高原は爽やか,そして… 天滝&杉ヶ沢高原(2004.8.1)


  
P・@〜D
P・@〜D

涼を求めて

二三日前から少し涼しくなり,真夏の蒸し暑さから解放され,やれやれ。それでも,今度は台風が接近したり,その影響で強風が吹き荒れたりしています。今回は,涼を求めて,天滝から杉ヶ沢高原へwithMTBで散策です。

台風の影響が残る曇り空を気にしながら,出発。1時間半ほどのドライブで,天滝への登山口へ。広い駐車場やトイレ,レストハウスなどがあります。車はまだもう少し上ったところまで行けるのですが,MTBだと結局は同じことになるというので,トイレ前の駐車場(P)に車を置き,MTBの準備です。

ガケ崩れ!?

MTBで出発してすぐに目につくのが,天谷尾ノ谷林道のガケ崩れ情報です。どうやら,車が通れないほどの大規模なガケ崩れのようです。

林道天谷尾ノ谷線起点 幅員4.0m 延長4726m この林道は民有林道です。次のことに十分注意して通行してください。
スピード落し安全運転
カーブは徐行,出合いがしらに注意
落石,土砂崩れ,路肩に注意

予定では,天滝から杉ヶ沢高原を回って,この林道で帰ってくるつもりです。そこでガケ崩れとは!?でも,MTBなら担いで通れるだろうとお気楽思考で天滝に向かいます。

車道を上り,上に駐車場に着くと,ここにも車が数台とまっています。それでも,思ったほどハイカーはいないようです。ラッキーです。駐車場には案内板があり,これから我々が行こうとするルートの情報をゲットできます。

俵石
規則正しく俵を積み重ねたように見えるところから,この名前がつきました。初めて見た人はびっくりしたでしょう。「山の中に俵がある」と。また,名付けた人もすごい知恵です。今から240万年以上前の火山活動でできた溶岩が固まり今の形になりました。玄武岩からでき,柱状節理といいます。昔から変わらない風景です。

杉ケ沢高原
標高720〜850mに位置し,広さ約300ha。中央に湿地があります。湿地植物も一部生育しています。そこに杉木が数本あり沢になっていたところに名前の由来があります。縄文時代にも人がいたことがわかっています。昔は,地元の但馬牛の共同牧場として利用されていました。ログ休憩所(トイレ2箇所)などがあり登山の疲れを癒すさわやかな風が迎えてくれます。

天滝
県下一を誇る名瀑「天滝(てんだき)」。天滝渓谷入口の駐車場から,渓流沿いの遊歩道を約1.2km登ると,突然目の前に白い水の柱が現れます。まさに,天から降るかのように流れ落ちるこの滝こそ,落差98メートルと県下一を誇る名瀑「天滝」です。この天滝は,その荘厳で力強い姿と,滝にまつわる伝説などから「日本の滝100選」に選定されています。また,天滝までの渓谷には,夫婦滝、鼓が滝,糸滝などの滝群があり,春の新緑,秋の紅葉を背に落ちる滝,厳寒に凍る滝,四季折々楽しい姿を見せます。この天滝渓谷には,森林浴場として「森林浴の森100選」や「兵庫県森林浴場100選」にも指定されています。

今日の見どころは,天滝までにあるいくつかの滝と天滝,俵石,杉ヶ沢高原,それからガケ崩れ?です。

滝巡り

駐車場から少し登ると,遊歩道になります。幅は1mほどですが,丸太階段があったりするので,MTBに乗るのは無理です。MTBを押しながら,担ぎながら登ると,まず最初に登場するのが「しのびの滝」です。小さいですが,滝らしい落差があります。でも,どうして「しのび」なのでしょう?

  
登山道入口の石碑 しのびの滝
登山道入口の石碑
しのびの滝

二番目に登場は,「岩間の滝」ですが,この滝はほとんど滝とは思えません。大きな岩の間を水が落ちているだけです。これで滝なら,日本中の川は滝だらけになってしまいそうです。でも,阿瀬渓谷の滝に同じようなのがあったことですし,これも滝なのでしょう。三つ目に登場するのが,「糸滝」です。その名の通り,糸のように細い水の流れです。雨の少ない時期なら,滝にならないかも。でも,落差はかなりあるようです。四つ目に登場の「連理の滝」は,上から見るので,単なる水の流れにしか見えません。残念。連理とは,「@一本の木の枝が他の木の枝につき、一本の木のように木理が同じになること。A夫婦・男女の仲がきわめて親密なことのたとえ。 比翼―の契り」だって。

  
岩間の滝 糸滝
岩間の滝
糸滝

「連理の滝」を過ぎると,少しはMTBで乗車可能です。左手の柵に気をつけながら,よたよた。もちろん,乗車距離は十数m!次に登場した滝は「久遠の滝」。この滝は落差もあり,滝らしい滝です。久遠とは,「〔仏〕 時間が無限であること。遠い昔、または遠い未来。永遠。」だって。

  
久遠の滝 MTBでGO!
久遠の滝
MTBでGO!

薄暗い渓谷沿いの道ですが,すぐ近くに水の流れがあるためか,涼やかな風が吹き上げてきます。すでに汗びっしょりになった身体にいい気持ち。遊歩道は,流れの右へ左へ。そして,休憩所へ。ここからは,天狗岩が見えるということですが,右手を見上げても天狗らしい岩場は見当たりません。ふつうの岩場なら見えるのですが,あれが天狗岩なのでしょうか。

休憩所をあとに,MTBを押しながら遊歩道を歩きます。あいかわらず,薄暗い渓谷沿いの道です。所々で,MTBに乗ることはできますが,それでもその距離は十mほど。とてもMTB乗車可とはいえません。それからも滝は点在しています。「夫婦滝」や「鼓ヶ滝」など。「夫婦滝」は,2本の水の流れが1本になっているところから命名されたのでしょうが,1本の水に流れが2本に分かれていたら,どう命名されたのでしょう。「別離の滝」「惜別の滝」それとも「熟年夫婦の滝」?その奥にある「鼓が滝」は,今まで登場した滝の中では最大の落差があります。滝壷もあり,滝らしい滝です。その手前の橋を渡ると,冷気も流れてきます。

  
夫婦滝 鼓ヶ滝
夫婦滝
鼓ヶ滝

天滝 あったどぉ〜!

遊歩道は,時には滝を遠巻きにしながら,高度を稼いでいきます。天滝までの距離標示の数字が小さくなり,目の前に小屋が見えてきます。右手はトイレ,左手は休憩所?その向こうには,鉄の階段がずっと上に続いています。いよいよ,天滝です。案内板を見ると,川の向こう岸から見る天滝が絶景だとか。見ると,岩と岩を板でつなぎ,通路ができています。せっかくですので,行ってみましょう。

向こう岸につけられた遊歩道は,すぐに終わり。いすがあり,ここから天滝を見ると,100mほどの落差を一目で見ることができます。写真を撮るにはいいかもしれませんが,こんなに離れていると,迫力がありません。やっぱり,間近で見なきゃあ。

  
展望台からの天滝 天滝を下から見ると
展望台からの天滝
天滝を下から見ると

再び,MTBを肩に鉄の階段を上り,三社権現社(@)に到着。

天瀧 落差98メートル
天瀧は,県下最高峰の氷ノ山を源流に落差98M(平成2年実測)と県下一を誇る名瀑で,その名の通り天から降るかのように流れ落ちる雄大さから,平成2年に「日本の滝百選」に選定されています。
この天瀧は,古く「大和長谷寺縁起」や「役の行者本記」にも書かれ,また,弘法大師が仏運興隆の地を求めて全国行脚した際,滝の霊気に打たれて「この地こそ仏陀の我に恵み給いし聖地」と,谷の数を数えたところ,千に一つ足らなかったため,居を高野山に求めた―との伝説が残っています。
また,登山口からの渓谷沿いの遊歩道は,原生林に囲まれ「森林浴の森百選」にも選定されています。

        大屋町・筏区・天滝を生かす会

ここからも天滝の全容を見ることができます。が,写真だと無理かもね。ここで上から水滴が落ちてきます。滝の水が散って飛んできたのかなぁと思ったのですが,どうもそうではありません。雨です。朝から曇り空でしたが,とうとう降ってきたようです。それでも,あたりをうろうろ。滝の近くに降りると,毎日TVのちちんぷいぷいというテレビ番組が,ここに来た記念の植樹があります。もう少し滝に近づいて見上げると,風にあおられた滝の水が降り注いできます。迫力満点!さすが,日本の滝100選に選ばれただけのことはあります。ただ,滝壺らしいものはないので,この天滝に打たれて修業はできそうにありません。

火山岩,とくに溶岩が地表最上部にあり,あるいは表面に出てくると,その溶岩の硬さが表層の浸食を妨げ,一方,下流からの川の谷頭浸食の作用をその部分でとどめるように働く。そのため,溶岩部分から上流側が浸食されにくくなり,溶岩噴出時の形状,あるいは古い溶岩表面を掘り出して残すため,高原地形・台地地形が形成される。それらの溶岩は滝をかける造瀑層を作る。氷ノ山の東方,約33kmにある大屋町の天滝も,そのような造瀑層の溶岩にかかっている滝である。天滝は大屋川の支流にかかり,滝の高さは約98mに達する。
     (『ひょうごの地形・地質・自然景観』兵庫県 神戸新聞総合出版センターより)

  
天滝だどォ〜!
天滝だどォ〜!

俵石巡り

天滝見物を終え,杉ヶ沢高原に向かいましょう。道標もあり,遊歩道も整備されているので,迷うことはなさそうです。しかし,天滝を離れると,九十九折りの急登が続きます。しだいに滝の音が遠ざかり,緑の鮮やかな林の中を進みます。道の脇には,炭焼き釜跡がきれいに残っています。汗だくになりながら目の前の尾根を登り切ると,俵石との分岐点です。このまま遊歩道を直進する道もありますが,せっかくですので,俵石を見物しましょう。

案内板には,俵石までは往復10分とあります。なだらかな水平道なので,MTBに乗ってGO!右手谷なので,落っこちるとヤバイ!重心を左に傾けながら,慎重に進みます。思ったよりも遠くに俵石がありました。左手の斜面の一部分に俵石が露出しています。これだけ?でも,遊歩道はまだ先に延びているので,行ってみましょう。

MTBに乗ったり,押したりしながら,俵石第2ポイント着。ここにも少しだけですが,俵石の露頭があります。遊歩道はまだ先に延びています。おや?とりあえず,行ってみましょう。途中でハイカーと出会い,道を確認。この遊歩道で杉ヶ沢高原にまで行けるとか。OK!道の確認ができたところで,さらに進むと,今度は道標が立っています。俵石はこの正面の斜面(A)にあるとか。見ると,先ほどの俵石の露頭より規模の大きい俵石の露頭です。ここが,俵石ポイントなんだ。

俵石とは溶岩の冷却・固結の際に六角形などの柱状節理とともに板状節理を生じ,それに沿って割れて俵大の石になったものである。(前掲書)」とあります。そういえば,ここ但馬地方には柱状節理の見られるところが何か所かあります。これらも,滝と同様,火山岩が広く分布していることからきているのでしょう。

  
俵石 高原の林をMTBで
俵石
高原の林をMTBで

高原に吹く風は爽やか

俵石から道標に従って九十九折りの道を登ります。そして,尾根近く。ここにも道標があります。その道標からすぐに道は,丸太階段の下りになります。距離は数m。その向こうには広々とした谷と林が広がっています。木々の間は,MTBで木立スラロームで抜けます。その先には,ログハウス。トイレまで完備した休憩所です。ちょうどランチタイムなので,ここでランチとしましょう。

林道の終点の広場(B)に座り,いつものようにコンビニ弁当とざるそばを食しますが,じっとしていると寒く感じるほどの爽やかさです。それまでの汗がうそのように一気にひいていきます。汗でびしょ濡れだったTシャツも,いつの間にか乾いてしまいます。爽やかな風に吹かれながら,食後のホットコーヒーも美味しい。S田さんの無線からの情報によると,氷ノ山山頂はガスと雨で寒いとか。真夏でも寒いとは,氷ノ山恐るべしです。

  
ログハウスの休憩所 草原をMTBで
ログハウスの休憩所
草原をMTBで

草原をMTB

すっかりリフレッシュしたところで,杉ヶ沢高原に向かいます。この林道をたどれば,高原に行けるでしょう。ほとんど高低差のない林道を進むと,分岐点です。前からは熟年ハイカーグループがやって来ます。彼らは,遊歩道を直進し,これから俵石に向かうとか。なるほど,高原周回ルートというわけですか。

道標に従い草地に入ります。遊歩道との合流地点からは右手へ。背丈ほどどの草が一面を覆い,道が見えません。先を進むS田さんは,ヘルメットとリュックだけが草から見えています。なんとも滑稽な光景です。それでも,見ているだけならおもしろいですが,MTBに乗って進むとなると,路面がまったく見えないので大変です。いきなり,穴ぼこがあったり,段差があったり。スリル満点です。

やがて,草原の中心地あたりに到着。なぜか,ここに道標があります。しかも,その道標には,「俵石1.4km 天滝1.0km 関宮町 梅ケ久保林道」という案内とともに「便所0.1km」という案内もあります。わざわざ便所の案内まで付けるとは…。せっかくですので,どんな便所なのか見に行きましょう。

行ってみると,便所はごくありきたりのものでした。残念!先ほどの休憩所のようなログハウスとか,俵石を模した造りになっているとか,あるいは天滝のように上から水が流れ落ちているとかすればよかったのになぁ。杉ヶ沢高原名産の轟大根を模したものもいいかもね。

大根畑は強風雨!

梅ヶ久保林道を走って,高原の車道に行きす。林道の終点付近は大根畑です。終点には,ゲートがありますが,今日は開いています。これって,いつも開いているのでしょうか。そのゲートを出たところには,記念碑があります。杉ヶ沢高原開拓の記念碑でしょう。

拓碑
この古里びとたちは きびしい自然の掟をこえて 大地の恵みを轟大根に結晶させた

車道に出ると,強風とともに雨が吹きつけてきます。それまでもちこたえていた天候が悪化してきたようです。あたりは小さくうねった大根畑。その向こうには,但馬の山々が見えるはずですが,この天候なので何も見えません。とりあえずは,三角点ピークに行ってみましょう。

  
杉ケ沢高原の大根畑 畑の中の三角点
杉ケ沢高原の大根畑
畑の中の三角点

車道をアップダウン。左手に見える小さなピークを目指しますが,はっきりとした道はありません。農道から夏草の茂った作業道へ。その作業道の終点で三角点を探しますが,ない!?地形図だとこのあたりなんだけどなぁ…。まさか,あの上の畑の中?畑の中心には四角いコンクリートの塊があります。電線が通っているところを見ると,ポンプが入っているのかな?その脇に,怪しげな草むら(C)があります。畑の中で島のようにポツンと取り残されたようにあります。早速,行ってみましょう。草むらに入り,草をかき分けると,ありました,ありました,三角点(三等三角点 点名轟野 796.1)。やはり,三角点があるので,ここだけは耕せないのでしょう。これって,農場の人にとっては,大いなる迷惑?

林道ダウンヒル

三角点をゲットし,強風雨の中を車道へ。ここからは,ガケ崩れがあるという天谷尾ノ谷林道でもどる予定です。まずは,高原の車道を気持ちよく下ります。車はほとんど通っていませんが,雨で路面が濡れているので要注意です。

分岐点からは少し登り返し,関宮町と大屋町との町境尾根に向かいます。MTBで走ると地形図ほどの距離感はなく,すぐに林道分岐点でもある町境尾根へ。これからは車のある駐車場まで一気のダウンヒルです。雨はあいかわらず降っているものの,下りは快感です。ただ気をつけなきゃあならないのが,横のガケから転げ落ちてきた石や岩です。それに斜面の向きによっては,強風をまともに受けるので,MTBのハンドルをとられたり,バランスを崩したりします。下りといっても,気が抜けません。

下っている途中には,小規模のガケ崩れがありますが,車でもそれを避けて通ることができます。入口にあったガケ崩れ注意は,このガケ崩れのことではないようです。ということは,もっと大規模なガケ崩れがあるということ?歩いて越えれんかったら,どうしましょう。と,そんな心配も一応するものの,その時はその時ということで,ダダダダウンヒル〜だぎゃあ!

岩石の山が出現!

と,いきなり,目の前に岩石の山が出現!…?よく見ると,林道が岩石で埋めつくされているのです。これがガケ崩れポイント(D)かぁ。なるほど,車では絶対に通れませんよね。崩落防止のワイヤーネットも無残にも破壊されています。底知れぬ自然のパワーです。岩石の山の上に立つと,これまたビックリ。ヘアピンカーブになって下っている下の道路にまで岩石の山は続いているのです。さて,これからどうする?下の道路に向かって下る方が近道ですが,ほとんどガケ状態です。ということは,この岩石の山を越えて,林道の向こうに行くしかありません。あたりの岩を見ると,赤ペンキでマーキングらしいものがあります。どうやら,このガケ崩れは,かなり前に起こったもののようです。

  
ガケ崩れの上に立つS田さん
ガケ崩れの上に立つS田さん

雨で濡れた岩で滑らないように,強風であおられてバランスを崩さないように気をつけながら,どうにかガケ崩れ第一ポイントを通過。ヘアピンカーブを下り,ガケ崩れ第二ポイントへ。ここは,林道の端っこならほとんど石がなく,問題なし。でも,強風にあおられては困るので,岩石の山を越えます。あとは,林道を下るだけです。再び,気持ちよく下り,車道が見えると,駐車場(P)です。お疲れ様。

今回は,withMTBで一般的なコースを行きました。それでも,後半は,強風雨にさらされたり,ガケ崩れというデンジャラスポイントもあったりで,変化に富んだ山行きになってしまいました。いやはや,これでいいんだか,どうだかなぁ〜。

 

出発10:20  登山道入口10:30  天狗岩11:00  天滝11:25〜11:45  俵石12:13  ログハウス12:30〜13:05  杉ケ沢高原13:20  車道出合13:25  三角点13:35  林道天谷尾ノ谷線ガケ崩れ地点13:55    


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