稜線には秋風が…ない!暑い!熱い!高砂全山縦走ハイキング(2003.9.15)


  
P・@〜K
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アルプスつながりで

数日前から少し爽やかな空気が流れてきました。さほど残暑も気にならなくなったこの時期,HPで見て気になっていた和気アルプス縦走に行く予定にしていました。ところが,9月から11月までは松茸シーズンで入山禁止とか。松茸どろぼうにまちがわれるのはイヤなので,和気アルプス縦走は冬場に行くことにして,今回は同じく「アルプス」つながりで「播磨アルプス」に出かけることにしました。ただ,高御位山の縦走だけなら数年前にしているので,今回は以前から気になっていた「高砂全山縦走ハイキングコース」を行くことにします。ただし,全山縦走ハイキングコースがどの山を通るのかがわかりません。プレートは日笠山連山と豆崎から高御位山を通り北山への縦走路に設置されているので,そのあたりの山なのでしょう。

車を高砂市総合運動公園(P)にとめ,出発です。まずは,生石神社とその上の展望台に向かいます。石畳の車道を少し登ると,生石神社への参道が真っ直ぐ上に延びています。急な石段の参道の途中で車道が横切っています。さらに急な石段を登ると,生石神社です。この神社は,石の宝殿といわれる巨岩が御神体となっています。『播磨 山の地名を歩く』によると,ここは江戸時代から観光名所だったそうで,司馬江漢や蜀山人,大正時代には田山花袋が訪れているそうです。

モヤで真っ白

その御神体の石の宝殿を右手に見ながら岩肌に刻みつけられた階段を上ると,広場になった展望台(@)があります。ここには,大正天皇が訪れた記念の石碑もあります。東屋もあるその展望台からは,北に高御位山,東に目をやると加古川の街や麓の総合運動公園が一望できます。この日は,モヤのために遠望が効きませんでしたが,空気が澄んでいれば播磨灘に浮かぶ太島,遠くは四国まで見渡すことができます。ここには,全縦ハイキングコースのプレートがないので,コースではなさそうです。

  
生石神社の展望台から高御位山を望む 竜山の石切り場
生石神社の展望台から高御位山を望む
竜山の石切り場

いったん,総合運動公園に戻り,今度は竜山です。東の登山口から観涛処へ抜けることにします。東から登山口は,石切り場の前を横切るようにして山に向かうと,その入口に「竜山登山口」の木のプレートがあります。入口はわかりにくくなっていますが,道は明瞭です。

登り始めは水の流れる道で,突然の侵入者にカニがあちこちに逃げ惑っています。道は明瞭ですが,路面は粘土質なので,水にぬれると滑ること滑ること。靴の底がなくなったんじゃないかと思うほどの滑り様です。

路面に気をつけながら登っていくと,しだいに展望が開けてきます。振り返ると,加古川や高砂の町並みがモヤの中にかすんでいます。そしてほどなく,竜山山頂へ。ここには三角点(二等三角点 点名石宝殿)があり,航空測量用の白いプレートもきれいに残っています。ふもとから見ると,山頂よりもそのすぐ近くにある携帯電話用のアンテナの方が目立ちます。この山頂には,古墳があったとのことで,別名は「でべそ山」ともいうそうです。

  
竜山の三角点から日笠山連山を望む 観涛処
竜山の三角点から日笠山連山を望む
観涛処

竜山も全縦コースじゃない?

山頂からは,アップダウンの少ない広い尾根道が西に下っています。途中の鞍部には,石切り場の全景が見渡せるスリル満点ポイントもあります。尾根道の西端は広場(A)になっており,そのすぐ下には観涛処と彫られた巨大な岩があります。先ほどの生石神社付近もこの竜山も凝灰岩でできており,比較的加工しやすい岩といわれています。そのせいか,大昔から石棺や石仏に利用されています。現在は,石垣用の石に使われているとか。

ふもとの加茂神社には,空鉢塚があります。 なるほど!この鉢が飛んでいるのを見て,UFO伝説が生まれたのかぁ。だとすると,法道仙人は罪つくりやなぁ。

空鉢塚
法華山一乗寺の開基法道仙人の空鉢伝説にちなんで神浄寺の和城師の主唱で建てられたものである。法道仙人は,インドの霊鷲山にこもって仙術を修行した。その上,仙人は不思議な術を心得ていて,自分は山でお経をあげていながら空の鉢を空中に飛ばしてお布施を受けていたので,みんなは法道仙人と呼び鉢が飛んで来ると食物や米を入れて帰した。仙人はよく竜山の岩の上に鉢を置いて沖合を通る船に飛ばし食物を乞うたといわれる。
なお,この空鉢塚は画家曽我簫臼の弟子萬月の設計によるものである。

       高砂市  高砂市観光協会

空鉢塚の横には,歌碑もあります。なんともわけのわからない神社をあとに,日笠山を目指します。車道や田んぼの中の道をぶらぶら。どこから見ても,高御位山が見えています。さすがは播磨アルプスの主峰です。散歩気分で歩くこと小一時間。日笠山へ。ここには,配水タンクがあり,山頂(B)は公園になっています。ここにも三角点(四等三角点 点名日笠山)があります。その脇には,石柵で囲まれた菅原道真ゆかりの腰掛岩があります。付近には,貝塚や古墳もあったそうです。

  
空鉢塚 日笠山の腰掛岩
空鉢塚
日笠山の腰掛岩

公園化した日笠山縦走路

日笠山縦走の始まりです。いつもは,冬場にマラソンの練習に走ることが多いコースですが,歩くのは初めてです。道の脇を見ると,ツリガネニンジンの水色の花があちこちに咲いています。小さなピークである北山に上がると,夫婦岩があります。昔は安産のための信仰の対象となり,オコゼを供えていたという。以前は,このピークからの展望が良かったのでしょうか,朽ち果てた展望図があります。今では木立のために,まったく展望はありません。

短いものの急な下り上りで大北山へ。そして急な下りを下ると,右手の木立の間から播磨アルプスが見え始めます。この下りには,竹でできた手すり?が設置されています。播磨アルプスを見ながら下りきった所が,馬坂です。昔は馬が化けて出てくると言う言い伝えがあったり,キツネの嫁入り行列の伝説が伝承されたりした所です。現在ではここに,タクシーの電話番号の書かれた看板があります。ハイキングに来た人たちが利用するのでしょうか。

馬坂から少し登ると中筋山。高圧線鉄塔が足元に見える小ピークですが,以前は畑の中の道だったのですが,今ではあたり一帯が広場になり,お休み所となっています。このあたりから山道の様子が以前とはすっかり違っています。道の両側はきれいに除草され,何箇所かにお休み所があります。さらには,そのお休み所にベンチはもちろん,野菜類までが植えられていたりしています。すっかり,近所の公園化しています。六甲山系でいえば,鷹取山かな?

今日は誰もいないお休み所を越え,一本松ピークが一望できるポイントである六本松に到着。ここから少し下ると,北浜トンネルの上部です。ここにも古びた展望図がありますが,成長した木立のためにほとんど何も見えません。木の枝でできた階段を下ると,北浜トンネルの上部,清勝寺坂(C)です。全縦コースのプレートはここにもあります。おそらく,全縦コースはここから豆崎の高御位山登山口にいっているのでしょう。でも,ちょっと寄り道を。

  
清勝寺坂 一本松から見る日笠山連山
清勝寺坂
一本松から見る日笠山連山

ついでに展望岩へ

清勝寺坂からさらに西に尾根を進み,一本松ピークと展望岩に行ってみましょう。急な上りを登ると,右手には播磨アルプスが一望でき,眼下には新幹線やJR線,姫路バイパスが見えます。なぜか,道の横にはさびついた有刺鉄線があります。いったん鞍部に下り,登り返しです。この鞍部付近は,数年前まではヤブっぽかったのですが,今ではすっかりハイキング道になっています。尾根に上がると,T字路です。三角点のある一本松は左へ。

三角点(四等三角点 点名北脇)の脇には,航空測量用の白いプレートが3枚,きれいに残っています。この一本松ピーク付近からは,播磨灘の景色が見事ですが,この日はモヤのために真っ白。東を見ると,日笠山からの縦走路が一望できます。日笠山縦走は,先ほどの清勝寺坂で終わってしまいがちですが,是非,この一本松ピークまで足を延ばすことをおすすめします。

一本松ピークでパワーバーを1本。カロリーメイトなどとは違い,薄い柔らかな板状の補給食です。さほど美味しいとは思えませんが,エネルギー補給のためのいろんなものが入っているような感じはします。カロリーはご飯一杯分。味はともかく,カロリーメイトのようにビスケット風じゃないので,食べやすいことは確かです。お腹が少し満たされたところで,これまたついでに展望岩へ行きましょう。先ほどのT字路を直進。しだいに両側の笹ヤブが迫ってきます。クモの巣もあちこちに。木の枝でクモの巣を払いながら,尾根を西へ。下り始めると,目の前に大岩(D)が見えてきます。岩の上に立つと,今まで見えなかった西方向の展望が広がっています。モヤがなければ,姫路城が見えたかもしれません。

道はこの展望岩まで。清勝寺坂まで引き返します。清勝寺坂からは林道を下り,常寿園へ。北浜トンネル出口付近に出て,そこから豆崎登山口までは30分ほどの車道歩きです。新幹線をくぐり,天神橋を渡り,JR曽根駅を見ながら,R2へ。豆崎の歩道橋から少し人家を過ぎたあたりに「高御位山登山口」(E)の小さなプレートがあります。初めての人には,このプレートはなかなか見つけにくいでしょう。

  
展望岩にて 点名大谷1 三角点
展望岩にて
点名大谷1 三角点

暑い,暑い!

人家の横を登り,林を抜けると,早速,急な岩場の出現です。爽やかだった朝の空気は,この頃にはすっかり夏の空気になっています。しかも,真昼の太陽は背中を直撃してきます。早くも汗ビッショリになりながら岩場を過ぎ,尾根の先端へ。振り返ると,日笠山連山が一望できます。これから三角点ピークまでは,低い木立と岩場が連続する展望のいい道です。暑いながらも気分よく登ります。途中に,古墳?がありますが,案内板はありません。これが,経塚山古墳なのでしょうか。

登りきると,三角点ピークは少し先です。三角点(三等三角点 点名大谷1)付近には,航空測量用の白いプレートもあります。まわりの木立のために,あまり展望はよくはありません。木には「豆崎奥山」のプレートがかかっています。が,豆崎奥山は先ほどの上がったところのピークで,このピークは大平山だという説もあります。ということは,明治から大正初期にかけて米相場を伝えるための旗振り信号所があったところ?なるほど,木さえなければ展望はいいものね。

それにしても,山名については,こだわりのある人がいるようです。まったくの見当違いの山名なら話が通じないかもしれませんが,わずか数十mの違いのピークをあれこれいったって,あるは昔の本ではそのピークは別の名前だったなんていったって,それはたんに知識をひけらかしているに過ぎません。古文書に書いている山名が正しいとは限りません。所詮,山名なんて,その時代に多くの人に使われている呼び名にすぎません。氷ノ山だって,須賀ノ山といわれた頃もあったのですから。

迫力の大岩壁

三角点ピークから下っていると,正面に見える190ピークから下ってくる人を発見。遠目には急に見える岩場を下っているその姿を見ると,この山塊が播磨アルプスという名にふさわしいように思われます。190ピーク手前の小さなピークに登ると,右手に高御位山が見えます。そのふもとには,区画整理された耕地が幾何学模様を描いています。300mほどの低山である高御位山ですが,ふもとから一気にそそり立つ様は,播磨富士の名もふさわしく思われます。

急な岩場を登り,190ピーク(F)へ。ここからは,鷹ノ巣山(鹿島山)とその直下の大岸壁,そして百間岩が見えます。その百間岩を登る人は,アリのように見えています。播磨アルプスのスリルと迫力が実感できるポイントの一つです。ここから一気に下り,鹿島神社への分岐点のある鞍部です。この鞍部から見上げると百間岩が壁のようにそそり立っています。さびた遊具を見ながら,展望台?へ。ここで,エネルギーゼリーを食します。結局,今日のランチは日笠山で食べたパワーバー1本とこのゼリー1個ということになってしまいました。おまけに,水分は1リットルだけ。ハンガーノックはないでしょうが,まだまだ残暑の厳しいこの時期では水分が不足するかもしれませんが,それも実験です。熱中症を体験することも必要?

見た目ほど急ではない百間岩を登り,高圧線鉄塔(G)へ。ここからは,展望のいい稜線歩きです。ハイカーも多くなってきます。右手に馬の背の岩尾根を見ながら,岩だらけの急なアップダウンを繰り返し,鷹ノ巣山へ。ここにも三角点(四等三角点 点名地徳)があります。ここから山道は,東へと向きます。正面に高御位山を見ながら,アップダウンを繰り返します。さほど激しくはないアップダウンですが,それでも今までの疲れがたまっているのか,けっこうシンドイ。岩だらけの道が,土の道に変わるあたりでは,木陰もあります。が,風はなし。はっきりいって,全然涼しくはありません。先ほどの展墓尾根歩きだって,太陽の直射は受けるものの,風がないのでまったく涼しくはありませんでした。嗚呼,無情。

  
百間岩 高御位山山頂
百間岩
高御位山山頂

高御位山までもう一息というところで,MTBerがやってきました。こんなところをMTBで走ったって,乗車率は消費税ほどもないでしょう。おまけにハイカーが多いので危険です。高御位山は,MTBにはふさわしくない山のように思うのですが…。

人気スポットの高御位山

そして,ようやく高御位山山頂(H)へ。山頂はいつものことながら,たくさんの人が思い思いに憩っています。上半身裸で寝ている人。歌をうたっている人。政治談義に花を咲かせている人。集団ハイキングの人たち。親子ハイカー。多くの人たちを惹きつけるこの高御位山の魅力は,なんといっても山頂からのこの展望でしょう。足元には,切れ落ちた岸壁。播磨臨海工業地帯を一望し,その向こうには播磨灘。さらには淡路島や四国も見えます。残念ながら,この日はモヤのために,それらは真っ白です。やっぱり,山登りは空気の澄んだ時でなきゃあねぇ。

  
高御位神社の裏にある三角点 高砂全山縦走ハイキングコースのプレート
高御位神社の裏にある三角点
高砂全山縦走ハイキングコースのプレート

山頂でしばし休憩のあと,北池に向かって下山です。以前,高御位山縦走をした時とは,逆回りになります。高御位山神社を過ぎ,長尾への分岐点を過ぎると,岩場の下りです。乾いた岩場なので,靴のグリップがしっかりと効いています。気持ちよく下り,小高御位山へのピークへ登り返します。振り返ると,高御位山山頂直下の岩壁が鎧のようです。あの岩壁の上からグライダーで飛んだという渡辺信二さんは,どんな気持ちだったのでしょう。気分爽快でもあり,恐ろしくもあり。今ならこの岸壁の上からパラグライダーで飛ぶ人って,いるのでしょうか?

小高御位山へのピーク(I)を過ぎ,下りに向かいます。足元に見える鞍部からは,また急な上りが始まっています。その上り道に何人かのハイカーがいます。高御位山へのルートというと,東の成井,南の長尾,西の鹿島神社,この3ルートがガイドブックによく紹介されていますが,この東回りのルートを歩く人もけっこういるようです。

  
小高御位山へのピーク手前から見る高御位山 183ピーク
小高御位山へのピーク手前から見る高御位山
183ピーク

2本目の高圧線鉄塔のあるピークからは,左右に巡視路が下っていますが,全縦コースは尾根を直進です。しばらくして,183ピーク(J)へ。ここは,東の神吉と南の北池への分岐点となっています。全縦コースは,もちろん,南の北池に向かっています。ゆるやかに下る尾根道からは,竜山が見え,左手下にはゴルフ練習場も見えています。先ほどのMTBerは,こちらを下ればハイカーも少なく,乗車率も高かったでしょう。

しだいに高度を下げ,三角点(四等三角点 点名北池)を過ぎると,全縦コースの終わりです。最後は竹林を抜け,地蔵堂(K)に出て縦走の終了。とはいえ,これから車をとめた総合運動公園まで30分ほどの歩きです。今回のコースが,高砂全山縦走ハイキングコースだったかどうか,定かではありませんが,さほど間違ってはいないでしょう。6時間あまりのコースでしたが,そのうちの2時間は町の中を歩きました。つまり,山歩きは4時間ほどということです。あまり長くはない時間ですが,残暑の厳しいこの時期はなかなか大変でした。低山,侮りがたし。

  
全縦コースの終点の地蔵堂
全縦コースの終点の地蔵堂

 

生石9:10  竜山登山口9:20 三角点9:30 観涛処9:40 日笠山10:30 トンネル上部11:05 三角点11:23 展望岩11:38 高御位山登山口12:20 奥山豆崎12:35 百間岩13:05 高御位山13:50 小高御位山14:20 分岐点14:38 下山15:00


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