尾根は新緑の海 三久安山(2003.5.3)


GWはマイナーな山へ

  
P・@〜F
P・@〜F

ゴールデンウイークの後半。日本中が渋滞と混雑で大変な時期です。山も例外でなく,県下で有名な氷ノ山や千ヶ峰などは,多くのハイカーでにぎわっていることでしょう。そんなにぎわいが苦手なので,今日はマイナーな山で新緑を楽しむことにします。久しぶりにS田さんが同行です。行き先は,三久安山。この山には,2000年秋に登ったのですが,その時は紅葉が終わり,ほとんどのブナの木は葉を落としていました。今回は,そのブナの木で尾根が新緑の海になっていることでしょう。楽しみです。

いつものように,千年水を汲み,藤無峠への林道を進みます。小原の集落を抜け,志倉への分岐点を過ぎると,道は地道になりますが,普通車でも通れるほどの路面です。地形図で586地点から左の林道に進みます。谷川沿いの林道の左は,伐採地が広がり,木を切り出した跡もあります。しばらくすると,ワゴン車と遭遇。車を置いて,ここ(P)からは歩きましょう。

急登の末に…

準備を終え,出発です。当初の予定では,藤無峠に自転車を置いて,ここから歩きというつもりでしたが,藤無峠から歩いてもさほど距離はないだろうといういつもの楽観的観測で全ルートを歩くことにします。5月初旬とはいえ,初夏を思わせる日差しです。上はTシャツだけでのんびり歩きます。カーブの箇所から尾根に通じる谷を調べますが,いきなりの河渡りの上,斜面が崩壊しているのでパス。林道の終点に行ってみましょう。途中で,このあたりの林には有害動物の忌避剤を撒いているという看板が立っています。鹿の害に悩む林業従事者の気持ちはわかりますが,忌避剤を撒くというのはどうなんでしょうねぇ。人や動物に害がないんだから,いいのかなぁ。

林道の終点(@)は,地形図通りです。左手の斜面の伐採地へは続いていませんでした。林道の終点からは,山道が斜面に延びています。薄暗い植林の中の道です。谷道になると,植林の境に点々と標識の杭が立っています。氷上とか,津山とか書かれています。営林署が何かの実験をしているのでしょうか。

杭が途切れると,尾根まではもう少しですが,急斜面に汗がドット噴き出します。植林が雑木林に変わると,頭上に鮮やかな新緑の海が広がります。足元は,落ち葉のじゅうたんです。ところどころに咲いている白い花がアクセントになっています。期待通りの光景に歓声を上げる我々。急斜面をあえぎながら登った甲斐があるというものです。林道終点から30分です。ここ(A)から尾根づたいに南下し三久安山のピークです。

  
新緑の尾根への急登 残雪の氷ノ山
新緑の尾根への急登
残雪の氷ノ山

新緑の海を歩く

尾根に登ると,ブナの大木があちこちにあり,頭上に新緑の海が広がっています。我々は,その新緑の海の底を進むヤドカリといったところでしょうか。尾根からは,新緑の向こうには,藤無山が雄大な山容を誇っています。振り返ると,残雪のある氷ノ山が遠くに見えています。尾根の西側,波賀町側は植林が広がっているので,西側の展望があまりよくありません。チョッピリ,残念。

尾根は徐々に高度を上げながら,三久安山に近づきます。あいかわらず,頭上と左手には新緑の海が広がり,気持ちのいい山歩きができます。足元には落ち葉のじゅうたん。ササはありますが,枯れてしまっているので,歩きには問題なし。左手に藤無山を見ながら,進みます。ところどころに,上部が赤ペンキで塗られた境界の石柱があります。

  
藤無山 三久安山山頂
藤無山
三久安山山頂

そして,歩くこと30分で,三久安山山頂(B)です。ここには,三角点があります。なぜか,この三角点も赤ペンキで塗られています。まわりは木立ちに囲まれ,あまり展望はよくありません。山名プレートが数枚かかっているものの,これらがなければ,尾根の一ピークにすぎない感じです。ここでちょっと休憩です。同行のS田さんは,無線でオシャベリです。南の木立ちの間を見ると,一山と東山が見えます。東に延びる尾根を探検すると,踏み跡があります。この尾根をたどると下山できるのでしょうか。

  
三久安山山頂から見る一山と東山 新緑の尾根
三久安山から見る一山と東山
新緑の尾根

展望を楽しみながら尾根歩き

休憩を終え,尾根を戻ります。再び,新緑の海を進みます。行く手を見ると,植林の間から残雪の氷ノ山がきれいに見えます。目の前に新緑を見ているだけに,氷ノ山の残雪が不思議な気がします。ましてや,扇ノ山なんて,今週でもスキーやスノボーができるのでしょうから,ビックリです。

点在するブナの大木に感動。ブナの若葉のみずみずしさも春らしい。時おり,聞こえてくる鳥の鳴き声にも,春らしい明るさがあります。GWの賑わいや渋滞とは無縁の気持ちのいい山歩きです。あまりの気持ちのよさに,MTBが欲しくなってしまいます。三久安山からの下りは,乗り乗りです。でも,山頂まで誰がMTBを持って上がるネン?

登ってきた谷を過ぎ,1012手前の鞍部へ。ここから少し登り返して,1012のピークへ。ランチタイムに少し早いので,もう少し行きましょう。1067のピークあたりでランチタイムかな?植林と雑木林にはさまれた新緑の尾根を進みます。しだいに枯れたササが一面に広がり,少し歩きにくくなってきます。とはいえ,ササは枯れているので,強引に進むとパキパキと折れてしまいます。

左手には,あいかわらず,植林が続いていますが,その間から西の展望が開けています。氷ノ山はもちろん,その手前には戸倉スキー場,その上部には,赤谷の頭,その左手には波佐利山が望めます。音水湖が見えないのが残念です。足元には,タチツボスミレが咲いています。そして,1067のピークへ。しかし,このピークも木立ちで展望がありません。しかたがないので,もう少し進んでみましょう。

  
こんな花もあり あんな花もあり
こんな花もあり
あんな花もあり

見晴らしのいい伐採地

このあたりからは,ブナは少なくなり,低木の多い雑木林になりますが,若葉は少なくなってきます。春先の光景です。少しの場所の違いで,こんなにも光景が違うのかとビックリ。すぐ先のピーク(C)にまで行くものの,あいかわらずの展望の悪さにあきらめ,ランチタイムにします。いつものように,こうどんとコンビニ弁当ですが,初夏思わせるこの日は,熱〜いこうどんよりもざるそばの方がよかったかも。もう,そんな季節なんですねぇ。食後のコーヒーもいただき,満腹,満腹。

お勤め?を終えたS田さんとともに藤無峠を目指して出発。地形図を見ると,峠まで1時間ほどですが,途中の伐採地からの展望が楽しみです。下り始めると,それまで枯れていたササが,このあたりからは青々として元気です。踏み跡がわかりづらく,ちょっぴりミスコース。赤ペンキで塗られた石柱と変色したテープに導かれながら,ササの尾根を進みます。しばらくは,なだらかな下り基調の尾根を進みますが,いきなり,目の前の視界が広がります。伐採地(D)です。正面には藤無山が見えています。右手には,三久安山と今まで歩いてきた尾根も望めます。

  
若葉 伐採地の向こうに藤無山
若葉
伐採地の向こうに藤無山

伐採地は,植林がきれいに切り払われた斜面ですが,幼木は植えられていません。つまり,切りっ放し?尾根には,木の間にはしご状に木を打ちつけていますが,間隔が広すぎるので,はしごとしては使えません。いったい,何のためにこんな木を打ちつけたのでしょう。その脇の木には,人の顔ほどもあるサルノコシカケ?が生えています。

藤無峠へ

伐採地の尾根は,ササはなく,歩きやすくなっています。左手は木立ちのためにさほど展望はよくありません。右手の展望を楽しみながら,尾根を下ります。伐採地から藤無峠への尾根(E)に入ると,ササが密生し,踏み跡すらありませんが,峠はすぐそこです。尾根を外さないように気をつけながら,歩いていると,植林へ。植林の中でも尾根を外さないように気をつけ,藤無峠(F)へ。ランチポイントから1時間足らずです。

ほとんど車が通ることのない藤無峠から車を止めた地点(P)までは,林道歩きです。途中で花の写真をとりながら,ぶらぶら歩きです。車やMTBでは見過ごしてしまいそうな花も,歩きなら興味津々。たまには歩きもええもんや。

今回で2回目の三久安山でしたが,出会う人はなく,静かな山歩きを楽しむことができました。しかも,新緑の尾根,雄大な藤無山,残雪の氷ノ山,鳥のさえずり,道ばたの花,春を大いに感じた山行きとなりました。メデタシ,メデタシ。


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