鮮やかな緑の尾根は乗り放題 若杉原生林(2005.6.18)


  
P・@〜D
P・@〜D

東山?じゃなくて…

梅雨入り早々の梅雨の中休みがいつまでも続き,今週末も好天です。今日は,S田さんの提案で,東山へ行くことに。もちろん,MTBです。とはいっても,東山そのものには登らないとのこと。それを聞いてちょっとガッカリ。東山の南の峠から中国自然歩道を南下し,若杉原生林へ。その若杉原生林の尾根を走って,若杉峠から下る周回コースです。若杉原生林は以前に行ったことがあるのですが,中国自然歩道と若杉峠から下りはは初めてです。さてさて,どんな道でありましょうか。

戸倉峠を越え,投入堂のある岩屋堂を過ぎ,吉川から沖ノ山林道で登ります。S田さんはこの林道を十年ほど前に通ったことがあるそうですが,当時は未舗装の荒れた林道だったそうです。それが今では,きれいなアスファルト舗装の道になっています。こいつはラッキー!この舗装林道で峠まで行けると,大幅な時間短縮と体力の節約になります。

若杉峠からの下山予定地点付近(P)に車をとめ,MTBで出発です。

八頭郡智頭町と若桜町の間には標高1338mの東山を最高峰として1100mを越える山々が連なった高原状の沖ノ山・東山山地が広がり,林道沖ノ山線が通じています。
また,沖ノ山の北斜面から若杉峠にかけては氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されており,芦津渓谷,ブナ・スギ混交原生林,若杉原生林など貴重な自然に恵まれ,一帯には野鳥も多く,ハイキングや自然観察コースとしてすばらしいところです。

               環境庁  鳥取県

車で走っている時は気づきませんでしたが,部分的には少しは急になっているところもあります。それでも全体的には,なだらかに上っているので,のんびりサイクリング気分です。右手の木立の間からは,因但の山やまが見えています。残念なことに,この日はモヤがひどく,遠くの山々はそのシルエットを見るだけで精一杯です。やっぱり夏やねぇ。

  
沖ノ山林道脇のモニュメント スギのふる里公園から見る東山
沖ノ山林道脇のモニュメント
スギのふる里公園から見る東山

林道のまわりにはウツギやアジサイが咲いていますが,左手の谷や尾根に点在する大木の方が深山の趣があります。やわらかな緑の森が青空に映えて一層鮮やかです。緑の風に吹かれながら,のんびりサイクリングが続きます。

見かけは穏やかな東山

林道が大きく曲がり,尾根を越えたところで,正面に東山が見えてきます。3つのなだらかピークが見えますが,三角点ピークは一番奥のピークのようです。見た目には,山頂付近や尾根はササ原でおおわれているので歩きやすそうですが,青ケ丸同様,背丈以上のササの海なのでしょう。分速1m状態かも。あとで東山の記録を見ると,やはり猛烈なササヤブだとか。この時,東山に行こうなんて気を起こさなくって,よかったねぇ。

さらに林道を上ると,公園があります。「スギのふる里公園  オートキャンプ場 開設記念碑  標高1000M」 オートキャンプ場があり,ベンチやファイヤー場もあります。この公園は,沖ノ山林道の開設記念にできた公園だそうですが,利用する人はいるのでしょうか。ちなみに,この日,利用していた人はなし。公園の前の道路で山菜採りをしていた夫婦が1組。林道で出会った車は2台でした。

スギの里公園を過ぎると,峠はすぐです。峠(@)には,中国自然歩道の案内板があったり,道標があったり。ベンチもあり,にぎやかな峠です。峠からは,東山の中腹に向かって林道もついています。S田さんの言うには,この林道も以前は狭い山道だったそうですが,今では車も走ることができるほどです。この林道を使えば,東山に登るのは多少楽だろうということですが,山頂付近が猛烈なササヤブでは登る気なし。おまけに,山頂では木に登らなきゃあ展望がないなんて,最悪です。こんな記録を読むと,東山に登る気はまったく起こりません。でも,積雪期ならササ原が雪の大斜面になるので,登ってみたい気がしますが…。

と,うだうだしゃべっていると,鳥取県側からMTBerが登場。サンダル履きにリュックもなし。それでも,さっさと東山中腹の林道へ行ってしまいました。唖然です。サイクリングがてらに東山登り?もしかすると,東山って簡単に登れるようになったの?な,わけないよね。

  
かすかに見える氷ノ山 尾根道はごきげんだぜィ
かすかに見える氷ノ山
尾根道はごきげんだぜィ

いよいよ中国自然歩道へ

峠から急な丸太階段を上り,中国自然歩道を南下します。自然歩道の脇には,ブナの大木巨木,古木老木があちこちにあり,夏の日を通した葉の緑があたりを緑色に染めています。あたかも緑の海にいるような錯覚すらおぼえてしまいます。とすれば,我々はその緑の海の底にうごめくナマコかヤドカリか,はたまたウミウシか。

上りではMTBは担ぎですが,下りはほとんど乗車可能。丸太階段が強敵ですが,その脇にスペースがあればなんとか乗って下ることができます。地形図で見た通り,自然歩道は小刻みなアップダウンがあるのですが,三角点ピークの狩谷山までは南に進むだけという気楽さもあり,地図で現在地の確認を怠り,現在地不明。それでもまぁいいかぁと,MTBで快走。時おり現れるブナの大木に感動。自然の雄大さにしばし時を忘れる。そしてこれまた,いつものように歩きより遅いペースになってしまいます。

  
こんな古木もあります 狩谷山
こんな古木もあります
狩谷山

現在地がはっきりしないまま,ピークっぽい上りを上り終えると,そこは三角点(三等三角点 点名狩谷 1158.8)のある狩谷山(A)です。案内板や道標があり,古びた木のベンチもありますが,展望は全くなし。三角点ピークとはいえ,単に尾根の一部でしかありません。ランチタイムには少し遅れましたが,このベンチに座ってランチにしましょう。

氷ノ山後山那岐山国定公園
1000m級の山々が連なる中国山地の東端に位置し,氷ノ山(1510m)を主峰として鳥取・兵庫・岡山3県にまたがる山岳公園です。
公園内には,ブナやミズナラなどの天然林が群生し,またツキノワグマ,イヌワシ,ヤマネなどの貴重な動物も多く生息しています。
この公園は,登山やキャンプ,美しい滝や渓谷の探勝,スキーやスノーボードなど,四季を通じて様々な楽しみ方で多くの人々に親しまれています。
この自然を大切にし,みなさんで後世に残し伝えましょう

S田さんは,十年ほど前にはこの自然歩道もMTBで通ったハズだそうですが,一切記憶にないとか。あるのは,ランチタイムにハエが多かったことだけ。でも,記憶にないというのはありがたいことです。記憶になければ,あるのは新鮮な出会いだけ。日々是新鮮。

食後には定番のコーヒーもいただき,おなか一杯。さて,縦走を再開するかぁ。と,いきなりの丸太階段で,出ばなをくじかれた格好。長い丸太階段を下り終えると,極楽尾根道です。上りだってMTBでなんとか登ることができます。やっぱり,MTBはこうでなきゃあ。

薄暗い植林の中を抜け,左に右に曲がる尾根道を進みます。そして,鞍部(B)へ。ここは芦津吉川越とよばれる峠で,地形図にも破線ルートとして表記されています。以前,S田さんはこの峠から下ったそうですが,今日は若杉峠まで行くことにします。ところで「スギの官行造林」って,何?

芦津・吉川越
八頭郡智頭町と若桜町の間には,標高1338mの東山を最高峰として1100mを越える山々が連なった高原状の沖ノ山・東山山地が広がり,智頭の芦津と若桜の吉川との交流はかなり難儀であったと思われます。
その中にあったこの峠は,標高1067mであるが取付き道路が緩勾配で歩きやすく,以前から芦津・吉川越えの往来路として利用されており,また,今では尾根コースの要所となっています。

峠からはまたもや長くて急な丸太階段がピークに延びています。ちょっとげんなり。でも,行くしかないので行くとするか!MTBを肩に重い足取りで丸太階段を一歩,また一歩。ふくらはぎに乳酸が満タンです。いつもより体調がよくない気がします。やっぱり,寝不足がたたっているのでしょうか。なんたって,今週と来週はサッカーのコンフィデ杯とワールドユースがあるので,連日の寝不足だギャ。これも,来年のW杯の予行なのかな。

汗だくになり,疲れ切った足で丸太階段を上り,極楽下り。そしてまた,上り。この上が三町村尾根点かと思いきや,さにあらず。三町村尾根点なら,道標があるし,ベンチもあったはず。ということは,この先。最後の丸太階段を上り,三町村尾根点(C)へ。ここから沖ノ山へ続く尾根が派生していますが,道は?です。背丈以上もあるササの中に踏み跡がありますが,長くは続いていません。積雪期ならこの尾根をたどって沖ノ山まで行けるそうですが,雪のない時期では…。

  
極楽尾根は続きます 若杉峠
極楽尾根は続きます
若杉峠

人家遠しって?

三町村尾根点から少し下ると,MTBで極楽ダウンヒルです。途中には,倒木があったりしますが,それでもほとんど乗り乗り状態なのがうれしいガヤ。そして,若杉原生林の遊歩道へ。入口には「人家遠し」の標識があります。そりゃあ,ここから人家は遠いでしょう。でも,人家から遠いのはここだけではありません。なのに,わざわざ「人家遠し」なんて書かれると,ちょっと考えてしまいます。

遊歩道に入ると,急な丸太階段があったり,快感の下りがあったり。小刻みなアップダウンを繰り返し,若杉峠に向かいます。峠手前のピークには,東屋があり,展望台になっています。北に180度の展望です。三室山,天児屋山,くらます,遠くには氷ノ山がかすんでいます。これまでのコース中で一番の展望ポイントでしょう。この東屋でしばし休憩のあと,若杉峠に向かいます。

丸太階段の脇を抜けたり,押したりして,お地蔵さんのある若杉峠(D)へ。S田さんの言うとおり,数年前に来た時は草だらけでヤブになっていた峠から北へ下る道が,今はすっかり遊歩道状態です。足元を見ると,古い丸太階段があり,この峠道が過去に遊歩道として整備されたのがわかります。それにしても,丸太階段とは不吉な予感。しかも,なぜが,またもや「人家遠し」の書き込みがあります。こんな山の中ですから,人家が遠いのは当たり前じゃないの?それをわざわざ「人家遠し」と書く意味ってあるのかな?

峠道はもう大変

地蔵さんをあとに,峠道を下ります。いきなりの丸太階段で,MTBは押しです。少し下ると,丸太階段はなくなりますが,路面が荒れているので,MTBに乗るどころか,担がなきゃあいけません。なんてこった〜!下りがもったいない!これなら,芦津吉川越えから下った方がよかったかも。ブツブツぼやきながらMTBを押し&担ぎで下ります。途中には,湿地帯があったり,ガレ場があったり,はたまた倒木が前方に立ちはだかったり。とてもじゃないが,MTBで通る道ではありません。

やがて,峠道は薄暗い植林の中へ。あいかわらず,乗れそうで乗れない道ですが,部分的には強引に乗車可。といっても,数mにすぎませんが。道は遊歩道として整備されていたので,道の脇には崩れを止める丸太が組んであったり,沢に木の橋があったり。それでも,大水の影響でしょうか,道が崩れていたり,土が流され岩だらけになっていたり,あるいは沢の一部になっていたりしています。これでは,いくら峠道を整備したって,利用する人は少ないでしょうねぇ。

  
植林の中の峠道
植林の中の峠道

植林の中を下りっていると,やがて林道っぽい道に出ます。道の脇には,古タイヤが放置されているので,林道だったのでしょう。今では,草が茂り,道幅が狭くなっているので,車で通るのは大変かも。でも,MTBなら問題なし。ようやく,MTBで快走です。が,それもつかの間。すぐに林道は終わり,舗装路へ。車をとめた地点から20mほど離れた地点へ。

今日のルートは,沖ノ山林道はもちろん乗車率100%。中国自然歩道も下りはほとんど乗車可。若杉原生林も,下りはほとんど乗車可。ただ,残念なのは若杉峠からの下りです。この下りの乗車距離は合計20mほど。時間にして数秒。30分以上は押し&担ぎです。吉川越えならもう少しは乗車率が上がったかもしれません。それにしても,標高が1000mもある地域だったので,風が爽やかでした。これからの季節は,標高の高い所へ行くのがいいようです。

  
不動院岩屋堂
不動院岩屋堂

重用文化財 不動院岩屋堂の由来
若桜から戸倉峠方面へ約5km,八東川と吉川川の合流点にある岩屋堂集落には,昭和28年11月14日国の指定を受けた不動院岩屋堂の古建築がある。
この地にある天然の岩窟は,間口約7,高さ約13m,奥行約10mあり,この中に正面3間(5.4m),側面4間(7.2m),屋根は前方が入母屋造りで後方は切妻造り,床下は舞台造りとなった堂が建っている。
この堂について岩屋堂所有の『書上帳』によると,「大同元年(806)之創立ニシテ弘法大師彫鑿ノ不動尊体ヲ安置シ弘仁10年(819)4月七堂ノ伽藍ヲ建設シ…」とある。また,伝承によると,大同元年飛騨の匠が建築したもので,その後源頼朝が再興したのが今の堂であるという。岩屋堂の本寺は妙見山神光寺といい,150石の寺領を有する大伽藍だったが,天正年中(1573〜1591)羽柴秀吉来攻の時兵火に罹り焼失し,この堂だけが焼け残ったものだという。
本尊不動明王についても,弘法大師が33歳の時に彫刻されたもので,因幡の黒皮不動といい,江戸にある目黒・目赤の両不動と共に日本の三不動だといわれているが,確証となる資料は発見されていない。
この堂は昭和30年10月25日から昭和32年3月31日までの18ヶ月をかけて,総額617万3千円の事業費をもって解体修理が行われた。この時の『重要文化財不動院岩屋堂修理工事報告書』によると次のように記されている。
「岩屋堂は岩窟内にある舞台造りの建物で,記録に乏しく建立年代は明らかでない。柱及び舟腑木や正面花燈窓並びに須弥壇廻りなどの形式手法により,室町初期頃の建立と思われる。その後の沿革も明らかでないが,安永修理を中に,前後ほぼ二回の大修理が施された模様である。
特に安永2年(1773)の修理は,正面軒廻りを改造して屋根を整え舞台を補強するなど大修理が施された。今回の解体修理を機に,後世解変された部分のうち,旧規が明らかになった箇所を復旧整備し,ほぼ建立時の姿態に復した。」
これらのことから考えてみると,中世修験道の発達によって創立された寺院であろうということが推測されるものの,それを確証する資料は発見されていない。
なお,この岩屋堂集落の史跡について『因幡誌』では,神光寺の古いあと,小敦盛の墓,平経盛一族の墓等を紹介している。

              (若桜町観光協会パンフレットより)

 

出発10:20   鞍部11:10   狩谷山12:14〜12:40   芦津吉川越13:00   三町村尾根点13:50  若杉峠14:30  下山15:00


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