スリルと展望の岩場その2 高巖山縦走(2003・7・26)


  
P・@〜G
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またもや岩場へ

ようやく梅雨が明け,本格的な夏の到来です。とはいえ,梅雨前線が南に下がったままなので,北からの寒気が入り,天候は不安定ですが,湿気の少ないさわやかな日が続いています。今週の山歩きもwithoutMTBです。

先週の岩場からの展望とスリルに味をしめ,今週も岩場のある山へGO!お山は,相生市の感状山の東にある岩山です。正式な名前はわかりませんが,ふもとの人の話によると「祇園山」という名だそうです。山頂には石の鳥居があるとのこと。でも,そのずっと向こうの岩ピークは?というと,その名はナゾです。

矢野神山万葉歌碑

  妻籠る矢野の神山露霜に匂ひそめ  たり散らまく惜しも

  朝露ににほひそめたる秋山に時雨な降りそあり渡るがね

作者は,柿本人麿と思われる。
石見の国と大和との往還の途次,たまたまこの磐座神社境内の黄葉を見聞きして,感に堪えずこの歌を詠んだもの。
碑面の文字は「西本願寺万葉集」による。
        相生市教育委員会  相生市文学碑設立協会

座光石

此の処に竝び立つ座光石は即ち岩座の大神なり往昔山上より天降り給ふ磐座神社の名は是に由来す

磐座神社のコヤスノキ叢林  兵庫県指定天然記念物(昭和58年3月)

このコヤスノキは,トベラ科の常緑低木です。葉は花長いだ円形で光沢があり,小枝の先に集まってついています。5月ごろ新枝の先に淡黄色の花をつけ,飽きには直径1cmばかりの球形の果実をつけます。
コヤスノキは,中国地方中部,岡山県東部と西播地方に限って分布し,相生市では,磐座神社・瓜生羅漢渓など,谷沿いの照葉樹林内に,チトセカズラとともに広く生育しています。
中でも,この磐座神社の杜のコヤスノキは,みごとに群生している珍しいものです。
               相生市教育委員会

登り口はいずこ?

この山域のHPは,「播州野歩き」「兵庫の山」「山頂の岩石」「とんび岩通信」で紹介されています。どの写真・記録を見ても,岩ピークからの展望の良さには大いに期待がもてます。道路脇(P)に車をとめて,出発です。正面の神社から谷を登るようですが,それらしい道は見当たりません。うろうろするものの,結局,近くの家のおばあさんにお訪ねすることにします。

いつものように,S田さんの出番です。「何,なさってるんですか〜ぁ?」おばあさんに案内をしてもらい,神社の北側に回り込みます。夏草が繁り,道らしいものはありませんが,強行突破すると,なんとしたこと!夏草の茂みの向こうに,山道があるじゃあ〜ありませんか!植林の中の作業道のようですが,はっきりとした山道が右手の尾根に延びています。

  
祇園山の大岩 権現山山頂
祇園山の大岩
権現山山頂

植林の中の道だけに,夏草はないものの,急です。早速,汗がにじみ出ます。左手に大岩を見ながら,山道を登ります。そして,尾根へ。岩ピークは左手に進みますが,せっかくなので尾根の右手も探険。踏み跡をたどり,尾根の先端に向かうと,古い石灯籠があります。明かりを灯す穴はありません。なんでだろう〜

祇園山

尾根を引き返し,北に向かいます。しだいに急な登りになるものの,踏み跡は明瞭です。そして,岩ピークへ。ここには大岩が2つあります。手前には,ふもとで聞いたように石の鳥居があります。大岩の根元には,祠があります。ここが祇園山のピークなのでしょう。ちなみに,大岩に登ることはできず。残念。

次は,ふもとから見上げると岩壁が見えるピークです。岩の多い尾根を進みますが,踏み跡が不明瞭ですが,岩の上なら歩きやすい。岩だらけの貧相な土壌にしがみつくようにはえている松は,あるものは朽ち果て,あるものは折れ曲がり,そしてあるものはかろうじて緑の葉をつけている状態です。それらの松の間からの展望を楽しみながら,進みます。しだいに登りが急になり,岩場になると,ピークはすぐです。

一つ目のピーク

岩だらけのピーク(@)ですが,すぐ下の岩壁の方が目立っているので,下からはこんなピークだとは思えません。岩に上に立って,ふもとを見下ろすと,圧倒的な高度感です。たかが250mほどの標高とは思えません。もちろん,この岩場から転落すると,助からないでしょう。今週もまた,スリルと展望の山行きです。楽しいなぁ〜。

いつものように,S田さんとあれやこれやといいながら写真を撮るので,少しも進めません。そのわりには,大した写真ができないのは,実力発揮といったところでしょうか。三角点ピークと大岩ピークを一望しながら,岩尾根を進みます。途中で,木立に囲まれた尾根道となることもありますが,踏み跡は明瞭です。

三角点ピークから大岩ピークへ

登りきると,目の前には尾根が左右にあります。三角点ピークは,左へ。三角点には測量用のポールが立っています。その向こうには,展望の良さそうな岩場があります。早速,行ってみましょう。いくつもの岩が集まったような尾根の先端です。北を見ると,遠くに家島,小豆島の島影も見えます。その手前は赤穂の山やまでしょう。眼下には祇園山からの稜線が一望でき,足元には車道を通る車がチョロQのように見えています。ここもすばらしいビューポイントです。

  
高巖山の大岩その1 高巖山の大岩その2
高巖山の大岩その1
高巖山の大岩その2

でも,もっとスリルがありそうなのがその先の岩ピークです。小さなピークが2つ。それを過ぎると,尖った岩ピークが空に飛び出しています。南からはとても登れそうにありませんが,北からだと登れるかも。岩を巻き,北側に出ると,案の定,登れそうです。岩の凸凹に手をかけ,ピークへ。

ピーク(A)に立つと,文字通り360度の展望です。これまで登ってきた祇園山からの尾根が一望でき,ふもとの集落も小さく見えています。そのはるか遠くには,西島と小豆島。北に目をやると,三濃山のピークも見えています。車道をはさんだ向こうには,感状山の平らなピークが見えています。もし,人がいれば,おしゃべりができるような距離感です。その稜線の少し下に丸いたまご型の大岩があります。S田さんは,興味津々の様子。その岩に名前まで付けてしまいました。「たまご岩」…そのまんまです。東には,ほとんど車の通っていない新しい自動車道が見えます。さわやかな涼風が吹き抜け,真夏とは思えません。あまりの気持ちのよさに眠ってしまいそうですが,寝入ってしまって,寝返りを打つと転落必至です。命がけのお昼寝になりそうです。

give me MTB!

大岩ピークを下り,ふたたび,尾根を縦走します。ところが,大岩からは道が急にはっきりとしています。傾斜もなだらかなので,MTBでもダウンヒルが楽しめそうです。歩きやすくなった道に気をよくして一気に下ります。鞍部に下ると,関電の「火の用心」が立っています。この鞍部(B)は,東の榊と西の能下を結ぶ峠になっているようです。それらしい古い石柱も転がっています。

さて,これから,どうする〜 もうこれ以上進んでも大した展望も期待できそうにありません。「火の用心」があるので,道は整備されているでしょうが。ここから下って,本日2つ目の岩場ピークとして伊勢山を目指したいところですが,それもちょっとジャマくさいかも。とりあえず,この上にある高圧線鉄塔に行ってみましょう。

よく整備された巡視路を登り,ほどなく一つ目の鉄塔へ。二つ目の鉄塔はさらに上です。巡視路は歩きやすいものの,木立に囲まれており,まったく展望はありません。単調な尾根道です。でも,逆だとMTBで乗り乗りダウンヒルが楽しめそうです。先ほどの大岩からの下りといい,ちょっと道がよくなると,ついついMTBで下ることを夢見てしまいます。困ったものです。

二つ目の三角点

あり得ない夢を見ながら,二つ目の鉄塔(C)へ。ここからは南の展望がよく,今まで歩いてきた尾根が一目で見渡せます。その尾根の途中には,飛び出した大岩ピークが目立っています。ランチタイムには少し早いですが,先ほどからS田さんが「腹減った〜」コールを連呼しているので,ランチタイムにします。もちろん,食後は真夏にもかかわらず,煎れたてのホットコーヒーです。やっぱ,コーヒーはホットでなきゃあ。

  
高巖山への縦走路
高巖山への縦走路

早いランチを終え,早速,すぐ上の三角点を見物です。地中深く埋もれ,頭をチョコッと出しています。その三角点を守るように,周りに石が置いてあります。巡視路はさらに続いています。展望はあまり期待はできませんが,引き返すのもイヤなので進みましょう。

途中で,巡視路は右の谷に向かっていますが,それでは尾根を下ってしまいそうです。尾根を北上し,北にある車道に進むには,それではダメ。ところが,巡視路の分岐点からも尾根につかず,離れず,山道が続いています。しかも,急な斜面では九十九折りに登るようになっており,歩きやすいことこの上なし。いったい,こんな山奥に何のためにつけられた山道なのでしょう。何に利用されていた道なのでしょう。ナゾ,深し。

別荘地へ

まわりは雑木林から植林になり,前方に古タイヤ発見!…???何でこんな山奥にタイヤが…?不思議に思って先を見ると,道らしくなっています。足元を見ると,落ち葉の間から舗装された路面が見えています。!!!なんと!!!こんなところに車道!?不思議に思って進んでいると,左手の谷に下る道があり,正面には交差点らしきものまであります。どうやら,別荘の分譲地のようです。宅地造成まではできず,車道をつけたところで,開発をやめたようです。これもはやり,バブル景気の名残なのでしょうか。それにしても,あのバブル景気というのは,何だったのでしょう。5年ほどの好景気のために,今もそのつけを払わされているなんて。

今はすっかり落ち葉におおわれてしまい,二度と車が通ることのない舗装路を歩きます。道路脇には消火栓まであります。と,前から人が。バードウォッチング用のスコープを担いています。舗装路をさらに下ると,左手に廃棄物が山盛りになっています。右手の谷には池があります。車道をさらに下ると,今度は土砂の採取場です。そして,出口へ。別荘地の入口のようになっていますが,今はガードレールとチェーンで車は進入禁止です。

峠から三濃山へ

さて,これからどうする?S田さんは,峠まで登り相生市と新宮町との境界尾根を西へ,三濃山から南下し,巡視路で下ろうという魂胆です。これから車道を下るだけではおもしろくないので,それもいいかなぁ。でも,おそらく,展望のない林の中の道なのでしょうねぇ。三濃山からの下りの所々にあるビューポイントが楽しみかな。それに,たまご岩?

車道を歩き始めるとすぐに「県立自然公園 少年テント村 建設予定地」の朽ちた看板があります。これも,あのバブル景気の遺産なのでしょうか。さらに車道を登り,峠(D)へ。今は三濃山トンネルができ,こちらの道を利用する車は少ないようですが,トンネルができるまでは,この道が幹線道路だったのでしょう。峠付近はコンクリートの法面なので,境界尾根に登ることができません。峠から北に少し下ったあたりから侵入。植林の中に山道がついています。これはラッキー!気分よく進みますが,やがて倒木と藪におおわれ,消滅。境界尾根を見つけ,進みます。広くなだらかな尾根道は,MTB乗り乗りです。境界を示すコンクリート杭「K2××」が点々と続いています。

例によって,MTBがあったらなぁとぼやきながら尾根を進みます。途中で,ミスコース。ほどなく,尾根ルートに復帰し,尾根を進みます。小さなアップダウンはあるものの,さほど急ではありません。それでも,きっちり,汗はかきます。トンネル上部までに峠道が1本。崩れたお堂?が瓦だけを残しています。そして,トンネル上部の峠へ。ここは,先ほどの峠のようなお堂はなく,あまり峠らしくはありません。

ここから三濃山を目指しますが,今までのような境界杭は見当たりません。でも,上に登っていけば,三濃山です。尾根を西に進み,徐々に高度を上げていきます。三濃山の山頂が近くになると,竹林が出現。あたりの地形を見ると,平らになった所には,求福寺に関係のある建物があったのかもしれません。そしてようやく三濃山山頂(E)へ。

久しぶりの三濃山

三濃山山頂のシンボルのアカカシはもうすっかり朽ち果て,二代目が脇に植えられています。南向きの展望は,木を切ったためか,以前よりよくなっています。播磨灘に浮かぶ家島群島,その右手奥には小豆島の島影が見え,それらの奥には四国が見えています。左手には,淡路島です。姫路の海岸部の工場群も見えています。

これから感状山に向かって南下です。途中の巡視路から,たまご岩へ行ってみようとS田さん。せっかくなんだから,感状山まで行きものです。どちらにしても,感状山方向へ南下しなきゃあなりません。お寺をぬけ,三濃山トンネルに向かう下り道の途中から南下。今まで何度かこの山道をMTBで走ったことはありますが,歩きは初めてです。さほど急なアップダウンはないものの,MTBなら快適に走れるはずの山道を歩かなきゃあならないのですから,かなり不満です。

  
三濃山のアカカシ 感状山への縦走路から見る家島群島と四国
三濃山のアカカシ
感状山への縦走路から見る家島群島と四国

たまご岩へ

見るべきものもなく,さっさと先を急ぎます。まず,一つ目の鉄塔です。さらに下ると,ビューポイントがいくつかありますが,それほど展望がいいというわけではありません。二つ目の鉄塔からは,道は薄暗い谷に下り,登り返して三つ目の鉄塔です。たまご岩のある鉄塔は,まだ先です。339.3の三角点ピークを過ぎたあたりから「火の用心」に従って,巡視路を下ります。鉄塔が見えてきます。たまご岩は,その先の尾根の先端にあるようです。道も踏み跡もありませんが,近いので,行ってみましょう。

シダにおおわれた尾根を強引に進みます。と,前を行くS田さんが大きな声を上げました。イノシシがいたそうです。やばい,やばい。イノシシの方が逃げてくれたので,よかった,よかったです。そしてとうとう,尾根の先端(F)へ。木の間からたまご岩が見えています。近寄ってみると,とても登れるものではありません。真ん丸の岩壁のあちこちに小さな木が生えているだけで,ハーケンの跡もありません。かといって,フリークライミングもできません。しかたなく,写真におさめましょう。それにしても,たまご岩の見事なこと。近くで見ても,きれいなたまご型の岩です。ふもとでは,この岩のことを「きんちゃく岩」とよんでいるのでしょうか。たまご岩の向こうには,朝歩いた稜線と岩場がくっきりと見えています。

  
たまご岩(きんきゃく岩)
たまご岩(きんちゃく岩)

大変な巡視路

たまご岩に登ることをあきらめ,巡視路で下ることにします。ところが,この巡視路がとんでもない道です。地形図通りの急斜面につけられた巡視路は,下るにつれて道とよべるようなものではなくなり,単に谷を下っているだけという感じです。今まで何本も巡視路を利用してきましたが,これほどまでに荒れた巡視路を見るのは初めてです。立ち木につかまりながら,足を滑らせながら,ヨタヨタと下ります。中ほどに「火の用心」が立っていますが,ルートがわからないのであまり意味はなさそうです。靴がどろどろになったころには,眼下に車道が見え始めます。そして,車道(G)へ。見上げると,車道の向こうには大岩ピークがそそり立っています。

今回は,「スリルと展望の岩場その2」ということでしたが,ランチタイムにした鉄塔から三濃山まではほとんど展望なし。ただ歩いただけでした。三濃山からは,一つ目の鉄塔を過ぎたあたりから展望がよくなります。それを考えると,大岩ピークから峠に能下に下り,能下から荒れた急な巡視路で登りたまご岩を見物。そして,登れそうなら登ってみる。登ることができれば,おそらく,人類初の快挙でしょう。そのたまご岩の見物が終われば,感状山縦走路へ出て,感状山へ。このルートがお勧めですね。

 

登り始め8:40  祇園山8:55  天狗岩ピーク9:10  三角点9:43  大岩ピーク10:00  鉄塔11:18  別荘地12:15  三濃山14:00  たまご岩15:25  下山16:00


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