1粒で2度美味しい 冨土野の山やま(2003.9.28)


  
P・@〜F
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秋晴れのハズが…

今週末は,秋晴れが続くという天気予報にもかかわらず,朝から西の空には黒い雲が広がっています。天気を気にしながら,加古川を出発。しばらくすると,車のフロントガラスに雨粒が。こりゃあ,ヤバイ!でも,天気予報では晴れるということだったし…。とりあえず,目的地の一宮町に行ってみましょう。ところが,生野町に来ると,雨だけでなく,風も強くなってきました。車外の気温は17度を示しています。ますます,ヤバイ!

ところが生野町を過ぎ,笠杉トンネルあたりに来ると,雨は上がり,風もさほど強くはありません。青空も見えています。先ほどまでの雨は,通り雨だったようです。やれやれ,これで一安心。気分よく冨土野峠のふもとにある冨土野の集落を目指します。

途中で,「ふれあいの水」を発見。早速,ペットボトルにつめることにします。ここの名水には,時間が早いためか,ポリタンをいっぱい車に積んでくる人はいないようです。ペットボトルに名水をつめ,冨土野を目指して,再スタートです。

一宮の名水  ふれあいの水
このふれあいの水は,桑垣山の山頂500mの所で地下水として湧き出て,昔から,この地域の皆さんが健康の水として親しまれて来た水であります。このたび検査の結果,水に含む成分はPh6.9,硬度50度以下,マンガンカルシウム1.1と飲料水に適していることが証明されました。
人間の体内の70%は水分であるので,これ正に健康の水であります。これを機に地域の皆さんに,この水を活用していただきながら,ふれあいの場としてその輪を広げ,交流を深めて行きたいと思います。

     平成11年4月   村づくり実行委員会

パラダイス・廃村跡

峠の手前から左手の谷に向かって下ります。細い道ですが,すぐに冨土野の集落が見えてきます。まずは,「大身谷銀山」跡が見えます。続いて,十数軒ほどの冨土野の集落。静かな山間の集落です。さらに進むと,植林の中の薄暗い道になります。が,植林はすぐに抜け,再び渓流沿いの道になります。今度は右手にキャンプ場らしい施設が出現。人はいるようではありませんが,新しいログハウスもあります。広場には滑り台があったり,炊事場があったり。はて?これは何でしょう。久しぶりのパラダイズネタ?

車はさらに進み,営林署の作業小屋?のある分岐点(P)に到着。S田さんによると,これ以上行っても,今日のコースは周回コースで,帰りがしんどくなるだけということなので,この分岐点に車をとめることにします。歩きの準備をして,出発です。分岐点からは右の林道を進みます。路面には倒木はなく,荒れている様子はありません。この林道は,よく車が通っているようです。

しばらく,林道を歩いていると,右手の谷に作業場のような広場(@)を発見。シダの群生地には,ネットで仕切られている所が何箇所かあります。広場には,コンテナが積み上げられており,その向こうのは簡易トイレも見えます。ブルーシートで覆われているものもあるようです。いったい,これは何の作業場なのでしょう。あとで聞いたところによると,以前は,ここに大路という集落があったとか。その跡地を利用しているのでしょうが,いったい…???

  
一宮名水「ふれあいの水」 三角点 点名大路
一宮名水「ふれあいの水」
三角点 点名大路

目指すは鞍部

それから林道はすぐに終点となっています。さて,これからどうする〜。目の前に流れる小川の上部が,目指す鞍部であることは確かですが,道がはっきりとしないのも確かです。とりあえず,流れに沿って登ってみましょう。植林の中には杣道があるので,それを利用することにします。しばらく登ると,いよいよ谷の両サイドが急になり,踏み跡もなくなります。見ると,右手の小さな尾根が歩きやすそうです。右手の尾根に登り,植林の中を登ります。あまり下草のない植林なので,歩くには支障はありませんが,傾斜が急なのでけっこうシンドイ。来る時の車の中で心配した寒さはどこへやら。しっかり,汗をかいてしまいました。

植林の中の急斜面を登りながら,鞍部へ向かいます。そして,急斜面を横切り,鞍部(A)へ。鞍部から見ると,南北どちらの稜線にも行けそうです。ハッキリとした道はありませんが,下草がないので,木の間ならどこでも歩くことができます。足元は,ふかふかの落ち葉の絨緞です。気持ちよく,尾根歩きの始まりです。

目の前の三角点ピークへの急な上りで一汗。登り終えると,苔むしたブロックに囲まれた三角点(四等三角点 点名大路 822.3)が出迎えてくれます。残念なことに,展望はまったくありません。我々以外に人の気配もまったくありません。静かなピークに,我々のうるさいしゃべり声だけが響いています。

歩きやすいものの展望がない尾根とピーク

三角点ピークをあとに,尾根歩きの再開です。今までと同様,歩きやすい尾根ですが,展望がほとんどありません。アップダウンもほとんどなく,このあたりだけならMTBで走ることは可能でしょう。ただ,写真を撮ると,この尾根はどこで撮ってもほとんど同じ景色です。変化に乏しい尾根歩きです。

小さなアップダウンを繰り返し,本日,2つ目の三角点ピーク(B)へ。三角点(三等三角点 点名古屋山 759.9)のそばには,朽ちた測量用のポールが落ちています。ここでランチタイムとしましょう。S田さんは,お約束の無線を試みていますが,展望がないのと標高が低いのとで,交信はできないようです。食後のコーヒーをいただき,尾根歩きの再開です。

  
三角点 点名古屋山 気象観測器?
三角点 点名古屋山
気象観測器?

しばらくすると,S田さんがビニールに包まれた白い物体を発見。昨今,話題の某国のものかと思いきや,そこには気象庁米子測候所の文字が。開けてみると,何やら測候用らしい機械が入っています。アンテナもあります。こんなものが風船に乗って但馬の山中にまでやって来たのかぁ。ちなみに,風船は見当たりませんでした。

高層気象観測
 高層気象観測は、上空の大気の状態を知るために気象観測器を気球に吊るして飛揚させ、高度約30kmまでの気圧、気温、湿度、風向・風速を観測するものです。この観測は世界中約900か所の観測所で同時刻に行なわれており、日本では18か所の気象台や測候所及び4隻の海洋観測船で行なっています。得られた観測データは、天気予報や気候変動・地球環境の監視に用いる他、航空機の安全な運行に欠かせないものとなっています。  (米子測候所のHPより)

尾根歩き再開。時々,北側の展望が開け,御祓山や須留ヶ峰などが見えますが,それも部分的です。大パノラマというわけにはいかず,かなりがっかりです。展望は望めませんが,アップダウンの少ない歩きやすい尾根です。まわりは雑木林なので,紅葉の時期はきれいでしょう。

  
峠手前のピークから 峠道出口にあるお地蔵さん 缶ビールの屋根がなんとも…
峠手前のピークから
峠道出口にあるお地蔵さん 缶ビールの屋根がなんとも…

小さなアップダウンを過ぎ,しだいに車の音が聞こえるようになると,木々の間から道路が見え始めます。冨土野峠はもうすぐです。峠手前の2つ目のピークからは,多少展望が開けています。木立の間からですが,暁晴山が見えています。峠への最後の急斜面を下り,峠(C)へ。峠は,苔むした石組みが残ってはいるものの,他に何もなし。S田さんお目当ての石像もなし。峠道は,車が通れるほどの広さがあり,ゆるやかに下っています。S田さんの聞き取りによると,古い峠道は,峠から谷に向かって下っていたとか。広い峠道を下り,車道へ。現在の冨土野トンネルから100mほど下ったあたりです。車道に出た所には,S田さんお目当ての石像がありました。でも,その屋根は…缶ビールでできている。

このまま車道を下るのかと思いきや,S田さんは「トンネル手前の谷を下ろう」と言う。行ってみると,谷は不法投棄のゴミだらけ。あまり気が進まない。しかも,このゴミ,谷を下っても,下っても,尽きることはありません。結局,冨土野の集落の外れの植林(D)へ出ます。これから,倉床側沿いに車に戻ります。

鉱山跡見学

このあと,冨土野銅山跡(E)へ。HPを検索しても,この鉱山の記述はなし。でも,あちこちにズリや抗口があります。もちろん,抗口はしっかりと閉ざされ,有刺鉄線の柵まで張り巡らされています。近くに落ちている鉱石を見ると,青緑色のものがついています。おそらく,銅の二次鉱物である孔雀石でしょう。

孔雀石(Malachite) Cu2(CO3)(OH)2 炭酸塩鉱物 単斜晶系
孔雀石は銅鉱床の酸化帯に最も普通に産出する鉱物で,塊状・皮殻状・針状結晶・繊維状等をなし,希塩酸に発泡して溶ける。珪孔雀石・赤銅鉱などをともなうことが多い。 (『日本の鉱物』監修・(財)益富地学会館 より)

  
冨土野銅山の抗口 孔雀石?
冨土野銅山の抗口
孔雀石?

帰りは,大身谷銀山跡(F)の見学です。ここは,十数年前にも来たことがあるのですが,ズリからはめぼしいものが見つからず。というより,見つけられず。ここは,銀山とありますが,金・銀・銅のメダル素材が採れたそうです。もちろん,そんなものが見つかるはずはありません。

今日は,山歩き&鉱山跡見学の「1粒で2度美味しい」山行きとなりました。メデタシ,メデタシ。

 

峠10:35  三角点ピーク(大路)10:52 三角点ピーク(古屋山)11:35 冨土野峠13:00 車道13:15 下山13:35 パラダイス13:50


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