Nurseは居ない? ナースバシ=ナガスラシ・ナガズラシ(2004.2.1)


  
P・@〜F
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ナース=Nurse?

今回は,同行のS田さんが腰痛ということで,withoutMTBです。歩きならここがええでぇというS田さんが指定した山名は,「ナースバシ」なんと!「ナース」だって。この「ナース」という単語に異常に反応しているS田さんは,前日から興奮気味です。それにしても,「ナース=nurse=看護婦」という意味なら,山名としてはちょっと?です。しかも「バシ」って何?「ナース=看護婦+橋」=「看護婦橋」何のこっちゃ?ウーロン茶,抹茶に紅茶,何だっチャ?

北のピークから上る予定で登山口を探すものの,ちょっとしたハプニングがあり,仕切り直し。車で山すその道を走っていると,阿草の集落の外れに「山中大岩」の標柱と祠が目につきます。登り口かどうはともかく,早速,おジャマしてみましょう。林道の入口付近(P)に車をとめ,準備はOK。すぐ近くにある「山中岩大師」(@)に行ってみます。

山中岩大師
旧京街道端であり,旅人が足の無事を祈願したといわれる。特に足の病に霊験があり,神経痛,癌完治や受験御礼等に各地から参拝する人があとをたたない。高さ7mの岩に大師の像が浮かんでみられる。像の足許から湧き出る清水に霊験がある。阿草部落百生会が管理
               1982.2  阿草文化財管理委員会

御詠歌 都への道はるかなり山中の 大師おろがむ旅ぞ安けり
山中岩大師御和讃
緑の山に抱かれて 眠るが如き穏やかなり  阿草の里の水上の 京大阪への通ひ路に
不思議や姿現れて 衆生を済度なし給ふ  その有難き因縁と 功徳を唱えあげまつる
天地をゆるがす雷の 音諸共に山裂けて  崩れ落ちたる山の端の 屏風の如く立つ岩に
勿体なくもお大師の 尊像奇しくも浮かびたり  里人これを仰ぎ見て 遠く高野のお山より
弘法大師の再来と 深く信じて供養する  幾百年の雨風に 打たれ給ひて欠けいたみ
像さだかに拝めねど 足の下より滴るは  乾く事なき玉の露  岩を通して湧き出ずる
疲れ果てたる旅人の ようよう此処に辿りつき  此の霊水を頂けば 足の痛みも夢と消え
旅安らかに助けらる 未だいとけなきみどり子に  流行り病におそれはれて 身を灼く熱に今はただ
息絶えだえに呻くのみ 見守る若き両親の  心の中ぞいかならむ これを見兼し隣人
夜道を走り山中の 大師の前に額づきて  祈る心も気ぜわしく 此の霊水を頂きて
光明真言唱えつつ 頭にのせて冷やしなば  霊験忽ち現れて さしもの高き熱冷めて
愛しき笑顔見せにけり これぞ大師の慈悲の水  伝え聞きたる人々の 後の世迄も語り継ぐ
諸人ここに詣り来て 吾が身に余る悩み事  大師を信じ祈りなば 峯吹き渡る松風に
悪事災難はらわれて 無病息災しやわせに  家むつまじく栄えあり 権勢極むる王者にも
悟究めし聖者にも 天の定むる命あり  老少不定のあわれなる 大師を常に念づれば
永患いの憂いなく 天寿を全うする時も  眠るが如く安らかに 極楽浄土に導かる
邪念を捨てて縋る時 願の叶はぬ事ぞなし  此の限り無きあらたかふ 廣大無辺の功徳をば
信ずる者こそ恵まれて 必ず成就させ給ふ  老いも若きも幼きも 誠盡して願ふべし
南無有難や岩大師 南無有難や岩大師

      阿草老人クラブ 黒田逸治作歌

新しい建物の中には御詠歌が掲げられ,山中岩大師の由来もあります。何でも,正面の岸壁に弘法大師の姿が浮き出すとか。どれどれ?ところがいくら凝視しても,なつかしの3D視力を使っても,弘法大師どころか,何の絵も浮かび上がってきません。やはり,信心がないので見えないのでしょうか。S田さんと眺め透かしつ見るものの,やっぱり何も見えません。はて?この岩壁で弘法大師の姿を認めることができたなら,写真に記録してほしいものです。

  
山中岩大師
山中岩大師

マツタケ道?

ふと見ると,岩壁の左を巻く道が尾根に上っています。周りの松の木は切られています。どうやら,作業用の踏み跡のようです。踏み跡は尾根の上の方にずっと延びています。これをたどれば,ナースバシへ続く稜線に行けるでしょう。Let’s GO!

ところが,この尾根道,急なこと,急なこと。MTBを持っていなのに,しばらくすると息が切れます。はぁはぁ,ぜぃぜぃ。春を思わせる柔らかな日差しのこの日,汗がどっとふき出します。急な尾根道からは,斜面に水平に道が何本か延びています。松が多い山域ということから考えると,これらの道はまつたけ狩りの際に利用する道のようです。

急な上りは15分で終わり,稜線が近づいてきます。まつたけ山らしく,ロープがあったり,ネットがあったりしています。これらは,通常は害獣除けのものでしょうが,ここでは人間除けとなっているようです。

ピーク(A)には石柱があるだけですが,北と東にはきれいな踏み跡があります。とりあえずは,北のピークに行ってみましょう。地形図によると岩場があるようなので,展望が期待できそうです。それにしても,この山域は,マツタケ山らしく?空き缶やゴミがあちこちにあります。自分たちの山だからって,何をしてもいいというわけではないでしょうにねぇ。

本日唯一のビューポイント?

北のピークは一旦下り,上り返します。ネットやロープが続き,しっかりとテリトリーを主張しています。低いシダの中の踏み跡をたどると,ビューポイントに出ます。ネットの向こう側は幼木を植えたエリアになっています。展望のない尾根で,ここが唯一のビューポイントです。南に松尾山から白髪岳の山塊が一望できます。S田さんによると,高圧線鉄塔の並ぶ尾根のピークが音羽山で,そこにはMTB乗り乗りコースがあるとか。なるほど,尾根はなだらかです。が,標高があるのでそこまでの担ぎが大変そうだギャ。

ビューポイントを過ぎるとピーク(B)はすぐです。ここにもネットがあちこちにあり,にぎやかです。ネットをくぐり,崩落地の上に出ると,今度は西から北の展望が開けています。山頂付近に雪の残る千ケ峰から笠形山の稜線が見えています。更なる好展望を求めて,地形図にある岩場を探すものの,結局は見つからず。岩場だったら,もっと展望がいいのになぁ。ちょっぴり残念ザンス。

北への稜線には明確な踏み跡は見つけれられず,先ほど登ってきたピークに引き返します。このピークから東へ。山南町と篠山市との境界尾根ですが,それらしい石柱や杭もなし。しかし,道は明確なので,何ら迷うことはありません。激しいアップダウンはなく,のんびり山歩きです。展望がないのが残念です。この尾根道なら歩きよりもMTBでつっ走る方が楽しそう。

  
尾根道にはこんな木も 尾根道にはあんな木も
尾根道にはこんな木も
尾根道にはあんな木も

いくつかのアップダウンを過ぎると,植林が右手に現れてきます。作業道らしい道も現れ,いよいよMTB乗り乗り尾根道です。S田さんと二人でMTBがないことを悔やむものの,最初の急斜面をMTBを持って登るのは大変ということで納得。でも,せっかくなので,作業道らしい道をたどってみましょう。

三角点ピークのナースバシ

作業道は,尾根の右にいったり,左にいったりしていますが,ナースバシのあるピークにに向かっていることは確かです。Give Me MTB!と叫びながら進みます。ナースバシのあるピークへは,巻くように作業道はつき,南にある小峠からの稜線と合流します。ピークはすぐ上ですが,ナースバシと呼ばれるピーク=三角点ピークは,境界線より少し東に行ったところです。

境界線ピーク(C)から1分ほどで三角点(三等三角点 点名味間山 438.6)のあるナースバシへ。あたりは樹木に囲まれて,まったく展望はありません。三角点から少し下がったあたりにTVアンテナがあります。杭も新しいので,今でも使われているアンテナでしょう。三角点のあたりを見回しても,山名プレートがまったくありません。あるのは,ピンクのテープのみ。いくら山名が珍しいたって,やっぱり,こんな展望のない低山を訪れる人はいないのでしょう。ちなみに,WEB上でもこの山の記録はないとか。

ちなみに,この「ナースバシ」という名前。もちろん,山頂にナース=看護婦にちなんだものは何もありません。下山後,第三村人に聞いたところによると,「ナガスラシ」「ナガズラシ」というそうです。「スラシ(ズラシ)」というのは,山で切った木を谷の斜面を「ずらし」ておろすことだそうです。では,「ナガ」って?それは聞いていません。それにしても,ヘンな名前ですが,他にも「ナガズラシ」とか「コケズラシ」というピーク名もあるそうですから,それらと同じような由来かもしれません。その「ナガズラシ」が,人を経て言い伝えられる間に「ナーズラシ」「ナースラシ」「ナースバシ」となったのでしょう。なんともいい加減な命名ですが,所詮,山名なんてそんなものでしかないのでしょう。ふもとで暮らす者にとっては,どのピークかが特定できればいいだけのことなんですから。

ちょうどランチタイムとなったので,このナースバシ山頂でランチといたしましょう。でも,展望のない,薄暗い山頂でのランチはチョット悲しいものがあります。でも,木立のおかげで風が無いのは,ありがたい。今日のランチは,地元のスーパーでゲットした15品目弁当とミニうどんです。今日は,こうどんを買えなかったのがチョット残念。それでも食後は定番のコーヒーで〆,満腹,満腹。あとは下山するだけです。

  
ナースバシ 点名味間山 快適東尾根道
ナースバシ 点名味間山
極楽東尾根道

MTBで走りたいナースバシ東尾根

ところが,ここで協議事項が発生。S田さんは,先ほどまでの境界尾根を南下し,小峠に出て帰ろうと言います。でも,それでは,1時間もかかりません。それでは,あまりにも呆気ない。せっかくここまで来たのですから,ナースバシ山頂から東の尾根を進み,大国寺から下ろうと提案。見ると,東の尾根へと続く道は,きれいな尾根道です。MTBでも十分乗れそうです。こりゃあ,探検する価値ありでしょう。

東へと尾根道をたどります。木立にはさまれ,あまり展望はありませんが,路面は落ち葉のじゅうたん。しかも,ほとんどアップダウンは無し。これぞ,MTBで走るためにある道です。二人そろって「Give Me MTB〜!」もちろん,誰もMTBを持って来てくれはしません。あまりの極楽さに,S田さんは「今度はMTBで来ようか?」だって。う〜ん,でも距離が短いなぁ。でも,他の山域。たとえば,先ほど見た音羽山へと足を延ばせば,一日遊べるかも。これは,チェックを入れておきましょう。

左手の木々の間から丹波の山々が見えます。金山,馬頭,黒頭峰,夏栗山。大パノラマといかないのが残念です。のんびり尾根歩きを楽しみながら,406ピークへ。下りは,これまたMTBのためにあるようなボブスレー状の道です。こりゃあ,MTBでも来てみる価値,倍増だギャ。予想以上の尾根道にワーワー叫んでいると,尾根道は,鞍部(D)で急に右手に下ってしまっています。正面のピークには,踏み跡程度の尾根道です。左手には,植林の中を下っている道があります。尾根の左手下には,これまた植林の中を進む道があります。さて,これはいかなこと。

MTBだと,右手に下る道を選択したでしょうが,それでは大国寺へは行けません。チョット強引ですが,正面の尾根を登る踏み跡を行きましょう。大国寺へは,正面のピークの東にある三角点を経由して下りましょう。急に悪くなった尾根道を進みます。でも,悪いったって,ヤブ漕ぎをするほどではないので,No Problem です。それでも,MTBに乗ることはできそうにないので,やはりwithMTBの際は,先ほどの鞍部から南にお下りください。

  
金属プレートの三角点 点名岩ケ谷 害獣除けフェンス
金属プレートの三角点 点名岩ケ谷
害獣除けフェンス

フェンス沿いに大国寺

正面ピークは長細いピーク(E)ですが,三角点へは南東の尾根を下ります。急な下りを下り終えると,左手の尾根を探します。正面の尾根を下ってしまうと,三角点へは行けません。左手の尾根に出ると,三角点ピークはすぐです。ここはピークというよりも,尾根の一部という感じです。三角点(四等三角点 点名岩ケ谷 356.4)は石柱ではなく,上部に金属プレートの埋め込まれたものです。ここも,さほど展望はよくありません。

東に延びる尾根道を下りますが,倒木があったり,切り株が出ていたりで,あまりいい道ではありません。下りきった鞍部から下山路を探しますが,無し。正面ピークに近づくと,金網でできた害獣除けのフェンスがあります。尾根道は,まだまだ東に続いているようですが,大国寺を目指す我々は,フェンス沿いを下ることにします。急な下りですが,フェンスを設置するための切り開きなので,歩くのには好都合です。フェンス沿いにそのまま下り,ゲートを抜けて,大国寺(F)へ。

  
大国寺 南麓から見るナガスラシ
大国寺
南麓から見るナガスラシ

大国寺からは車道をだらだら歩き,小峠へ。小峠からは,境界尾根に向かって踏み跡があります。この境界尾根で登って,ナガスラシから東尾根をMTBで走るのが楽しそうです。しかし,再び,この地を訪れる時が来るのでありましょうか。今日は,あまり展望に恵まれず,見所の少ない,チョットさみしい山行きとなってしまいました。嗚呼,無情。


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