岩場から釈迦を眺める 鶴觜山(2003.9.27)


  
P・@〜D
P・@〜D

3年前の記憶では…

3年前,この地で開かれたOL大会の際に,岩場の続くなだらかな鶴觜山をじっくりと見ました。地形図を見ても,標高はさほど高くはありませんが,岩場が多く,展望がよさそうです。等高線を見てもなだらかな稜線なので,運がよければ,MTBに乗れるかもしれません。久しぶりにwithMTBで山歩きをします。

ルートは,南端の神社から稜線をたどり,三角点ピークへ。そこから破線の鞍部に下りて,それからは未定です。それまでにMTBに乗れなければ,さっさと退散しましょう。帰るときだけでも,MTBの恩恵にあずかれそうです。

南端の神社付近で車をとめる所を探すものの,結局なし。少し北の揖保川右岸の駐車場(P)にとめることにします。久しぶりのMTBで,まずは磨崖仏を見学です。神社の鳥居の脇(@)には,このあたりの案内が絵入りで書かれています。

県指定重要文化財 「觜崎磨崖仏磨崖仏」
ここから北へ100mの所に「觜崎磨崖仏」があります。磨崖仏は,舟型の光背をもつ地蔵尊で,切り立った岩壁に彫られています。この地蔵尊には「右志逆善廻向藤原□□建立 文和三年十月廿四日」の銘が彫られており,文和三年十月二十四日につくられたことがわかります。紀年銘のある石仏では,県内最古のものです。
なお,この磨崖仏より,北へ少し行った岩壁にも,可愛らしい地蔵尊が四体彫られています。

国指定天然記念物 「觜崎の屏風岩」
屏風岩の岩脈は,鶴橋山を形成する流紋岩質凝灰岩の地下から石英安山岩質のマグマが貫入して冷え固まってできたものです。この岩脈は硬い岩石でできており,周囲の岩石よりも風化に対して強く,そのため周囲の山肌が風化され,この岩脈が露出し,さながら屏風を立てたように直立しているのです。屏風岩の岩脈は厚さ4〜7m,高さ5〜12m,またその総延長は川底から尾根まで120mあまり露出しています。岩脈の上部はY字形に二分しており,山頂付近に登ってみると発達した節理の状態がよくわかります。

「寝釈迦の渡し」
ここから南へ50mの所が「寝釈迦の渡し」と呼ばれた美作街道の渡し場の跡です。このあたりから西方の山々をながめると,あたかも釈迦が頭を南に向け,横たわっているように見えるので,こう呼ばれました。

  
觜崎付近の案内板 觜崎磨崖仏
觜崎付近の案内板
觜崎磨崖仏

揖保川の対岸にある鶏籠山から的場山,亀山の山容が,釈迦が寝ているように見えるということです。フ〜ン。これから登る鶴觜山は,鶴首山ともいわれたそうですから,その山容が鶴のくちばしから頭に見えたということ?ホンマかいなぁ。

県指定文化財 嘴崎磨崖仏  指定年月日昭和44年3月25日 所有者・管理者新宮町
揖保川東岸の鶴嘴山岸壁に彫られたこの磨崖仏は,舟形光背をもつ等身大の地蔵立像である。地蔵尊は,蓮華座の上に立ち,右手に錫杖,左手に宝珠をもつ。舟形光背の向かって右側には大きな梵字があり,その下に「右志趣者相当藤原□□□廻之忌辰也藤原 文和三年(1354)十月廿四日…」の銘があり紀年銘のある磨崖仏としては県下最古のものである。この磨崖仏は俗に「いぼ神さん」「いぼ取り地蔵」として古来信仰されており,対岸には拝殿がある。
なお,この磨崖仏より上流へ約15mの岸壁にも4体の地蔵立像が彫られている。

    平成2年11月         兵庫県教育委員会

磨崖仏と地蔵立像を見物し,鶴觜山の南端に向かいます。南端は神社ですが,いきなりの石段があり,すぐ前の車道から丸見えです。MTBを担いで神社の石段を上がるのは気がひけるので,すぐ横の林道を進みます。左手に墓地を見ると,前方の竹林の前にはOLポストがあります。その下には,単線の姫新線が通っています。稜線は,墓地の上です。

  
寝釈迦を眺めながら岩場を逆走 寝釈迦
寝釈迦を眺めながら岩場を逆走
寝釈迦

岩場からの展望良し!

MTBを担ぎ,墓地を抜け,稜線に登ります。標高は数十mほどですが,それでも木々の間からは揖保川の流れや寝釈迦の姿を眺めることができます。墓地の外れからも細い尾根が続いています。道は,草がおおってはいるものの,明瞭です。林の中を抜けると,岩壁が見えます。さらに登ると,岩場の出現です。さほど急ではない岩場です。少し登って,振り返ると,揖保川の流れや寝釈迦がはっきりと見えます。ついでに,MTBに乗り,岩場を逆走して記念撮影です。

馬の背の岩場はさらに続きます。見上げると,上にいくにしたがって急になる岩場は,withMTBではちょっと危険?しかも,SPDの金具の付いた靴では,さらに滑りやすくて危険です。足元を確かめながら慎重に登ります。下から見ていたほどの勾配はなく,やれやれ。岩場を登り,木立を抜けると,目の前に大岩の登場です。ここ(A)が,鶴觜山(鶴首山)の山頂でしょうか。

  
急な岩場の上り 鶴觜山山頂の大岩
急な岩場の上り
鶴觜山山頂の大岩

山頂の岩には節理が見られ,屏風岩の上部にあたるようです。山頂岩からの展望はすばらしい!東には峰相山,南は竜野の街並み,西は亀山,岩峰の祇園嶽も見えています。足元には,揖保川が流れ,高度感もすばらしい!お手軽コースだというのに,この展望。予想通りの展望のよさにニコリ。吹く風も爽やか。秋を感じます。

  
大岩ピークから見る三角点ピーク 大岩ピークから愛宕山・奥池を望む
大岩ピークから見る三角点ピーク
大岩ピークから愛宕山・奥池を望む

三角点ピーク(笠松山)へは,もうひとがんばりです。尾根はいったん東に向きます。先ほどの鶴觜山から,赤テープとピンクテープのマーキングがあります。このあたりからは,尾根道は展望のない林の中の道となります。シバのような細い木が生えており,MTBに絡みつきます。少しの空間を狙って,MTBに乗っては見るものの,10mほどで乗車不能に。次の小ピークでも,展望岩場があります。三角点ピークや南の愛宕山を見ながら,風に吹かれます。ふもとの公園では,子どもたちが野球をして遊んでいます。

三角点からは展望なしの雑木林

三角点ピークを目指して,縦走の開始です。しだいにシダが足に絡みつくようになり,枯れかけた赤松の林になります。赤松林の中にシダの群生という光景は,播磨灘沿岸の山ではよく見られるものですが,あまり気分のいいものではありません。三角点ピークへの上りを登り終える手前にも,展望岩場があります。山頂には,三角点(四等三角点 点名池ノ内 263.2m)(B)がありますが,木立に囲まれているので展望はほとんどありません。

  
三角点ピーク 三角点ピークからの尾根を快走?
三角点ピーク
三角点ピークからの尾根を快走?

三角点ピークからも,潅木の林です。時おり,強引にMTBに跨りますが,長続きはせず。ムダな抵抗です。進むにつれて,道は悪くなり,まわりの木々も密生してきます。こうなると,MTBは単なるお荷物です。しかも,ハンドルやペダル,ホイールに木の枝などが絡みつくので,もう大変。おまけに,クモの巣もあったりして…。これじゃあ,峠から次の三角点ピークに行っても,MTBに乗れる可能性はまったくありません。峠から下山しましょう。

峠への最後のピーク手前の鞍部から,西に下ることができるということですが,見たところではあまりはっきりとした道ではなさそうです。最後のピークへは,所々に赤テープはありますが,踏み跡がほとんど消えてしまっています。シダとシバに悪戦苦闘しながら登ります。時には,野イバラもあったりして,イテテェ。今日は半パンじゃなくてよかった,よかった。

峠から撤退

長細いピークに到着。平坦な個所では,凝りもせず,MTBに乗りますが,数mで不可。幾度となく,同じことを繰り返し,峠への下りにかかります。なだらかな下りですが,倒木と潅木,シダ,下草のためにMTB乗車不能。足元に気をつけながら,薄暗い林の中を下ります。峠に近づくにつれて,あたりは植林になります。そして,峠(C)着。広い道が,峠をはさんで南北に延びています。林道として作られた道なのでしょう。尾根の続きを見ると,とてもMTBに乗れる状態ではありません。予定通り,この峠から下山することにしましょう。

  
薄暗い峠 植林の中の鉄オリ
薄暗い峠
植林の中の鉄オリ

峠から少し下った所に,林道があります。地形図にある破線の道でしょう。行ってみましょう。しばらく登ると,右手に池。さらに行くと,植林の中に鉄のオリがあります。見ると,中には白い粉と糠のようなものを盛り上げています。エサなのでしょう。オリの大きさから考えると,イノシシの捕獲用でしょうか。植林を登り,尾根へ。尾根を少し下った所に,少し広い山道があります。早速,MTBに乗って気持ちよく下ることにしましょう。見ると,前方の谷の少し上には新しい林道ができています。山道を下りきると,先ほどの新しい林道に出合います。そして今度は,林道を下ります。右手に林道が2本分岐していますが,地形図にはなし。

林道をさらに下ると,とうとう車道へ。車道は,すぐ上で通行止めになっていて,立ち入り禁止の看板があります。車道の出口(D)には,胸像のような石像があります。地形図の破線ルートは,立ち入り禁止の先にあるようですが,ゲートあるので止め。車道を下り,揖保川堤防へ。車に向かっていると,川向こうの屏風岩や岩壁が見事です。

今日は3時間足らずの山歩きwithMTBでしたが,途中の岩場からの展望は抜群!さほど労力は必要とせず,これだけの展望が楽しめる山って,そんなにないでしょう。貴重な山行きで,メデタシ,メデタシ。

 

墓地9:15 ピーク(鶴觜山)9:35 ピーク10:00 三角点ピーク10:15 峠11:10 車道11:30


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