爽やかな高原の風に吹かれ 鉢伏山(2005.8.6)


  
P・@〜D
P・@〜D

高原の風を求めて

連日,夏日が続くと,爽やかな高原の風が恋しくなります。とはいえ,高原=信州というイメージが強いものの,我々には時間とお金がありません。つまり,信州行きは不可能ということ。そこで兵庫県内でも高原の爽やかさが味わえるところということで,候補にあがったのがハチ高原です。ここには,MTBに乗り始めた頃,何回か来たことがあります。なだらかな高原のダウンヒルコースは,初心者には打って付け。そういえば,キーキーというブレーキ音を高原中に響かせていた人もいたっけなぁ。ありゃあ,高原を散策していた人には迷惑だっただろうなぁ。

ということで,目的地は鉢伏山と決まったものの,高原からただ登るだけではあまり変化がありません。ここは,『たじまハイキング』にあるコースで登ってみましょう。鉢伏山の北にある旧美方町の南部健康高原から登りましょう。下りは,ミカタスノーパークから下るルートと小代越えから林道を下るルートがありますが,『たじまハイキング』では小代越えから林道を下っているようです。どちらにしてもMTBは乗り乗りでしょう。爽やかな高原の風と極楽ダウンヒル,しかも下りきったところには滝もあります。最後は,冷たい山の水でさっぱり爽快!こりゃあ,ナイスなプランやねぇ。

いつものように日岡公園でS田さんと合流。ところが,ここでsurprise!なんと!S田さんがリュックを忘れたとか。う〜ん,朝一にいきなりの大ボケを繰り出すとは…。でも,リュックがなきゃあ,荷物が運べんガヤ。S田さんは,「あれだけ忘れ物をチェックしたのに…」とぼやいていますが,忘れ物は仕方おまへん。ノーミソだって何十年も使ってりゃあ,痛むもの。現地に行く前に気がついただけでもよかったと思わなきゃ。でも,しょっぱなからこれでは,今日はどうなることやら。そういえば,S田さんといっしょに但馬に行くと,雨になることが多かったしィ…。

天気はどうかいなぁ

忘れ物を取りに帰り,但馬に向けて再出発。ところが,途中で心配していたことが現実に。生野を越えるあたりで雨が降り始めてきました。幸い,養父市に入るころには雨はやみ,雲は多いものの青空も出てきました。やれやれです。でも,湿度が高いためか,遠くが白くモヤっていて遠望がききません。残念!

土曜日で交通量が多めなので,快調にとはいきませんが,渋滞もなく美方町へ。ミカタスノーパークを過ぎ,南部健康高原を目指します。ここでS田さんの叫びが!「ミカタスノーパークからずっと上らなアカンやん!」そうです。鉢伏山からミカタスノーパークへ下ると,この舗装路の上りを延々と登りつづけなきゃあなりません。これはやっぱり大変かなぁ。でも,案ずるより生むがやすしきよしともいいますしィ…。

南部健康高原に着き,尼崎市の宿泊施設の看板を見ると,あたりは「きりがね親林公園」というそうな。でも,目の前にあるのは「尼崎市立美方高原自然の家」です。しかも,地図には「南部健康高原」ともあったし。いったい何が何やら,訳ワカメ。とりあえず,八反の滝の駐車場(P)に車をとめ,MTBの準備です。帰ってきたら,この滝が水浴びだドォ。

  
登山口から見る南部健康高原と青ヶ丸&仏ノ尾 いきなり丸太階段を登る
登山口から見る南部健康高原と青ヶ丸&仏ノ尾
いきなり丸太階段を登る

急な丸太階段

車道をドンドン登り,石楠花公園へ。鉢伏山への登山道は,この公園の最奥にあるハズ。公園には,いろいろな種類の石楠花が植えられていますが,すでに花期は過ぎています。東屋もあり,その脇にはOLポストもあります。裏を見ると,問題が貼ってあります。「Jポイント 問題 遠くの山に向かって「好きな言葉」を一言叫ぼう!」もちろん,S田さんは「ゼニ〜ィィィ!」でも,時間も必要なのでは?それを実感する出来事がこのあと起きるのですが,このときはそこまではわかるはずもございません。お気楽に登山口を目指します。

登山口は,石楠花公園の最奥(@)にあります。あたりの大木には,木登り用のロープがかかっています。道は急な丸太階段ですが,森の中なので真夏の太陽からは逃れられます。気温自体も下界ほど高くないような気がするのですが,なにせMTBを担いでの急登なので汗が出放題。早くもTシャツはびしょ濡れです。大木の根元には白い花があちこちに咲いていますが,なんという花なのか…。ふと足元を見ると,特徴のあるヤマジノホトトギスの花が咲いています。つやのあるイワカガミの葉も目立ちます。ブナの大木の中に,トチノキの大木もあります。緑濃いこのルートは,高原からのルートとは正反対です。

樹林帯を抜けると

ルートは,まずは谷をジグザグに登り,支尾根に出ると傾斜は緩やかになります。しばらくして樹林帯を抜けると,とちのき村展望コースとの合流点(A)です。標識(鉢伏山 とちのき村展望コース とちのき村シャクナゲコース)もあります。我々が登ってきたルートは,とちのき村シャクナゲコースというそうな。この合流点からは鉢伏山からの稜線や高丸山が間近に見え,すばらしい展望です。しかも,これまでは近くで見たことのない角度からの鉢伏山の展望です。しかし,1114ピークから高丸山の北斜面は植樹が進み,数十年後には樹林帯になるかも。これはちょっと残念。

  
緑がきれいやなぁ 気象データ収集中
緑がきれいやなぁ
気象データ収集中

広くなだらかな尾根を登ると,前方に東屋が見えます。その手前には,気象測量用の装置が設置されています。風速や日照時間,地中温度まで記録するようになっています。よく見ると,ウスイロヒョウモンモドキを守る会が設置しているとか。すんごいっすねぇ。

この草原においてウスイロヒョウモンモドキの採集を禁止します。
ウスイロヒョウモンモドキ(タテハチョウ科)は,絶滅に瀕する野生生物についてまとめた「環境省レッドリスト」において「絶滅危惧T類」に,絶滅のおそれのある種の一つとなっています。兵庫県内では生息地は極めて限られ,緊急に保護を必要としています。
ハチ高原周辺一帯の草原でのウスイロヒョウモンモドキの採集を禁止しますのでご協力をお願いします。
また,兵庫県内での他の場所においても自粛していただきますよう,御協力ください。

     兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会 養父市大久保・別宮,美方町新屋・各地区区長

東屋を過ぎると丸太階段が続いていますが,これまでのような急勾配ではないので,少しは楽。展望コースから分かれ,1114ピーク(B)を目指します。ところが,道はピークを巻くようにして,ついには行き止まり。おやっ!?何で行き止まりやネン!?仕方なく適当な所からササを掻き分け,ピークに向かいます。

  
高丸山に向かって逆走 氷ノ山遠望
高丸山に向かって逆走
氷ノ山遠望

ササ原からとび出したところが,稜線の遊歩道。眼下には広〜いハチ高原が見えています。楽器の音や人の声も聞こえてきます。神鍋高原とともに「合宿のメッカ」といわれるハチ高原だけのことはあります。幸い,稜線にも鉢伏山山頂にも人の姿はありません。合宿の学生たちは鉢伏山にまでは登らないのかな?

稜線の遊歩道は,下りは丸太階段があるものの,MTBで乗車可能。こりゃあ,極楽だギャ。30年ほど前の記憶をたどれば,スキーを始めたばかりの頃,この稜線を転びながら下った覚えがかすかにあります。その脇を上級者っぽいスキーヤーがさっそうと滑降していくのを見て,羨ましく思ったものです。その稜線を30年後の今は,MTBで走っているのですから,その当時のボクには想像だにできないことです。人生とはわからんもんやねぇ。「人生とは神の手によって書かれた笑い話である」(餡出栓)

かくして,人生の奥の深さを感じながら稜線を進みます。1114ピークを下りきると,あとは鉢伏山に向かって登るのみ。MTBを肩に急なガレ場を登ります。いったんはひいた汗が再び噴出。もう,人生を味わうどころではありません。「快楽を大にせんが為めに格別に辛苦し」といいますが,この下りって,快楽?MTBは乗車不能でしょう。じゃあ,いったい何のためにMTBを担ぎ上げてるの?とは,S田さんのボヤキ。でも,ミカタスノーパークに下るには鉢伏山に担ぎ上げなきゃあダメじゃん!?

  
静かな山頂 ハチ北からミカタスノーパーク上部を見る
静かな山頂
ハチ北からミカタスノーパーク上部を見る

誰もいない山頂

汗だくになり,ようやく鉢伏山山頂(C)へ。驚いたことには,広々とした山頂には誰もいません。こんなことがあるんだと嬉しくなってしまいます。日差しはあるもののそれほど暑くは感じません。爽やかな秋の空気が流れています。展望は,リフト小屋などがジャマをしていますが,ほぼ360度の大パノラマ。麓の高原や集落が見えるので,高度感もあります。早速,ランチにしましょう。リフト降車場の板の間に座り,冷やし中華とおにぎり弁当です。爽やかな風に吹かれながらのランチは,汗が一気にひきますが,なぜかてんとう虫がいっぱい寄ってきます。ハエやアブよりはマシとはいえ,気持ちのいいものではありません。なんでてんとう虫なんやろ?てんとう虫…転倒虫…!こりゃあ,不吉だギャ!

  
ハチ高原に向かって…
ハチ高原に向かって…

記念碑
鉢伏山(1221m)は今から約180万年前の前期更新世の火山噴出によって作られたといわれる。山頂付近の奇岩,巨岩は鉢伏安山岩と呼ばれ,山の表土は黒色の火山灰質土壌に覆われている。
鉢伏山は全山千古の老木と根曲竹の群生する深山で,神々の住む山として古くより人々の信仰の対象としての神山であった。
山頂に点在する奇岩,巨岩は,当地出身の画家西村魁人氏の手によって記録され,「鉢伏山霊石」として今日に伝えられている。
昭和21年,出口王仁三郎師の開山によりこれらの神岩霊石が広く知られる事となったが,この度の開発に伴い移転される事になった為,これらの霊石の点在図を作り後世に伝えるものである。

           平成6年9月吉日   (村岡町大笹区)鉢伏観光開発株式会社

  
鉢伏山霊石点在図 鉢伏山霊石コレクション
鉢伏山霊石点在図
鉢伏山霊石コレクション

雷だギャ〜

爽やかなランチタイムを過ごし,下山です。ところがここで,大問題が発生。当初は,鉢伏山からミカタスノーパークへ下る予定でしたが,雷の音がゴロゴロと鳴っています。上空には雲もいっぱい。山での雷は,遠くでもすぐにやってくるとはS田さんの言。雨はともかく,雷ではどうしようもありません。のんびりとミカタスノーパーク回りで帰っていると,いつ落雷にあうかもわかりません。ミカタスノーパークスーパーダウンヒルコースへの未練はあるものの,やむなく小代越えで林道を下る最短コースで下山することにします。

忘れ物をチェックし,MTBで下山開始。ガレ気味の下りをなんとか乗車。さらに下っていると,前を行くS田さんがいきなりの転倒!山頂でのイヤな予感が現実に。でも,もしかすると,小代越えという軟弱ルートを選択した天罰かもしれません。やっぱり,ミカタスノーパークスーパーダウンヒルコースへ行けばよかったのかなぁ。鉢伏山からの下りだって,乗り乗りだし。でも,雷は怖いし…。

ガレ場を下り,1114ピークに向けて快走。ピークからも鉢伏山を背に極楽の稜線走りです。高原を見下ろしながらのMTBは爽快です。1114ピークからガレ場を下り,高丸山へ。ここまで来ると,ハイカーや合宿中の子どもたちが散策しています。その子どもたちを横目に高丸山へ。ここにも三角点はあるはずですが,見当たりません。鉢伏山山頂にもあるはずの三角点も見つからず。どこにあるんかなぁ。

高丸山から西はゲレンデのエリア外です。なだらかにうねる稜線と草原。その向こうには広大な氷ノ山の山容が見えます。リフトなどがないので,こちらの景色の方が高原らしく思えます。その稜線をMTBで下るのはS田さんです。先ほどの転倒に懲りて,慎重に小代越え(D)へ。ここにもOLポストがあり,標識もあります。それにしてもこのOLポストって使われているのでしょうか。小代越えや鉢伏山山頂にポストがあることはわかっても,そんなに走り回れるんかなぁ。でも,こういうOLって,「ロゲイン」っていうのでしょうか。

  
高丸山から小代越えに向かってダウンヒル 裏ハチ高原
高丸山から小代越えに向かってダウンヒル
裏ハチ高原

林道はMTB初心者天国

小代越えから北へ下ります。山道はすぐに林道へととび出します。ここにもウスイロヒョウモンモドキ保護の標識があります。我々には全く関心のないチョウのことですが,関心のある人には貴重なチョウなのでしょうねぇ。種の絶滅は,地上ではよくあることでしょうが,それでも徐々に減っていると聞くとやっぱり気になりますよね。ちなみに,この林道は,先ほどの「とちのき村展望コース」の一部です。地形図では実線で表記されている林道で,道幅は広く,傾斜もゆるやかです。MTB初心者大歓迎コースです。あとはこの林道を下るだけ。雷鳴もあまり聞こえなくなったので,のんびりと林道ダウンヒルです。轍のジャリはハンドルを取られやすいので,轍の中央部の草地を走ると走りやすい。振り返ると,あまり見ることのないハチ高原の北側が見えています。さほど特徴はありませんが,これはこれでなかなか貴重な展望です。

とちのき村の展望コースになっているこの林道ですが,途中で展望コースは谷に下っています。それから林道は木立の中を下ることになり,まったく展望はなくなります。ただ,木立の中を抜けるので,空気は爽やかです。ゲートを抜けると,さらに林道を下ります。そして,舗装路へ。ここからは車道を走って八反の滝へ。途中で,大トチノキを見物。

天然記念物  栃の木群生地
規模  樹林
栃の木は,美方町の町木である。
自然木としての栃の木は町内各地に育っているが,新屋地区の栃の木は群生しているので珍しく,その面積も4ヘクタールと広く,本数も40本以上ある。
樹林として群生している場所は他にないため保護されている。
栃の実は,食品加工の原料として珍重されている。

  
大トチノキ
大トチノキ

終着の八反の滝(P)で水浴びを目論むもの,ガキ軍団に占領され,下流のナンチャッテ八反の滝で水遊び。

名勝 八反滝
●所在地 美方町新屋字別宮道坂
●規模 高さ約32m
この滝は鉢伏山(1221m)から発し,新屋集落を通って矢田川に注いでいる。
約2500年前,鉢伏山の火山活動によってできた安山岩の平原の侵食の激しいところにできた滝といわれる。
はじめは,やや傾斜した岩の上を流れ,やがて垂直につったった岩壁を勢いよく落下している。
滝の多い美方町では,早くから公開された滝の一つである。

  
八反の滝 プチ沢登り?
八反の滝
プチ沢登り?

山から降りてきたら沢で水遊びというのは,今夏のお約束事になった感があります。冷たい山水でオーバーヒートした身体を冷やすと,身も心もスッキリシャッキリ。嗚呼,快哉。

ところが,帰宅後,S田さんは飛び入りのお仕事で会社へ。やっぱり,人生にはゼニだけやなしに時間も必要やねぇ。ご苦労さまでした。

 

石楠花公園登山口11:00   とちのき村展望コースとシャクナゲコースの合流地点11:42   鉢伏山山頂12:30〜13:20   小代越え13:57  林道出口14:10   


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