岩を越えヤブをかき分け 藤無山(2004.8.13)


  
P・@〜EG
P・@〜E

今年もかき氷

今年もお盆がやってきて,夏恒例のかき氷ツーリングです。S田さんの提案で,藤無山から東尾根をたどることにします。このルートは,S田さんが最近御執心の「分水嶺」とやらになっているようです。この分水嶺というのは,他にも御執心の人がいるようで,日本中の分水嶺を踏破する計画?した記録?があるとか。分水嶺って何のこっちゃ?!降った水が日本海か瀬戸内海かどちらに流れようと,どうでもええがや。

ということで,今回は藤無山山頂でかき氷を食することに。ただ,いつものことながら,登りルートはノーマルではありません。北の谷にある林道から分水嶺の稜線に登り,その稜線伝いに藤無山を目指そうというのです。MTBの準備はするものの,稜線は走れそうにないので,歩きで行くことに決定。

犬小路林道

R29から若杉峠から新しい道(バイパス)を通って,若杉の集落へ。ここで林道の入口をさがすものの,結局はバイパスから直接入る車道を進みます。狭いながらも舗装されており,道の脇には電柱がたっています。この道が林道になるんかなぁとチョット不安。電柱は,すぐ先の浄水場でおしまい。道は舗装路から地道にかわり,林道らしくなってきます。

ここで,Gエスクードになって初めての4WDを使うことにします。パジェロのように副変速器で4WDにするのではなく,スイッチポンです。いとも簡単に4WDになります。しかし,ハンドリングはほとんど変わらず,これでホンマに4WDになってるの?って感じです。4WD走行の感覚もパジェロと大違いです。4WD車の乗用車化が納得できます。

林道は倒木やガケ崩れもなく,比較的きれいな路面です。さほど急な勾配もなく,快調に分岐点へ。そこから少し先のカーブでは,岩や木が流れているので無理をせず,車はここまで(P)。あとはリュックを背負い,林道の分岐点から西の谷に向かう林道を進みます。初めの予定では,東向きに延びる林道から稜線に登ろうということでしたが,それでは遠回りになります。藤無山にダイレクトに登り,そこから稜線をたどる方がピストンコースにならなくていいかも。しかも,エアリアマップでは,この谷から稜線を越えて峠道があるとか。ただ地形図にはないので,現存しているかどうか疑わしいものです。

百年杉の森

分岐点から西の林道を進みます。草の生えた路面には,古い轍があるだけです。この林道の先には「…の森」があるとか。そこまでは行けそうな状態です。途中には,コンクリートの法面があったりで,できた当時はきちんと整備された林道だったようです。それが今や,廃道一直線。このままだと,数十年でヤブで消えてしまうことでしょう。ということは,その「…の森」を作るためだけの林道だったってこと?ということは,補助金目当てだったってこと?さて,どうでしょう。

林道の終点(@)は,S田さんの言う通り,「…の森」です。案内板によると,「百年杉の森」とあります。

百年杉の森
★この森は,大屋町若杉字犬小路,俗称中島杉と呼ばれているものである。
若杉区有林として,明治三十年代に植林されたもので,樹齢約百年,今日に至るまでに,何回か間伐を行い,現在の美林となった。
★大屋町内においても当地は,高冷多湿で,杉の育成に最も適地とされ,早くから先達により区有林の植林が行われ,区の財源として活用されて来たものであり,この森はその中で,中島杉と呼ばれ今日まで残されて来たものである。
★林地面積約1ha 生育本数422本 平均回し192cm 最大回し294cm 樹種は妙見杉系のこの森は,大屋林業地と呼ばれる大屋町内において,植栽林として杉の希少なモデル的存在である。
★この森の中に立つと,杉の持つ生命力と温かさに接する事ができ,樹木に対する敬愛の念さえも与えられる。この度一区一策事業により,百年杉の森として育成し,自然とのふれあいの場として整備するものである。

                     平成5年6月  若杉区 一区一策事業推進委員会

  
「百年杉の森」の入口 この木 何の木 気になる木
「百年杉の森」の入口
この木 何の木 木になる気

水源かん養林のポールの脇から山道が延びています。いよいよ,昔の峠道?かも。しかし,見た目には植林の作業道です。谷沿いの道をどんどん登っていきます。薄暗い植林の中ですが,巨木が1本。何の種類の木かわかりませんが,周りに小さな枝が林立して,まるで床尾山の大カツラです。道は明瞭なので歩きやすいですが,これがどこに行くのかは,誰も知らない。

どうする〜

谷の分岐点でしばし協議。あるかないかわからない昔の峠道をたどるより,このまま直に藤無山山頂を目指す方が手っ取り早いだろうということに落ち着き,右手の谷を進みます。谷はしだいに狭くなり,傾斜が急になりってきます。それまではっきりしていた作業道もわからなくなり,薄い踏み跡をたどります。そして,植林の上部へ。

ここから見上げるとルートは2つ。谷に広がる植林をさらに登るか,目の前の細いヤブ尾根を登るか。どうする〜♪倒木だらけの植林を登るよりは,ヤブ尾根を登る方が楽そうです。しかも,岩場もあるようなので楽しそう。ということで,ヤブ尾根にGO!

岩壁,岩壁,また岩壁

草をつかみ,木の枝を引っ張り,岩を手がかりに強引に登ります。もちろん,このあたりになるともう踏み跡なんて,まったく無し。すべる足元に気を配りながら,ヤブを抜け,倒木を越え,岩場をよじ登ります。やれやれと思ったのつかの間,目の前には次の岩壁が出現!こりゃあ,どうよ!?

よく見ると,右手に巻くと登れそうです。岩の割れ目に手をかけ,足をかけ,ズリズリと登ります。ようやく登った岩場の先には,さらなる大岩壁が広がっています!!!でも,ここで引き返すわけにはいきません。というより,引き返したくでも引き返せません。こうなれば,「勇気ある前進」で大岩壁にチャレンジです。

予想通り,これまた右手に巻くと,岩の割れ目からどうにか登れそうです。木の根を持ち,岩を支えによじ登ります。途中でいくつかの岩のテラスがありますが,最上部の岩場からは梢越しに須留ヶ峰と大杉山がきれいに見えています。あの山のふもとには,今も大量のヒルが蠢いているのでしょう。嗚呼,キッショ〜!

  
岩場から見る大杉山と須留ヶ峰 岩壁をよじ登り…
岩場から見る大杉山と須留ヶ峰
岩壁をよじ登り…

どうにか岩壁エリアをクリアし,笹ヤブを快調に?登ります。そして,三度,岩壁の出現です。ここまでくるともう驚きません。今度は左手に巻き,ついでにそのまま稜線にアタックです。藤無山から北の970ピークに延びる稜線に出ます。もう山頂はすぐそこでしょう。

かき氷を食うどォ〜!

歩きやすくなった尾根を進むと,しだいに人の声がはっきりと聞こえてきます。そして,最後の岩壁の上にハイカーの姿を確認。よじ登ると,藤無山山頂から10mほど下った登山道に出ます。彼のハイカー氏は,とんでもないところから登ってきた2人を見て,呆れ顔。そりゃあ,そうでしょうよ。登ってきた本人たちだって,呆れているのですから。あとは見慣れた山道を進み,藤無山山頂(二等三角点  点名三本杉  1139.2m)(A)へ。

先客のS田さんのお知り合いは,ランチをすませ,かき氷を今か今かと待ち構えているようです。このあと,S田さんのお知り合いが4人登ってきて,にぎやかなかき氷大会となりました。それにしても,山で食べるかき氷の美味しいことったら,ありゃあしない。これだから,かき氷はやめられまへ〜ん。ちなみに,寒い時期には,湯豆腐やたこ焼きってのもこれまた美味だぎゃあ。

  
かき氷屋と化した藤無山山頂 三角点にかき氷
かき氷屋と化した藤無山山頂
三角点のかき氷

分水嶺を急降下

かき氷とコンビニ弁当とざるそばでおなかいっぱい,クールダウン。さて,これから分水嶺とやらをたどって下山することにしましょう。もちろん,道も踏み跡もないので,コンパスを頼りに方向を定め,笹ヤブに突入!頭ひとつがどうにか出るほどの笹ヤブですが,かえってその笹のおかげで手掛かりでき,急な下りが安全に下れます。

  
藤無山山頂から笹ヤブの分水嶺を下る 尾根にも岩壁が
藤無山山頂から笹ヤブの分水嶺を下る
尾根にも岩壁が

その笹ヤブを下り切ったところに,またもや岩壁が出現。ここも右手に巻けば問題なし。それにしても,藤無山は岩壁の多いところです。地形図にないのが不思議なぐらいです。その岩壁を過ぎると,ハッキリとした道ではありませんが,踏み跡っぽいすき間があるので歩きやすくなっています。どうやら,これでヤブ漕ぎとおさらばです。やれやれ。

地形図通りに尾根をどんどん下ると,鞍部(B)に出ます。ここは,昔の峠?エアリアマップでは,南北に道があるはずですが,あるのは鞍部付近だけ。すぐに消えてしまっています。でも,考えると,南北を結ぶ要所としてここに峠があっても不思議ではありません。

ヤブのち展望尾根

さらに尾根を進むと,今度はいきなり視界が開けます。植林の木を切り出した跡です。このあとも切り出した跡はいたるところにあり,尾根歩きはまったく問題なし。それどころか,木がないので展望が開けており,南の阿舎利山,一山,東山,段ヶ峰からフトウガ峰。北は氷ノ山,鉢伏山,妙見山に杉ヶ沢高原。ふり返ると,先ほどかき氷を食した藤無山の山頂がそびえています。これは予想外の大パノラマです。気をよくして尾根を進みます。

  
展望尾根から見る氷ノ山 藤無山を背に
展望尾根から見る氷ノ山
藤無山を背に

歩きには問題のない尾根ですが,withMTBとなると大変だったことでしょう。しかも,登りには大岩壁があったりしたので,今日は歩きで正解でした。この様子だと,三角点のある953.7ピークにも行けそうです。分水嶺に御執心のS田さんは,いつになく意欲的です。あの953.7ピークに行くと,これまで歩いた分水嶺が続くからでしょう。それにしても「分水嶺=ブンスイレイ」のどこがそれほどまでに魅力的なのでしょう。ブンスイレイよりも,ハイゴレイとかジュバクレイの方が珍しいと思うのですがねぇ。スリルもあるし,涼しくなるよ。キクカワレイってのもいいかもねぇ。

三角点へ

ほとんどアップダウンのない尾根道を進み,やがて左手の植林の間から林道が見えるようになります。953.7ピークからの帰りはこの林道に降ります。地形図では,法面はガケになっているようで,降りる地点が問題です。帰りを気にしながら,尾根を進むと,踏み跡はピークを右に巻いています。少し急なピークなので,この巻き道を利用して楽をしましょう。

植林の中の片斜面の道は,靴がずれて歩きにくい。でも,急な登りをパスできるんだからと納得し,植林を進みます。ここで注意!巻き道で楽をするのはいいけれど,いつの間にか方向を間違い,あらぬ尾根に入ってしまったことがこれまでに幾度となくあります。ここは,方位を確かめて進みましょう。

予定通り,尾根道に復帰。あとは,953.7ピークに登るだけです。緩やかな上りを登り切ると,草地にポツンと三角点(三等三角点  点名筏  953.7m)(D)。昨年の秋以来,2度目の三角点です。あの時は,風が強く,肌寒かったなぁ。三角点の北の斜面で風を避けて弁当を食べたもんなぁ。一年も経っていないのに,やけに懐かしい。これもボヶの前兆か。嗚呼,無情。

  
点名筏の三角点ピーク 広々尾根もあります
点名筏の三角点
広々尾根もあります

林道で下山

懐しの?三角点のあとに尾根を戻ります。小さなピークを超え,広々尾根を過ぎ,来る時に巻いたピークを今度は登り,そして最後は林道終点(C)を目指し,植林を急降下。法面のガケ斜面を心配したものの,終点付近はガケはなく,無事に林道へ。

このあたりは,「有用広葉樹母樹林」とやらになっているそうで,栗林があるとか。

有用広葉樹母樹林  指定番号 兵庫H9−11  指定年月日 平成9年7月1日  樹種 クリ  兵庫県

ということは,この林道はそのためにだけ作られた林道?でもこの林道の途中には,「兵庫県造林緑化公社分収造林地」なるものがあるので,そのためにだけというわけではなさそうです。でも,いずれにしても,素人には訳ワカメ,意味トロロの林道です。

あとは,林道をダラダラ下り,駐車地点へ。山水で顔を洗い,サッパリサッパリ。帰りは,ついでに「不動滝」(E)を見物。規模はさほど大きくはありませんが,かなりの水量があり,見ごたえのある滝です。みなさんも,大屋町にお越しの際は,是非お立ち寄りください。

  
不動滝全景
不動滝全景

不動滝
所在地  大屋町若杉   所有者 大屋町 若杉区  指定年月日 昭和46年1月26日 町指定
標高1140mの藤無(ふじなし)山より流れ出る水を受けて,大きな岩の割れ目から約13mの滝となって深淵に落ち込んでいる。高地の滝にしては水量が多く太い滝である。その滝音は周囲のしずけさを破り大気をゆるがしている。下より仰ぎ見ると,景観というよりも人を寄せつけない神秘ささえ感じる。不動の滝の名も,このあたりからできる。

ということで,今日もアドベンチャーあり,スリルあり,大パノラマあり,そして美味いものありの楽しい山行きとなりました。でも,今日は「13日の金曜日」でしたよね。

 

出発10:25  林道終点(百年杉の森)10:39  藤無山山頂12:00〜13:00  鞍部13:44  点名筏14:48  林道終点15:17    


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