人気スポットは見所多し 笠形山 (2006.9.25)


  
P・@〜F
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楽・近・短の笠形山

日中の日差しはまだまだ強いものの,朝夕はずいぶんすごしやすくなりました。湿度の低い爽やかな風が吹き,秋の訪れを感じる今日この頃。平日のOFFになので,のんびりと朝をすごし,さて今日はどこへ行こうかなぁ。とりあえず,展望のいい山。できれば見所がおおく,お手軽で近くて…。と,いろいろ条件をあげて思いついたのが,笠形山です。週末は多くのハイカーでにぎわう笠形山ですが,平日ならそれほどハイカーはないでしょう。しかも,大屋コースだと滝があったり,天然水や岩場もあります。しかも,お手軽で近い。ということで,笠形山に行きましょう。

車で走っていると,黄金色の田んぼのあぜには真っ赤な彼岸花が咲いています。澄んだ空といい,爽やかな風といい,秋やねぇ。夏は遠くなりにけり。やはり,秋の初めは彼岸花が似合います。

  
八千代町から見る笠形山
八千代町から見る笠形山

大屋に入り,国民休養地の前を通ります。この国民休養地は,滞在型とありますが,平日である今日はほとんど車がとまっていません。平日にここでのんびり滞在できる人って,どんな人なのでしょう。車道をさらに進むと,道は林道になり,植林の中を進みます。やがて,林道の終点へ。

林道の終点には,案内板があちこちに立てられています。トイレも完備されており,10台ぐらい駐車できそうな広場になっています。もちろん,先客はなし。ここのトイレの裏には,「蛇腹滝」があるということですが,倒木だらけでなにがなんだか???です。

ひょうご森林浴50選(笠形山)
山すそから山腹までスギ・ヒノキが植樹され,渓流沿いにはカエデ・カシ・ヤマザクラ・コナラなどの広葉樹も見られます。また,大小の滝や奇岩があり,見る者を楽しませてくれます。(この看板は緑の募金より整備されました)

笠形山千ヶ峰県立自然公園
笠形山千ヶ峰県立自然公園は,昭和40年6月1日に自然公園に指定された兵庫県内11箇所ある県立自然公園の中で最も新しい自然公園です。当自然公園は,笠形山(939m)周辺から千ヶ峰の4町にまたがる6150haの広大な区域を有しています。
県立笠形山自然公園センターは,当公園のビジターセンターなど自然公園の中心施設であり,笠形山登山道の入口に位置しています。笠形山は,その秀麗な姿から「播磨富士」と呼ばれ,山頂からの眺めも素晴らしく,当センターからの登山道沿いには大小の滝や様々な樹木や美しい景観を望むことができます。また,千ヶ峰は東播磨地域の最高峰で,山頂からは但馬・丹波の山並みを望むことができます。

←県立笠形山自然公園センター1.2km     笠形山山頂1.8km→

瀧見ルートへ

準備を済ませ,出発です。まずは,「二龍が瀧」といわれる二段瀧へ。左手の谷を少し進めば見えます。落差はそれほどないのでちょっとビミョ〜です。「二龍」というほどのことは…。

二龍が瀧(滝)
カイノ谷の流水が俄然,急落下する二段式瀑布で水量の多いときは変化のある豪壮な瀧であり,二頭の白龍が岩壁を上に昇っているように見える。右方山稜の老松を配して男性的な瀧である。

  
二龍が瀧 炭焼き釜跡の向こうに勝負瀧
二龍が瀧
炭焼き釜跡の向こうに勝負瀧

登山道にもどり,渓流沿いに上ります。傾斜はゆるやかですが,岩が多く,MTBで走れそうにありません。以前,知り合いのM本さんは,このコースから笠形山に登ったということですが,乗車率は0%だったことでしょう。withMTBに比べれば,歩きは楽チンです。

お次は「勝負瀧」の登場です。きれいに残った炭焼き釜跡が見えると,その向こうに勝負滝が見えてきます。この滝も,落差はそれほどあるわけではなく,2つの谷が勝負しているとのことですが…はて???。ここまでの滝は,チョット肩すかしの感じです。それでも,渓流沿いの山道は涼やかで,夏場に来てもいいかも。

勝負瀧
落差は約8m。二つの谷が合流したところにあり,流れる水が二つに分かれて滝になっていることから勝負瀧と名付けられた。

勝負瀧から少し登ると,木立の間から堰提のようなものが見えてきます。こんなところに堰提?と思いながら,よく見ると,それは岩壁に流れ落ちる滝ではありませんか。一枚岩の壁を落ちる龍が滝は見事です。写真では,紅葉の頃だと滝の両側を色づいた木々で飾られるそうです。さすがは,この渓谷でメインになっている滝だけのことはあります。しかも,その上部には,「馬の足跡」が岩盤にくっきりと残っています。これだけの足跡をつけることができる馬といえば,ディープインパクトじゃなく,やはりラオウの乗る馬でしょう。ということは,坂上田村麿というのはラオウ?!

  
龍が瀧 馬の足跡
龍が瀧
馬の足跡

龍が瀧
笠形嵐に交じり,とうとうと響く瀧音,美しく典型的な瀧である。両側の樹影を映して美しいを呈している。
瀧の上の岩盤に馬の蹄跡が澤山と重箱を置いた跡がある。
これは昔,坂上田村麻呂が馬に乗って笠形山を下られ,この瀧の上で休まれ,馬を繋いで,重箱を開いて食事をせられた跡が今にそのまま残ったとの傳説がある。

それにしても,この渓谷は,ゆるやかだし,見所が多いし,なかなかに楽しいところです。しかも,その案内板の記述がおもしろい。馬の足跡をさらに進むと,今度はクリンソウ自生地なるものもあります。貴重な花のようですが,開花が春ということなので,当然,花は無し。見た目には,ただの草原です。

クリンソウ
開花の姿が仏塔の先についている「九輪」に似ていることからこの名前がつきました。日本でもっとも大きなサクラソウです。ここは兵庫県に残る貴重な自生地で,地元の有志が保護,育成に努めています。
クリンソウを守るため,抜き取ったり,自生地を踏み荒らしたりしないようお願いします。

そのクリンソウ自生地からすぐのところにあるのが,「熊の段」です。冬でも雪どけが早いということですが,ホントかな?講談師,見てきたようなウソを言い。WEBサイト,ホントのようなウソを書く?

熊の段
冬期でもここは雪が降ってもすぐ消えて積もらず,湯気が昇り,熊もここで冬眠していたといわれる。

熊の段を過ぎ,前方が開け,模木階段が見えてくると,広域林道です。アスファルトで舗装された林道の向こうに登山道の続きがあります。ここで,ちょっと寄り道。龍が瀧展望台の案内があるので,そちらに行ってみましょう。林道を歩くこと数分。道の脇に残った小高いこぶのようなところに階段があり,展望台になっています。龍が瀧は,その展望台の下からわずかに望めるだけです。ちょっとガッカリ。

←笠形山山頂1.1km    県立笠形山自然公園センター1.9km→

急登の力水コースへ

さて,これからが急登ルートになります。登りはじめは,沢沿いのゆるやかな山道です。沢のつき当たり付近には,「天邪鬼の力水」といわれる天然水が湧いています。岩の間から伏流水が出ているのですが,かなりの水量があります。ここで,一休み。のどをうるおし,これから始まる急登に備えます。

山道は,力水ポイントからは谷を離れて,尾根を登るルートになります。九十九折りの急登が続きます。汗がふき出し,先ほどのどをうるおした力水はどこへやら。展望もほとんどないので,退屈な上りです。20分ほどの上りのすえ,笠形山への尾根道へ出ます。この尾根道は,笠形山から入相山へと続く尾根です。その尾根道の途中から笠形山に登ることになるのです。

  
天邪鬼の力水 龍の背
天邪鬼の力水
龍の背

この尾根道にも見所は多く,まず登場したのが「龍の背」と名付けられた岩場です。先ほどの滝の名前といい,「龍」の字がお好きなようですね。龍の背を過ぎると,今度は立岩です。狭い岩の間には,鎖が付けられており,ここって鎖場?その立岩で足元をふと見ると,紫のリンドウが一輪。秋やねぇ。

龍の背
笠形山から千ヶ峰へと続く縦走路にあり,尾根に岩が並んでいるようすから「龍の背」と呼ばれています。

立岩を過ぎると,今度は天邪鬼の挽岩です。この立った岩が橋桁になって妙見山まで橋を渡す計画だったとか。明石海峡大橋もびっくりの大プロジェクトです。残念ながら時間切れで断念したとか。それにしても,古の人々は,よくもまあこれだけのウソ八百が思いつくもんですねぇ。そのたくましい想像力と豊かな発想に脱帽です。

  
立岩を登る 天邪鬼の挽岩
立岩を登る
天邪鬼の挽岩

天邪鬼の挽岩
笠形山にアマノジャクがいた。笠形山から中町の妙見山に橋を架けるため橋脚を立て橋板にすべく岩を板状に切り,いよいよ架橋にとりかかる段取りとなったとき,東の空が明けかけた。
アマノジャクは,夜だけの生物で太陽が昇ると駄目になるので残念ながら大架橋工事は橋脚を立て,橋板を切って準備OKというところで夜が明けてしまったというのである。

リンドウをあとに,尾根を進むと,ようやく笠形山山頂です。登ってみると,なんと!山頂には誰もいません。休日には,山頂はハイカーでごった返し,迷子まで出るという混雑ぶりですが,それらがウソのような静かな山頂です。しかも,360度の展望です。残念なのは,思ったほど遠望がきかず,遠くがかすんでいることです。それでも,千が峰や粟鹿山などが見え,谷間の集落がミニチュア模型のようで,高度感がスバラシイ!さすがは一等三角点ピークです。

  
誰もいない笠形山山頂 明神山方面を見る
誰もいない笠形山山頂
明神山方面を見る

扁妙の瀧へ

さて,ここで時刻は11時半。ランチタイムにはまだ少し早いし,かといってこのまま下山するのも物足りない。今日は滝巡りというテーマ?ですので,ついでに扁妙の滝にも行ってみましょう。少し距離はありそうですが,それでも1時間もあれば行けるでしょう。と,何の根拠もない予想です。

誰もいない静かな山頂をあとにします。 荒れた急な登山道を下ると,なだらかな尾根道となります。やがて,扁妙の滝コースの分岐点へ。直進すれば笠の丸ですが,まずは,扁妙の滝に行きましょう。このコースは,笠形山登山のポピュラーコースですが,オイラは初めてです。

斜面を横切るように下る山道は,意外にもなだからで,これならMTBでも楽しく下れそうです。ただ,植林の中の道なので,展望は全く無し。小さなアップダウンを繰り返しながら,やがて,大きな尾根を下ることになります。ここから,傾斜は急になり,九十九折の道になり,やがては丸太階段になります。と,その時,前方から熟年ハイカーの団体が登ってきました。本日,初めてで会うハイカーです。やはり,笠形山。平日といえども,誰も登らないということはなさそうです。

丸太階段を下ると,再び,ゆるやかな山道になります。やがて,沢沿いの道になり,5合目付近では,炭焼き釜跡がいくつか見られます。このあたりは川底が一枚岩になっており,その上をあふれるように水が流れています。夏場なら,絶好の水浴び場?

5合目からは,沢を離れ,斜面を横切るように下ります。先ほどの沢を下った先が扁妙の滝なのでしょう。その深い谷を左手に見ながら,ゆるやかに下ります。小さなアップダウンをいくつか越え,目の前が急に開けると,展望岩場です。この岩場からは,ふもとのグリーンエコー笠形が見え,その向こうに神崎の山々も見えています。

久しぶりの展望を楽しんだあとは,九十九折の道を下ります。やがて,滝見台への分岐点へ。扁妙の滝がお目当てなので,まずは滝見台へ。滝見台には東屋があり,扁妙の滝が小さく見えています。水量が少ない時期なのでしょうか,思ったよりもショボイ滝です。チョットがっかり。滝見台からさらに尾根の先端に向かって踏み跡がありますが,10mほどで終点。

扁妙の滝
江戸初期に扁妙というお坊さまが滝の左側に不動産をおまつりしました。
そのお坊さまが亡くなられた後,地元の人がそのお坊さまをしのび,お堂を建て滝の名を扁妙の滝と名付けました。(落差65m)

  
瀧見台から見る扁妙の瀧 仰ぎ見る扁妙の瀧
瀧見台から見る扁妙の瀧
仰ぎ見る扁妙の瀧

扁妙の滝へは,滝見台から遊歩道があります。急な鉄の階段を下り,谷に下りると,目の前に扁妙の滝が現れます。滝壺はなく,滝の下は岩だらけです。夏場なら,ここで水浴び&修行?ができることでしょう。ちょうどランチタイムとなったので,滝から出るマイナスイオンを身体いっぱいに浴びながら,ランチをいただきましょう。これを「水煙浴」というのですが,花粉症も治るんだったらいいのになぁ。

水煙浴
滝から生じる飛沫は,こまかな霧状となり水煙が舞っています。霧状のしぶきによって,マイナスイオンが空気中の小さな粒子に付着し,空気を浮遊します。この空気を吸うことにより次の効果が生まれます。
1 呼吸機能を高める。(ぜんそく療養に特に効果があります。)
2 精神を安定させる。

ランチをいただき,コーヒーを味わい,本日2度目の笠形山登山です。鉄の階段を登ると,小さな尾根に踏み跡があります。おそらく,登山道へのショートカットなのでしょう。行ってみましょう。かなり急な斜面につけられた踏み跡で,立ち木をつかみながら登ります。そして,たどり着いたのが,展望岩場です。なるほど!

本日2度目の笠形山

あとは,下ってきた道を登るだけ。深い谷を見,沢沿いの道になり,急な丸太階段に一汗かき,九十九折の急登に二汗目。ようやく,なだらかな山道になり,尾根分岐点へ。時間があるので,笠の丸にも行ってみましょう。小さなピークを越えると,こんもりとした笠の丸のピークです。ここからは,笠形山山頂も見え,北の展望も開けています。南には,空気が澄んでいれば播磨灘に浮かぶ家島群島も見えるそうですが,今日は白くかすんでいます。この笠の丸には,以前はロボット雨量観測小屋があったそうですが,今では東屋とトイレがあります。

笠の丸の展望を楽しんだあとは,笠形山へ。山頂手前で,丸太階段で出会った熟年ハイカーの団体に再会。誰もいないだろうと思っていた山頂には,男性が2名。その男性たちもすぐに下山。オイラも本日2度目の山頂なので,さっさと下山へ。少し下ったところで,「天狗岩」への踏み跡があります。古びた案内板もありますが,どれが天狗岩なのかな?それらしい岩を過ぎたあたりで,板状の節理になっている岩場があります。天狗岩よりもこの岩の方が珍しいかな?

  
笠の丸 天狗岩?
笠の丸
天狗岩?

登山道に復帰し,あとは下るだけです。天邪鬼の力水でのどを潤し,林道を横切り,大小の滝を見ながら,登山口へ。この龍が瀧ルートは,見所が多く,それらの案内を読みながら登るのは楽しいものです。また,中間地点には天邪鬼の力水があり,水分補給にちょうどいいタイミングです。そして,尾根に出ると,龍の背や立岩といった岩場があり,変化に富んでいます。そして,山頂は360度の大パノラマ。笠形山が人気スポットであるのも納得です。人気スポットというのは,それなりの理由があるから人気なんですよね。

 

登山口10:00  龍が瀧10:15  林道出合10:25  笠形山山頂11:25  分岐点11:40  滝見台12:20  扁妙の滝12:30〜13:00  笠の丸14:00  下山15:20   


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