展望岩尾根を攀じ登る 桶居山 (200.10.8)


  
P・@〜D
P・@〜D

今日も桶居山へ

時間が中途半端な時は,安近短のお山がよろしい。ふだんならお手軽すぎるお山に行きましょう。我が家からのお手軽お山となると,本命は桶居山です。高御位山という有名な?山もありますが,気候のいい休日だとたくさんのハイカーで大賑わいです。その点,桶居山は,山頂からの展望は高御位山にひけはとらないものの,マイナーな山なのでハイカーに出会うことはあまりありません。桶居山への一般ルートは,高御位山からのピストンか,西の深志野からの高御位山への縦走です。どちらにしても,少し距離があるということでハイカーは二の足を踏むのでしょう。でも,鋭鋒からの360度の大パノラマは,高御位山にはないものです。しかも,桶居山から東西に延びる尾根も展望抜群。それに,岩場が多く,楽しめます。

その桶居山に三度目のハイキングです。今回は,前回の尾根の隣の尾根から登り,まだ下っていない桶居山山頂直下の尾根を下ることにします。今回登る尾根は,ふもとから見ても大きな岩場が2段にあり,その2段目の岩場は鋭角に尖っています。登るルートは,はっきりしませんが,先週ここに来た時に第一村人から聞いた情報を信じることにしましょう。その情報とは,以前は岩登りの人がよく登っていたということと,あの岩場から石を切り出すための馬力道が尾根の先端まであるということです。ただ,車道から見る限りは,道らしいものは見当たりませんでしたが…。

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本日の岩尾根
本日の岩尾根

ふもとはヤブヤブ

先週同様,秋晴れのハイキング日和です。車をとめ(P),尾根を回りこみながら道らしいものを探しますが,竹やぶばかりです。尾根の西側(@)に回りこみ,それらしい空間を発見。と同時に,第一村人発見!尾根についての情報をゲットしましょう。聞けば,岩場のふもとはイバラのヤブだとか。道も無いだろうとのこと。ただ,昔はスリッパであのテッペン岩まで行けたそうです。岩場からは大塩の浜まで見えたそうな。話を聞きながら岩場を見ていると,岩場の横に柵のようなものが見えます。あれが石切り場の跡だそうです。以前は,その岩場をロッククライミングする人たちが来ていたそうですが,今ではあまり見ないとか。う〜ん,予想通りというか,悪い予感が当たったというか。やはり,ふもとの林はヤブなんですね。ただ,ふもとの林はそれほど深いものではないし,尾根に登れば岩場です。暫しのヤブ漕ぎはガマンしましょう。

人家の横を抜け,林に侵入。はじめの10mほどは踏み跡があったものの,その先は踏み跡も無し。木立の空間を探しながら進みます。が,すぐにその空間もイバラで閉ざされ,あとはヤブ漕ぎあるのみです。そのヤブ漕ぎも,進むにつれて急斜面になり,ついにはシダヤブに。背丈以上もあるシダの中をかき分け,踏みつけ,登ります。無数のシダの胞子?が朝日の中で光っています。それを見ただけで,鼻の中がムズムズします。里山とはいえ,手強い尾根です。

  
ヤブ漕ぎで尾根に上がってもシダジャングル
ヤブ漕ぎで尾根に上がってもシダジャングル

第一岩場

ようやく,尾根に登るものの,シダヤブはまだまだ続きます。シダをかき分け,踏みつけて,まるで,シダの海を泳いでいるようです。やがて,そのシダの海が終わりに近づき,前方には岩壁が迫ってきます。シダの海を抜け,潅木を抜けると,岩壁の根元です。おそらく,この岩壁を登らなくても,左手に巻けば岩壁の上に出ることはできるでしょうが,それではおもしろみに欠けます。ここは,直登あるのみでしょう。とはいえ,どんな岩壁なのかわからないので,登れるところまで行ってみましょう。

岩壁(A)は,ふもとから見たほどの険しさはなく,ひょいひょいと登れます。ただ,登るにつれて,岩壁は急になり,幅も狭くなってきます。そして,ついに最後の岩壁です。右はスパッと切れ落ちており,左手は岩の間から枯れ木が出ているだけです。チョット危険ですが,切れ落ちた面に沿って登るしかないでしょう。ふと,足元を見ると,さびたボルトがあります。切れ落ちた岩場の向こうには,まだ新しそうなボルトもあります。なるほど,ここは岩登りの岩壁なんだ!それを,スニーカーとハーフパンツ,ポシェットで登ろうというんだから,無謀?でも,引き返すのもシャクだギャ。

  
仰ぎ見る第一岩場 第一岩場を攀じ登る
仰ぎ見る第一岩場
第一岩場を攀じ登る

慎重に手がかりと足場を決めながら岩壁にとりつきます。凝灰岩にある無数の凸凹の中から,手がかりとなるような凹でホールド。足場を決め,三点支持でじわりと攀じ登ります。見た目以上に斜度があるので,重心がとりにくく,不安定です。こんなとき,ロープで確保していると安心だろねぇ。まぁ,フリークライミングということで,がんばりましょう。距離自体は数mなので,時間はそれほどかからず,第一岩壁のテッペンへ。期待通りの好展望です。東隣の尾根では,岩壁でロッククライミングの人たちがたくさん集まっています。桶居山の鋭い山頂も見えています。まずは,第一岩場,クリアです。

テッペン岩は巻きルート

尾根に登ると,第二段のテッペン岩が鋭く尖って見えます。尾根は少しの間は木立の中の道となりますが,踏み跡ははっきりしています。以前,ここで岩登りをしていた人たちが歩いた跡なのでしょう。その木立を抜けると,目の前に岩場が出現。おそらく,左手に巻けば,テッペン岩に行けるのでしょうが,ここも登れるだけ登ってみましょう。はじめはなんとか登れますが,やがて山頂直(B)下になると,数mの岩壁が行く手をさえぎります。岩壁を右手に回りこんで,岩のすき間からよじ登ってみます。が,山頂まで2mほどの岩壁が問題です。ほぼ垂直に近く,凸凹もあまりありません。登って登れないことはなさそうですが,滑り落ちると10mは落下するでしょう。この岩場で落下は,チョット痛そう。というより,命が危ない。しかたなく,最後の最後で巻きルートを行くことにします。

  
テッペン岩 テッペン岩 最後の岩壁
テッペン岩
テッペン岩 最後の岩壁

左手の斜面に出ると,岩の割れ目に木が生え,手がかり,足場も十分です。ここを,あの第一村人はスリッパで登っていたということでしょう。でも,当時は道がはっきりしていたとはいえ,スリッパはどうでしょう。巻きルートを登ってテッペン岩へ。ふもとから見た通りのとんがり岩です。もちろん,スリル満点,展望良好です。足元を見ると,すぐ下の岩場にロープをつけたボルトが残置されています。やっぱり,最後の岩場はザイルがなきゃあ登れないよなぁ。

  
残置されたボルト テッペン岩から桶居山を見る
残置されたボルト
テッペン岩から桶居山を見る

展望の縦走尾根

テッペン岩で展望を心行くまで楽しんだあとは,桶居山に向かいます。岩壁を過ぎると,尾根はハギの花が咲き乱れるなだらかな尾根道となります。右手の尾根を見ると,岩壁にとりつくクライマーの姿がアリンコのようです。左手には姫路の町並み,ふり返ると播磨灘と男鹿島と小豆島のかすかな島影が見えます。お気楽ハイキングです。

  
テッペン岩にて テッペン岩から播磨灘を見る
テッペン岩にて
テッペン岩から播磨灘を見る

まもなく,縦走路へ。ピークを巻くようにして桶居山に向かいます。小さなアップダウンを繰り返し,桶居山に近づきます。右手の尾根では,岩登りをするクライマーたちの姿が少し大きく見えてきます。やがて,見覚えのあるピークへ。すぐ下には,高圧線鉄塔が建っています。このピークから見る桶居山は,岩のパッチワークをまとったような山頂です。しかも,その先端は鋭く尖り,とても247.6mの標高の山には見えません。

  
桶居山縦走路から見るテッペン岩 ただ今ロッククライミング中
桶居山縦走路から見るテッペン岩
ただ今ロッククライミング中

今日の下山尾根は,山頂のすぐ西の尾根なので,山頂に行く必要はないのですが,せっかくなので山頂に行ってみましょう。途中の岩場で,これまたせっかくなので記念撮影。今日も桶居山山頂は大パノラマだゼィ。

  
岩のパッチワーク 桶居山山頂 奇岩にて
岩のパッチワーク 桶居山山頂
奇岩にて

ハイカーに遭遇

山頂を降り,すぐ西の尾根(C)に向かいます。巡視路になっているらしく,踏み跡がはっきりしています。尾根に入っても,踏み跡ははっきりしていて,眼下に見える高圧線鉄塔がすぐそこに見えます。と,前方からハイカーがやってきました。この山域で,というより,この尾根でハイカーに出会うとはビックリです。しかも,そのあとからハイカーがもう一人。ご夫婦のようですが,この尾根から桶居山経由で高御位山に向かうそうです。時間がないので,今日はこの尾根でショートカットしているとか。存外,このあたりの尾根は利用する人が多いのかもしれません。

  
桶居山山頂 高圧線鉄塔がすぐそこに
桶居山山頂
高圧線鉄塔がすぐそこに

あとは,鉄塔目指して下るのみ。そして,鉄塔へ。明確になった巡視路を下り,ため池のほとり(D)へ。林道を通り,秋祭りでにぎわう山神社の前を通り,駐車ポイントへ。ふもとから見上げる岩壁は,あいかわらず険しく,テッペン岩は鋭く尖っています。今日は,安近短じゃなく,険近短でした。


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