古道をダウンヒル!林道で? 大笠山 (2006.11.4)


  
P・@〜G
P・@〜G

大江山いく野の道の遠けれど…

11月になり,紅葉のきれいなお山に行きたいものです。しかも,withMTBなら言うことなし。S田さんにこんなリクエストすると,大江山に行こうかぁとの返事。大江山といっても,有名な千丈ヶ嶽や鳩ヶ峰じゃなく,大江山北端の大笠山へ登り,破線ルートでダウンヒルをしようということです。尾根道ということで展望が期待できそうですが,等高線がかなり狭い。ということは,急な下りということ。これまでに幾度となくあった,「MTBを担いで登って押して下る」という悲惨なことにはなりたくないものですが…。

それにしても,大江山は遠い。3時間のドライブの末,ようやく虫本の集落へ。大虫神社の駐車場(P)に車をとめ,MTBで出発です。集落の中を通っていると,人家からガシャンガシャンと織機の音が聞こえてきます。丹後ちりめんを織っているのでしょうか。リズミカルな織機の音をペダルを回しますが,すぐにシンド〜イ!集落の中の道だというのに,かなりの急登です。息荒く集落を過ぎると,かや山の家があります。見ると,その名に相応しい人家風の建物です。

  
大虫神社のかわいい狛犬 車道をひたすら登る,登る,登る
大虫神社のかわいい狛犬
車道をひたすら登る,登る,登る

急登にヒィヒィハァハァ

実は,道が急になるのは,これからです。地形図では,ほぼ,直線で高度を稼いでいるので,勾配が大きいのは当然です。かろうじてペダルは回るものの,ヘンに力を入れると前輪が浮き上がります。ハンドルで前輪を押さえつけながら,ヒィヒィハァハァ。先ほどまでの肌寒さは何処へやら。半そででも汗がにじんできます。

薄暗い植林の中をひたすら上ります。小さなカーブが連続し,やがて,木立ちの切れ目からふもとが見えるようになると,かなり上ってきた感じがします。ところが,実は,それほど上ってはいなくて標高250mほど。チョットがっかり。はっきりとした九十九折りの道になると,傾斜は緩やかになり楽チンです。2つ目のコーナー(@)では,「すんがはらの滝」と書かれた標識があります。その入口の林道には,ゲートがありますが,脇を通ることができます。せっかくですから,見物に行きましょう。

林道は,意外なほど高低差がなく,MTBでも楽チンです。ただ,あまり利用する車がないようで,路面が荒れ,雑草も目立ちます。しばらく,行くと,今度は谷に向かって「すんがはらの滝」とあります。標識によると500mとか。谷にきれいなシングルトラックが延び,それを見ただけでも行きたいのはやまやまなれど,滝への往復を考えると…。すんがはらの滝は,次回のお楽しみということで,車道に戻ります。

徐々に高度を稼ぎながら車道はゆるやかに上っていきます。期待していた紅葉は,それほど進んではいず,時おり鮮やかな赤い葉を見ることはありますが,あたり一面というわけではありません。3年前に大江山に来た時は,紅葉の斜面がきれいだった記憶があるのですが,今年は紅葉が少しおくれているのかもしれません。

池ヶ成公園

やがて,前方にキャンプ場が見えてくると,池ヶ成公園(A)です。今日は,2家族とソロのライダーがキャンプ中です。それなりに設備が整い,眺めのいいこのキャンプ場はお勧めです。なんたって,秋の連休真っ只中の今日でさえ,利用しているのは2家族だけというゆったり感がいいですね。

  
池ヶ成公園の絵地図
池ヶ成公園の絵地図

池ケ成公園−蛇紋岩地帯のなだらかな山々−
プロフィール
大江山とは,千丈ヶ嶽(標高832.5m)を中心に,普甲峠から与謝峠の間の10km余りの山塊の総称として使われます。「大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天橋立」と歌に詠まれ,鬼の伝説も残り,丹後丹波の境をなし,古くから山陰道の要衝として知られています。
大江山の地質は,大部分が京都府内では珍しい蛇紋岩帯に属しています。蛇紋岩地帯の山々では,植物の生育が悪く,特別な植物が生えていることが知られています。大江山でも,尾根筋は一面笹で覆われており,樹木の生育は極めて悪いようです。
池ヶ成公園では,大江山の鬼の岩屋付近の北西斜面を利用してつくられた面積45haほどの自然を生かした公園です。近くに加悦青少年山の家もあり,四季を通じて大江山の自然に親しむ格好の場所となっています。

 池ヶ成公園キャンプ場→1.1km(30分)→鬼の岩屋→0.4km(5分)→頂上展望所
観察ポイント1
キャンプ場のある一角は,薪炭林として利用されてきた二次林が放置されて大きな林となっています。この付近は一年を通して野鳥の多いところで,特に春と秋の渡りの時期はにぎやかです。
観察ポイント2
巨大な岩石の間に鬼の岩屋と呼ばれる洞くつがあります。この付近のごつごつした黒褐色色の石は蛇紋岩からできています。
観察ポイント3
頂上展望所からは,加悦谷から宮津湾,丹波山地の山々などが見られます。岩石の多い尾根筋や斜面にはマルバマンサク・ヒュウガミズキ・タンゴグミなどが多く見られ,大江山蛇紋岩植物の代表といわれています。

さて,ここから山道の上りです。その入口にある絵地図を見ると,鬼の岩屋に行くにもいくつかのルートがあるようです。地形図では,鞍部に向かう破線ルートしか表記されていませんが,絵地図によるとキャンプ場の奥からのルートと,山道の途中からのルートもあるようです。さて,どのルートで上りましょうか?キャンプ場の奥からのルートは,ここからは見えにくいというだけの理由で却下。とりあえず,山道を登って考えましょう。

山道の脇には,林道のつぼみがあります。大江山は花の種類が多いのでも有名だそうですが,入口にあった案内板によると「樹木の生育は極めて悪い」だとか。樹木と草花とは生育の条件が違うのかな?山道を進むと,すぐに左手に道が分かれています。見ると,朽ちていはいますが丸太階段があり,遊歩道であることがわかります。ということは,ここが絵地図にあった山道からのルート。行ってみましょう。

  
池ヶ成公園のキャンプ場と大笠山 遊歩道の黄葉
池ヶ成公園のキャンプ場と大笠山
遊歩道の黄葉

遊歩道へ

苔むした湿っぽい遊歩道は,ヒルが出そうです。道は,渡渉になり,崩れかけたパイプの橋があります。こわごわパイプを渡り,さらに進みます。あまり人が歩いているようすはありませんが,ヤブじゃないので助かります。急な丸太階段を上ると,道は尾根と並行するように延びています。色づき始めた木々を見ながら,MTBに乗ったり,押したり。「世界最大級のノリウツギ」なる看板があり,その木を見るものの…。

ノリウツギ
ユキノシタ科の落葉低木。各地に自生。高さ約3m,葉は楕円形で対生または,三輪生。夏,茎頭の大きな円錐花序に,多数の白色粘実性の小花と,アジサイに似た少数の白色大形装飾花をつける。枝が中空なためパイプ・ステッキを作り,樹皮から製紙用の糊をとる。ノリノキ。サビタ。(『広辞苑』より)

明るい斜面を横切るように進みます。MTBに乗れるところが多く,ご機嫌です。やがて,キャンプ場からのルートと合流し,さらに進むと,前方に大笠山が見えてきます。少し色づいた斜面の右手に銀色に光る展望台も見えています。木立ちの間からは,ふもとの田園風景も見えきます。

遊歩道は,そのまま直進と右手に分かれています。絵地図によると,そのまま直進してもいいのですが,遠回りになりそうなので,右手へ。急な上りを上り終えると,稜線上の縦走路(B)に出ます。ここからは,3年前に通った道。丸太階段が出てくると,MTBは担ぎに。3年前は,MTBを階段付近に置いて大笠山に登ったのですが,今日はMTBを持って上がり,大笠山山頂からの下りを楽しみましょう。

  
遊歩道の紅葉 航空管制塔
遊歩道の紅葉
航空管制塔

300度の展望もモヤで…

ランチタイムが過ぎているので,展望台や鬼の岩屋は下りの途中で立ち寄ることにして,大笠山山頂を目指します。丸太階段を上り,山頂手前にある航空管制塔を見ながら,山頂(C)へ。草地の広がる山頂は,見晴らしがいい。残念ながら,モヤのために遠望はききません。空気が澄んでいれば,日本海も見えたことでしょう。

早速,ランチをいただき,食後のコーヒーも。食後は,あたりを探検。山頂を東に回ると,航空管制塔への車道が上がってきています。しかも,この車道は,一般車でも通行できるようです。山頂に戻って,北に延びる境界線沿いの道を探しますが,ササで覆い隠されています。それでも,S田さんは,そのササヤブの中で境界線ルートを発見。ただ,MTBで下れそうにありません。

  
誰もいない大笠山山頂
誰もいない大笠山山頂

階段下りも2拍子で

山頂の探検を終え,下山にかかります。縦走路を鞍部まで下り,少し上り返したところにある破線ルートでふもとまでダウンヒルを楽しむ予定です。まずは,大笠山山頂からの下りです。航空管制塔を左に見ながら,丸太階段まで。丸太階段は,階段の幅が広いので,MTBに乗ったままでもなんとか下ることができます。慣れてくると,前輪と後輪が交互に段差を下る衝撃が2拍子のリズムを刻むのでおもしろい。前回,ここを下らなかったのは,なんとももったいない。

丸太階段の終わりかけに,鬼の岩屋と展望台があります。まずは,鬼の岩屋です。いつものように岩屋に入り,記念撮影。展望台からは展望を楽しみますが,山頂同様,モヤのために遠望はきかず。丸太階段に戻り,ダウンヒルの再開です。階段下りを終え,気持ちよく,ダウンヒルを楽しんでいると,前方からハイカーが出現。本日,初めて出会うハイカーです。このあと,2組のハイカーに出会いましたが,人気スポットの大江山とはいえ,ここまで足を延ばすハイカーは少ないようです。

ラインを選びながら広い山道の下りを楽しみます。あたりの木々は,まだ色づき始めたばかり。時おり,鮮やかな紅葉が見られますが,この稜線あたりでも紅葉には少し早いようです。前方に山小屋が見えると,鞍部です。山小屋の中は,床板がなく,ササが延びています。朽ちただるまストーブがありますが,これで山小屋の役目は果たせるのでしょうか。チョット疑問。

  
鞍部に向かってダウンヒル 山小屋へ
鞍部に向かってダウンヒル
山小屋へ

尾根道へ

この鞍部からは,キャンプ場に下る道がありますが,我々が目指す尾根道は,この鞍部を少し上り返したところです。丸太階段を上ると,道の脇(D)に石碑があります。尾根道は,その脇から延びています。「温江4km」という道標もあります。見ると,道の脇のササは刈り払われ,整備されているようです。これは期待がもてそうです。キャッホーッ!という奇声とともに,ダウンヒルの開始です。期待通り,尾根道はよく整備されていますが,ガレだけはどうしようもない。はねるハンドルを押さえながら,慎重にラインを選び,あるいはそのまま突進してダウンヒルを楽しみます。

  
尾根道から色づき始めた大笠山を見る 楽しおもしろダウンヒル
尾根道から色づき始めた大笠山を見る
楽しおもしろダウンヒル

地形図では,かなりの急な下りが予想された地点も,それほどのことはなく,乗り乗りです。やがて,目の前に広い林道が。???こんな林道は,地形図にはないガヤ。振り返ると,下ってきた山道の入口(E)には「金屋財産区」の標識が立っています。さて,これからどうしましょう。

林道を見ると,このまま尾根を下っていそうなので,この林道を下ることにしましょう。ゆるやかに下る林道は,路面も荒れていないので,車でも通行可能です。おそらく,造林用の林道でしょうが,この林道がどれだけ利用されたのやら。そのためにどれだけの税金が投入されたのやら。どれだけのエネルギーが投入されたのやら。

さてどうする〜?

気分よく下っていると,しだいに道は西に向きを変え,ついには尾根を外れてしまう(F)ことに。これはいけません。尾根を探して,山道に入らなきゃあ。と,あたりをウロウロするものの,それらしい尾根を見つけても,道どころか踏み跡すらありません。ということは,尾根を下るのはあきらめるしかないのかぁ。では,これからどうする〜?このまま林道を下るか,林道を引き返して,おそらく出会うであろうキャンプ場からの下りルートから下るか,それともさらに林道をつき進んで,上ってきた車道からすんがはらの滝経由で下るか。このまま林道を下るのは,おもしろみがないし,下山地点が駐車地点とかなり離れてしまうだろうというということでボツ。とりあえず,林道を引き返しましょう。

この林道もすんがはらの滝の林道同様に,ほとんど高低差がなく,MTBにとっては走りやすい道です。時おり,左手に広がる展望もいいものです。高低差がないということは,それだけ距離が長くなるということ。歩きなら大変だったことでしょう。今日は,MTBの乗車率はかなり高い!

曲がりくねった林道を進み,やがて山道との交差地点(G)へ。さて,これからどうする〜?すんがはらの滝にも未練がありますが,ここから下る破線ルートは距離が長く,しかも適度な斜度で,MTBの乗車率が高そうなので,こちらを選択。やはり,すんがはらの滝は,次回ということで。

極楽谷道ダウンヒル

谷道コースは,出だしこそ急ですが,あとは楽走。極楽ダウンヒルです。たまにあるガレ場や岩場もおもしろい。展望がないだけに途中で止まることもなく,一気のダウンヒルです。写真を撮るヒマもなく,キャッホーッ!一応,熊避けの奇声を発しながら,ダウンヒルは続きます。渡渉ポイントもありますが,問題なし。飽きるほどダウンヒルを楽しみ,とうとう耕作地へ。害獣避け電線のゲートを抜けると,ここにも石碑があります。縦走路にあった石碑と対をなすようですが,道がずれています。縦走路にあったのは,尾根道。ここは谷道の出口です。はてはて???

  
谷道の下りもご機嫌だゼィ! 沢を渡ることも
谷道の下りもご機嫌だゼィ!
沢を渡ることも

耕作地を抜けると,虫本の集落です。あいかわらず,織機がリズミカルな音を奏でています。車をとめた大虫神社はすぐそこ。今日は,MTBの乗車率が高く,きれいな周回コースがとれてよかったですねぇ。さすがは,S田さんです。次回は,是非,すんがはらの滝に行きましょう。

 

出発10:25  池ケ成公園11:30  大笠山12:30〜13:10  山小屋鞍部13:45  下山15:00


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