山田の里山に歴史を訪ねて 東下城山&帝釈鉱山(2002.2.8)


  
P・@〜I
P・@〜I

三度,北神戸へ

寒さの厳しいこの時期は,MTBで走るとなると,地域が限定されてしまいます。兵庫県の北部は,寒さ+雪でもちろんダメ。シングルトラックが網の目のように走る北摂も,冬型の気圧配置の時は,積雪の恐れあり。だとすると,やっぱり,瀬戸内沿岸もしくはその周辺ということになります。でも,瀬戸内沿岸の山は限られています。と,何だかんだと考えていくと,やっぱり北神戸の丹生山周辺になるかなぁ。ということで,今回も丹生山周辺のお山へ向かいます。それにしても,軟弱な両人です。

いつものように,自然休養村の駐車場(P)に車をとめ,MTBで出発です。今日は,義経道の別ルートから長坂山経由で城山に行こうという目論見です。MTBで走り出すと,風は冷たく,気分がちょっと萎えてしまいます。義経道の別ルートは,地形図には破線で記されており,先日通った義経道は表記されていません。道の雰囲気でいえば,逆って感じです。

連続する急坂

ふもとの集落西下の奥(@)から谷道を登ります。田んぼ仕事用の道らしく,狭いながらも簡易舗装されています。ところが,この舗装路が曲者。急なことは急なのですが,MTBで押して登らなきゃあならないほどの勾配ではありません。ですから,ついつい,MTBに乗って登ってしまいます。ホント,これがシンドイ!

ため池を過ぎると,暗い谷間の道になったり,道の分岐点になっていたり,またある時は田んぼの横を登ったりと変化はありますが,展望はまったくありません。そして,ようやく登りきったと思いきや,今度は谷に向かって下ってしまいます。目指す義経道の尾根道は,はるか向こうです。谷に下りきりると,田んぼ道を再び上り返します。もちろん,MTBに乗ってようやく登れるほどの急登です。ホント,シンドイがやぁ。

ヤッパ,義経道は極楽ザンス

田んぼの最奥からは,目の前に見える尾根(A)に登ります。ようやく義経道と合流です。尾根道はきれいに延び,MTBで楽チンサイクリングです。やっぱり,義経道は楽ですし,MTBで走るのも楽しい。地形図の破線ルートは二度と通ることはないでしょう。

先日同様に義経道を進みます。途中で岩場があったりするので,そこだけはMTBには乗れませんが,あとはご機嫌です。気持ちよく南下し,OLポストを右手に見て農道(B)へ。今回は,この農道を東に上り,地形図の破線ルートで三角点ピークへ直で登ろうとS田さん。それはいいかも。長坂山道との分岐点まで下り,そこから長坂山道を登り返すのは,時間のムダです。それよりも三角点ピークに直接登り,そこから長坂山道で城山への分岐点に向かうのが手っ取り早い。では,行きましょう。

プチ迷走

谷間の農地を過ぎ,ため池に出ます。ため池からは,きれいな道が東に延びています。と,S田さんが左手に踏み跡(C)を発見。これが三角点ピークへの道だということで,レッツゴー!急登を終えると,尾根です。ここは,尾根の南北,それから東西にも山道があります。マーキングのテープもあちこちにあるので,よく利用されている道なのでしょうか。

正面に見えるピークに登りますが,三角点ピークではありません。やや!これはいかなこと!では,ここはどこ?私はだぁ〜れ?今,何をしてたの?でも,テープがあちこちにあり,踏み跡もあるので,何とかなるでしょう。行けるところまで行ってみましょう。と,お気楽に進んでいると,北に深い谷が現れ,現在地が判明。三角点ピークへの破線ルートとは,このすぐ先で合流しているようです。つまり,我々は,遠回りをしたというわけです。やれやれです。それにしても,毎回,どうして,ヤブっぽいルートに行ってしまうのでしょう。まるで,ヤブに引き寄せられているようです。それとも,呪われているのでしょうか。でも,それはそれで楽しかったりもするので,まぁいっかぁ。

  
長坂山道を走る 長坂山鞍部付近
長坂山道を走る
長坂山鞍部付近

三角点ピーク手前の高圧線鉄塔(D)に出ます。左右には巡視路が延びていますが,三角点ピークは,鉄塔の向こうです。タイヤがパンクしそうな刈ったササの道を進みます。鉄塔の先に進むと,三角点ピーク脇の長坂山道に合流。ここからは,MTB乗り乗りコースです。2週間前に来た時と同じルートをたどり,長坂峠,長坂山手前の鞍部,それから鉄塔への分岐点(D')から城山ルートに突入。

城山目指してGO!

あいかわらず,ササヤブっぽい道ですが,何とかMTBに乗車可能。強引に突き抜けると,落ち葉の尾根道。そして植林の谷に下ります。そこからが,背丈ほどのササヤブですが,さほど距離はないので,これまた強引に突破。ササヤブを抜けると,そこは落ち葉の尾根道だった。今回は,倒木を除去し,MTBでより快適に乗れるように整備。でも,我々の他に,この道をMTBで通る人はいるのでしょうか?これって,トリビアな作業だったかも。

前回同様,MTB乗り乗りコースに極楽気分。やっぱ,北神戸の山はMTB天国ザンスねぇ。前回は右手に進んだ分岐点では,知らぬ間に左手の下り道へ。さらに道はよくなり,掘れた道の側面を使ってバンク走行です。極楽気分で下ってみれば,いきなり,幅広の林道へ。巡視路の「火の用心」もあちこちにあります。「???こんなところ,通ってないよなぁ」とS田さん。「そうかいなぁ。でも,この下りは見覚えがあるでぇ」といい加減な返事を返す。こんなええ道に出たんやから,このままつっ走りればええやんと思うのですが,山道探偵団のS田さんはそれでは気が済まないようです。さっそく,山道の調査です。巡視路を調べ,前回通ったルートを調べ,納得がいったようです。やれやれ。

極楽ダウンヒルの再開です。快哉!フラットな地道は高速ダウンヒルコースです。しかし,尾根道をたどって城山に向かうだろうという予想に反して,林道は尾根から少し外れて下っています。???でも,城山はこの尾根の先端なので,直接行けなくっても,ふもとから登ればいいぎゃ。と,お気楽にダウンヒルを楽しみます。

  
ササ原を抜けて ヤブの城山山頂
ササ原を抜けて
ヤブの城山山頂

城山ピークはヤブの中

左手の谷に農地が見えると,ふもとの集落はすぐそこです。集落に下り切る手前の池のほとりでひと思案。城山は目の前なのですが,道が見つかりません。池の東の谷に入ってみるものの,そこから城山へはヤブルートです。しかたがないので,引き返し,右手の小ピークから尾根をたどって城山にアタックしましょう。

右手の小ピーク(E)の上は,小さな畑になっています。尾根はその奥にあります。踏み跡らしいものもあるので,これで行くかぁ。もちろん,MTBは乗車不能。たんなるお荷物です。ったく,もう。ササヤブを迂回し,尾根から城山への急斜面に向かいます。ここまで来ると,踏み跡らしいものすらなく,木々の間をなんとかくぐり抜けて進んでいる状態です。前にも進めないほどの強烈なヤブではないものの,斜面が急なうえに,MTBが木の枝に絡みつくので,なかなか進めません。木の枝を払い,イバラにイテテェ〜,どうよこれ!

悪戦苦闘し,なんとか城山山頂(F)へ。ところが,山頂もこれまたヤブヤブヤブ。お城があったぐらいですから,展望はいいはずですが,なにせこのヤブです。木立の間からかろうじて帝釈山系の山並みが見えるだけ。かなりガッカリ。

伝説の山 城山
遠くからでもすぐそれとわかる木椀を伏せたような山,それが東下の城山である。
城山はその名の通り古城趾,山頂の直下に(犬走り)も残っている。
天正7年織田信長の命を受けた羽柴秀吉が三木城に據る別所長治と対戦した時の古戦場でもあるが,ここは又,城主の娘にまつわる優艶な神婚伝説が伝えられている。

    (『丹生山ガイドマップ−歴史と文化財を訪ねる−』山田民俗文化保存会 より)

しばらく,山頂を探険します。東西に長細い山頂です。しかし,どの斜面もかなり急です。下山はヤブ漕ぎのうえに急な下りになるので,ちょっと大変そう。だからといって,このまま山頂に住み着くわけにはいかないし…。西の斜面を探険。とちゅうに堀切りがあるので,この山頂に城があったことがわかります。堀切りを越え西の斜面に行くと,杭やアンテナがあり,切り開きもあるようです。下山はこの斜面にしましょう。

とりあえず,下山ルートが見つかったということで,我々にしては遅いランチタイムにします。吹く風が冷たく,太陽が時々顔を出す今日の天気では,ひなたぼっこをしながらランチをいただくというのは難しそうです。せめて風だけでも避けようということで,先ほどの堀切りに戻ってランチです。落ち葉のじゅうたんはいいのですが,時おり吹きつける風で寒いがや。それでも,MaxValu弁当にこうどん,食後のコーヒーまでいただき,ランチは無事終了。さあ,下山だ。

S田さんは堀切りから見える道らしいところを調査。結局,道ではなく,断念。ランチタイム前に行った西の斜面を下ることにします。踏み跡らしいものはあるものの,こちらもヤブっぽいことにはちがいありません。イバラを退けながら,木立につかまりながら下ります。なぜか木を切り開いた地点があります。それを突破すると,今度は細いパイプが出現。その向こうにはかすかな切り開きもあります。その切り開きをたどると,眼の前に人家が見えます。やれやれです。あとは,ガケ崩れ防止のコンクリート斜面の上部から池のほとりへ。結局,東下城山は,明確な登山ルートはなしということ?展望もほとんどなかったし…。こういうのを骨折り損のくたびれ儲けというのでありまするや。嗚呼,無情。

帝釈鉱山へ

さて,これからは前回の宿題だった帝釈鉱山跡へ向かいましょう。バス停丹生神社前に石の鳥居をくぐり,「太陽と緑の道」を進みます。丹生会館を過ぎ,車止めのある林道(G)に入ります。林道はしばらくは車が通れるほどの幅がありますが,尾根に上がると山道に変わります。山道をMTBで進み,ようやく廃車が放置された広場に出ます。ここが,帝釈鉱山跡への道の分岐点(H)です。

帝釈鉱山跡への林道の入口には鎖が張られており,トライアルバイクが入れないようになっています。とはいえ,MTBではその脇をすり抜けることができるので,バイクでも行けちゃうかも。林道は帝釈鉱山跡経由で帝釈山へ登るルートなので,利用する人が多いようです。この日も,1人のハイカーに遭遇。この林道はほとんど勾配がないので,鉱山からの鉱石を運び出すためのトロッコなどのレールが敷かれていたのかもしれません。とにかく,楽チン林道です。そして,終点へ。

何もないヤマです

林道の終点付近には,祠があったり,石組みあったりと鉱山らしい雰囲気ですが,肝心の抗口やズリが見当たりません。小川を渡り,登山道に入ります。S田さんによると,鉱山跡はこの上の方だとか。小川に沿ってしばらく登ると,斜面の崩壊したような地点(I)に出ます。鉱山跡はこの奥でしょう。崩れやすい足元に気をつけながら登ると,右手の斜面に鉄柵で塞がれた抗口があります。近寄って覗くと,抗口の奥に暗闇が続いています。

帝釈鉱山
古代中世については明白な資料はない。江戸中期から断続しながら昭和35年頃まで採鉱が続けられていたが,現在は閉山立入禁止となっている。(前掲書)

入ってみたい気もしますが,入ったからといって何があるわけではなく,あるといえば落盤の危険ぐらいです。それよりも,抗口付近の石の中から何か見つかるかな?銅山だったということなので二次鉱物の孔雀石ぐらいはあるかも,という期待があったのですが,とてもそんな雰囲気はありません。谷の奥を見ると,細いながらも滝が見えます。これって,名前はないのでしょうか。

  
帝釈鉱山跡の抗口 抗口内部 青緑の部分は孔雀石かもネ
帝釈鉱山跡の抗口
抗口内部

鉱山跡の探険を終え,登山口付近でティータイムです。今日の山行きをあれこれ話しながらコーヒーをいただきます。時刻は3時前。冬の日差しは,もう夕日のようです。ティータイムのあとは,MTBで林道を走り,丹生山参道に続くコンクリート舗装路を下り,車をとめた自然休養村の駐車場(P)へ。今回も強烈なMTB担ぎはなく,楽チン山歩きwithMTBとなりました。メデタシ,メデタシ。


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