低山 手強し! ヤブ藪やぶ…の愛宕山縦走(2002.12.23)


  
P・@〜G
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北摂は…

先週の千刈水源池周回ツーリングに気をよくして,今週も北摂へGO!加古川を出発するころは,曇り空ながらもところどころに青空がのぞき,これから天気がよくなる兆しです。これだと,北摂に着くころに青空が広がっていることでしょうと,お気楽に三木から吉川町へ。が,いつまでたっても青空は見えません。それどころか,北摂のある東の空を見ると,真っ黒い雲が一面に広がっています。こりゃあ,ヤバイぞ。

同行のS田さんの提案に賛同し,北摂の予定を急遽変更。滝野町五峰山の西の尾根を探検することにします。地形図では,加西市と八千代町の境界尾根になっており,北の八千代町側はゴルフ場開発をしているようです。道の記入はありませんが,境界尾根だし,近くには高圧線鉄塔があり,ゴルフ開発の境界も近いようなので,尾根には踏み跡ぐらいはあるでしょう。だとすれば,あまり高低差のない尾根なので,MTBでも十分に楽しめそうです。ひょっとすると,五峰山から鳴尾山へも縦走できるかもしれません。期待大です。

さっそく,寄り道

播磨中央公園に車を置き,MTBの準備です。まずは,車道を走り,山田町を目指します。が,いつものように,さっそく寄り道。奥山寺に標示に惹かれ,右折。歴史を感じる公会堂?を見ながら進むと,正面に山門がドド〜ンと建っています。ちょっと色がハゲかけているのが,これまた歴史的?その脇に案内板があります。

市指定文化財 奥山寺仁王門  奥山寺多宝塔
奥山寺は,白雉元年(650)法道仙人の開基と伝えられる真言宗の古刹です。
仁王門は,江戸中期の様式をよく残した,市内では,最も古いものとされている。
多宝塔は,石段を登りつめた最上段の山の緑を背景に建ち,宝永6年(1709)の再建で,多宝塔としてはやや小さいが姿よく,保存もよい。棟梁は,地元大工町の神田作左衛門実清と伝えられている。

            加西市教育委員会

奥に行ってみますが,階段が長いので,あまり寄り道をしていると,いつまでたっても山田町に着きません。階段からは上はあきらめて,引き返します。その途中で,村の古老に遭遇。S田さんは,さっそく聞き取り調査です。その結果,地形図にある破線は今も実在し,昔はここの奥山寺のお坊さんが籠に乗って山道を越えていたとか。峠付近は,荷馬車が通れるほどの広さがあるそうです。これはうれしい情報です。そんなに広い峠なら,東西の尾根に踏み跡ぐらいはありそうです。気分をよくして,山田町へ。

が,その途中で,山の支尾根の先端に建つお堂を発見。またもや,寄り道です。行ってみると,ふもとに普明寺というお寺があり,そのお寺のお堂のようです。境内には鐘撞堂があり,その脇から尾根に登る遊歩道があります。車道に出ると,愛宕山ハイキングコースの標示があります。きっと,普明寺からの遊歩道のことなのでしょう。

破線の道もヤブの中

2回目の寄り道が終わり,ようやく山田町(@)へ。地形図にある破線の道を進みます。ここで,またもやS田さんが地元の人を見つけて,聞き取り調査をしています。その結果,破線の道は,「イノシシも引き返す」ほどの道だとか。う〜ん,不吉な情報です。でも,村の中をすぎても,道は広く,車が通った轍もあります。車が頻繁に通るから,イノシシが引き返すんかなぁと,のん気に進みます。しかし,その広い道は,池を過ぎたあたりから,笹におおわれるようになり,しだいしだいにヤブっぽくなってきます。やはり,村の人の忠告は正しかったのでしょうか。

ついには,ヤブへ突入。ただ,下を見ると,踏み跡があります。これが破線の名残なのでしょう。ヤブをかき分け進みますが,MTBを担いでいるだけにツライ。MTBのいろんなところに,木の枝やツルがからみつき,もう大変。強引に引っ張るものの,ツルはなかなか切れません。しかも,時々はイバラもスタンバっているので,こりゃあイテテテテテェ〜!地形図の破線なんて,ウソッパチだぁ〜!

どうにかヤブを突破し,峠の手前の植林に到着。植林の中はヤブっていないので,すんなりと歩けます。しばらく,植林の中を登ると,峠(A)です。八千代町側に下る道もあまりハッキリとはしていません。ということは,地形図の破線の道は,実在しない道ということです。よくあることですが,ちょっとガッカリ。

  
峠着 三角点 点名宇仁山
峠着
三角点 点名宇仁山

峠からの稜線もヤブヤブヤブ

峠からは,東に向かって尾根を進みます。境界尾根ですので,踏み跡ぐらいはあるだろうという予想でしたが,見事にハズレ。峠から見上げると,早くも,一つ目のピークの途中からヤブっています。ちょっとメゲてしまいます。でも,だからといって,このまま退散するのもクヤシイ。MTBを肩に,急な尾根を登ります。ところどころに獣の足跡らしいものがありますが,人間の足跡は見当たりません。通りやすそうな木々の間をジグザグに進みます。あたりはこの冬一番の寒気に包まれているというのに,身体は火照り,汗が噴き出します。

ようやく,ピークへ。このピークからは,高低差の少ない尾根道になるハズです。尾根を見ると,落ち葉の積もった尾根はあるものの,その先には倒木だらけの尾根が続いています。くやしいので,10mほどの落ち葉の尾根をMTBで走ります。が,その先は,MTBを担いで倒木越えの連続です。振り返ると,木立ちの間から鎌倉山が見えます。

三角点との分岐ピークに到着。とりあえず,三角点に行ってみましょう。MTBを置いて,ヤブ漕ぎです。すると,MTBがないということは,なんと楽なことよ!木立ちの間をすり抜け,たちまち,三角点(三等三角点 点名宇仁山 254.6)(B)へ。測量用の赤白ポールがあり,尾根の向こうには下山ルートがあるようです。三角点を確認し,再び,MTBのあるピークへ。木々のために見通しが悪く,稜線がどこにあるかわかりません。注意深く地形図で方角を確認し,尾根を下ります。もちろん,MTBに乗るどころか,MTBを担ぐのもままならないほどのヤブ漕ぎです。何でこうなるの?

  
ヤブ その1 愛宕山ハイキングコース
ヤブ その1
愛宕山ハイキングコース

愛宕山ハイキングコース!

いつまでたっても,果てることのないヤブと格闘すること1時間40分。頭上のピークにさびついた丸い標示板があります。どうやら,愛宕山ハイキングコースに出るようです。ピークらしい所(C)に出ると,今までのヤブ漕ぎが悲しくなるほどの広い山道があります。S田さんは,最初からこの愛宕山ハイキングコースで登ればよかったのに…とボヤいています。

きれいに手入れされたハイキングコースは,今までのヤブ漕ぎに比べると,高速道路のようです。気持ちよく,久しぶりのMTBを楽しみます。小さなピークに上がると,そこにはベンチとゴミ箱があります。ゴミ箱には,さほど古くはないゴミが入っているので,このハイキングコースを利用する人はいるようです。小ピークからは急な下りです。しかも,道は小刻みな九十九折りになっているので,MTBで下るにはちょっとムズイ。中腹からMTBでGO!です。本日初のダウンヒルです。気持ちよく下ること数秒間,ハイキングコースを進みます。

低山からの大パノラマ

次のピークでは,ハイキングコースは,ピークを巻いて南に向かっています。???とりあえず,行ってみましょう。と,いきなり,視界がパッと広がります。すばらしい展望です。東は六甲山から西は広峰山あたりまでの大パノラマが広がっています。よく見ると,明石海峡大橋も見え,播磨灘が冬の日の光を受けてキラキラと光っています。手前には,加西の街並みや善坊山,笠松山の山塊が見えます。標高300mにも満たない小ピークからの展望とは思えないほどです。先ほどまでのヤブといい,この大パノラマといい,低山あなどりがたしです。

  
愛宕山の祠 愛宕山から広峰山方向を望む
愛宕山の祠
愛宕山から広峰山方向を望む

あたりには,祠があり,酒ビンが放置されているので,ふもとの村の人たちが初日の出を見るために登ってくるのでしょうか。南向きの広場(D)は,北風がさえぎられ,暖かです。12時になったことですし,ランチタイムにしましょう。冬の日の光をいっぱいに浴び,大パノラマを楽しみながら食するランチは至福の一時です。1時間40分に及ぶヤブ漕ぎの苦しさはすっかり忘れ去ってしまいます。学習能力のないことは,シアワセです。

再び,ヤブヤブヤブ

ランチを終え,再び,縦走の開始です。ピークにもどり,尾根を進みます。ピーク付近には踏み跡があったものの,すぐにヤブヤブヤブです。あいかわらず,MTBを担ぐものの,ツルがからまり,木の枝がひっかかり,倒木が行く手をさえぎっています。なんとかMTBをヤブから取り出すものの,今度はイバラの攻撃です。バリバリバリ!イテテテテェ〜!先ほどの愛宕山ハイキングコースの極楽ダウンヒルが,幻覚だったように思えてきます。

こんな尾根でも,鞍部ではところどころでMTBで走ることができます。とはいっても,それは数mだったりしますが…。でも,くやしいので数mでも乗っちゃうもんね。そして,再び,ヤブの登りです。木の枝とツルとイバラの三重奏が,完璧なヤブのハーモニーを奏でています。が,引き返すこともままならず,前進?漸進?あるのみ。

270のピークを過ぎても,あいかわらずのヤブヤブヤブです。もちろん,展望は全くありません。道さえあれば,MTBで快走できる尾根ですが,それも今となっては,叶わぬ夢。目の前にあるのは,倒木と木の枝とツルとイバラのクァルテットです。再び,ヤブに突撃!バリバリ,バキバキ,ベリベリ,ブリブリ,ギャァアアア〜!イッテッテッテッテェ〜!

  
ヤブ その2 三角点 点名奥山寺
ヤブ その2
三角点 点名奥山寺

待望の峠へ

急な斜面を登ると,本日二つ目の三角点(四等三角点 点名奥山寺 260.2)(E)です。近くにはピンクテープがあり,尾根を下っているようです。その尾根の先は,来る時に見た奥山寺でしょう。だとすれば,この尾根を下れば,今までのようなヤブ漕ぎからは開放されるはずです。でも,それではちょっとくやしい!せめて奥山寺からの破線の峠に降り立ちたいものです。距離もさほど遠くはなさそうです。

と,S田さんが妄言を発しています。「この段差は,山城跡やないかなぁ」なるほど,あたりを見ると,人工的な段差があちこちにあります。すぐ近くの小ピークにも段差があります。石垣こそありませんが,山城跡に行くとよく見かける地形です。あながち,S田さんの発言は,妄言でもなさそうです。ところが,下山した後,ふもとの村人に聞いても「山城があったなんてことは聞いたことがない」という返事だったそうです。ナゾの段差です。

最後の急な下りをそろりそろりと下ると,峠(F)です。あたりは植林のために薄暗く,ちょっと不気味です。峠には,石像はなく,この峠を拡幅工事をした記念の石碑があるだけです。S田さんは,自慢の赤外線眼力を凝らして解読に挑戦していますが,風化が激しく,ほとんど読めないようです。この峠道を,ふもとのお坊さんは籠に乗って越えたのでしょう。道幅は広く,斜度は緩やかですが,この道がふもとにまで続いているのでしょうか。

  
植林の中の峠 極楽だぜ〜!
植林の中の峠
極楽だぜ〜!

峠道は極楽極楽

もうこれ以上の縦走はあきらめ,峠道を下ることにします。快適です。極楽です。MTB,最高ッス!こんなきれいな道が山奥にあるなんて,信じられまへん。植林の中を気持ちよく下るものの,ふもとの奥山寺が見えるころになると,道はシングルトラックになっています。山道の拡幅工事は,峠付近だけだったようです。MTBに乗れない箇所があり,こんな道をお坊さんを乗せて籠を担いだという昔の人たちのパワーにビックリです。最後は,池の脇を下り,お寺の石段のふもと(G)へ。石段の脇には,案内板があります。

市指定  ふるさとの森  奥山寺
樹林名  奥山寺の森 樹種モミジ・シイ・スギ等
               主木スギ(幹囲2.7m)
平成元年9月   加西市教育委員会

せっかくですので,石段を上がってみましょう。長い石段の上には,紫・白・赤・黄・緑の幕を張った奥山寺があります。さらにその脇の石段の上には,鮮やかな朱塗りの搭が見えます。これも行ってみましょう。

車道から登ってみると,多宝塔があります。2階建てなのに,多宝塔とはこれいかに?昔の人にとっては,1の次は,「たくさん」だったのでしょうか。2・3ぐらいは数えてよ〜。…なに?そんな問題ちゃうってか?ヤッパリ

  
奥山寺多宝塔
奥山寺多宝塔

奥山寺
白雉元年(西暦650年)法道仙人の開基と伝えられる真言宗の寺院で,姿のよい多宝塔を持つことで有名です。
この多宝塔は,宝永6年(西暦1709年)に再建されたもので,木造3間瓦葺,垂木は平行垂木で上重の組手は四手先組になっています。
棟梁は宇仁郷大工村(現在の加西市大工町)住人神田作左衛門実清と伝えられています。
なお,昭和27年補修されました

      緑の回廊自然歩道  兵庫県・加西市

今日は久しぶりにヤブ漕ぎをしてしまいました。しかも,MTBを持ってのヤブ漕ぎは,もう大変。あすはクリスマスイブだというのに,神戸ではルミナリエが開かれているというのに,3連休の最終日だというのに,傷だらけになってのヤブ漕ぎ!低山,手強し!あなどれ〜ん。


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