いていると,ついつい,MTBで下ったらいい気持ちだろうなぁと考えてしまいます。実際,withMTBで登ってみようかなぁと思ったこともあったのですが,あの岩場のすき間くぐりでMTBは通らなかったでしょう。歩きで正解でした。

展望がない代わりに,真夏を思わせる日差しがさえぎられているので,気温の割には涼しい尾根歩きができます。小さなアップダウンを繰り返し,展望台(F)へ。木でできた展望台は,3階建てほどの高さがあり,展望のないこの尾根の唯一の展望ポイントです。展望台へ上がると,中年ご夫婦が休憩中。しばらく,おしゃべりです。

ご夫婦は地元の方で,この鈴鹿地方の山をよく歩いているそうです。あれこれ話していると,ついにヒルの話になりました。やはり鈴鹿のヒルはうわさ通りでした。雨が降った次の日は,ヒルが地上にうようよ,木の上からも落ちてくるそうです。この中年ご夫婦もヒルの被害にあったことがあるとのことで,ご夫人はその時のこと思い出すだけでも気持ちが悪いとか。その気持ちはよ〜くわかります。

  
錫杖岳 関富士
錫杖岳
関富士

展望台を降り,急な丸太の階段を下っていると,左手に関富士がきれいな姿を見せています。丸太階段を下りきると車道です。標識もあります。「鈴鹿峠 7.9km  バンドウ山 4.6km  筆捨山 2.4km」ここからは車道を歩いて駐車場(P)へ。

300m足らずの羽黒山でしたが,大岩が点在し,スリルのある尾根歩きができました。時間的な余裕がなかったので,筆捨山に行けなかったのが心残りですが,それはいずれまたの機会にということで。

今回のシマノ鈴鹿ロードレースは,自転車レースを楽しみ,山歩きを楽しみと,一粒で2度おいしい大会となりました。来年は,御在所岳・鎌ヶ岳,それから錫杖岳にも行ってみたいものです。来年も一粒で2度おいしい大会にしたいものです。


「山と自転車」にもどる

ホームページにもどる


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理