見所も展望もよし! 鴨川の郷周回 (2007.1.3)


  
P・@〜I
P・@〜I

謎の石柱?

2007年最初のお山行きです。S田さんとあれこれ検討するものの,結局,歩きで行くことに。今日の見所は,婆婆岩です。西脇市と加東市をつなぐしら坂トンネルの上にある岩で,この岩を見た多田繁次さんが「これは数曽寺山塊の一つの奇景,謎の石柱である」と言ったとか。「謎の石柱」というのが,なんとも魅力的です。S田さんによると,しら坂峠からこの婆婆岩までの間は,道がよく,展望もいいそうです。新年早々,これは楽しみです。

車を鴨川の郷の駐車場にとめ,出発。鴨川の郷の施設は,正月休みのようで,駐車場には車はとまっていません。この鴨川の郷は,兵庫県が推進している里山再生事業でできたもののようです。ですから,施設はお休みでも,駐車場は開いているということでしょう。

車道をぶらぶら歩き,上鴨川の集落へ。その集落に入ってすぐの所(@)に,しら坂峠への登り口があります。とはいえ,それらしい標識はありませんが,S田さんは何度か来たことがあるので,すぐに判明。入口には,石の道標と何やらわけのわからない石碑があります。

すぐに落ち葉ザクザクの山道に。少し倒木があったりもしますが,はっきりとした道です。ただし,この山域によく見られる岩尾根なので,落ち葉のすぐ下には滑りやすい岩が隠れています。しかも,その表面はコケでおおわれ,滑りやすいことこの上なし。斜度から見れば,下りだとMTBでも快適に下れるハズですが,おそらくブリップが効かず,滑りまくりでしょう。そんなことを話しながら歩いていても,時々,ズルッ!ズルッ!危にゃあガヤ。

  
しら坂峠 しら坂峠の石像
しら坂峠
しら坂峠の石像

危険な岩尾根を離れ,尾根を巻くように登り始めると,右手に谷が見えます。そして,そのまま徐々に高度を上げ,しら坂峠(A)へ。しら坂峠には,数年前にも,数曽寺山塊縦走時に来たことがあります。その時は,この峠から西脇側に下りました。今日は,その縦走の延長ということになります。

展望良し!

峠には,石像があり,古びた木の道標もあります。さらには,前回はなかった新しい道標も設置されています。その古びた道標によると,婆婆岩までは往復で50分だとか。やはり,近いねぇ。今日のハイライトがここだと,近すぎるかな?でも,道はいいし,展望もいいとくれば,期待大です。

婆婆岩までは,道標があるぐらいですから,多くの人が行っているのでしょう。広くてきれいな尾根道が延びています。その尾根に突然現れた大穴。S田さんは,鉱山跡だろうと推測。こんなところから何を採ったのでしょう。運び出しは,峠まではそれほど距離はないし,峠からは道もあるので大丈夫でしょうが。多田繁次さんがここを歩いた時は,この穴はなかったのでしょうか。

次なる見所は,展望岩です。そのテッペンに立つとちょっとスリルがあります。北に向かっての展望が広がり,眼下にはゴールデンバレーゴルフ場も一望できます。その岩場からの下りには,ロープまで設置されています。ロープを設置するほどの激斜面だとは思えませんが,これも安全第一なのでしょう。

  
眼下に見えるゴールデンバレーゴルフ場
眼下に見えるゴールデンバレーゴルフ場

婆婆岩へ

葉を落とした木立の中を歩きます。暖かい冬の日差しを受けながら,展望が楽しめるこの尾根は,なるほど今日のハイライトかもしれません。その極めつけが婆婆岩(B)です。背の低い木立の中からいきなり天に向かって屹立しているその様は,「謎の石柱」というのにふさわしいものです。なんで,なんで,なんで,こんなところに単独で立っているのでしょう。上から落っこちてきたわけではなさそうだし…,かといってまわりが侵食されてこの岩だけが残ったというふうでもなさそうだし…。やっぱり,誰かが持って来たんだよね。天邪鬼が,天の岩橋を架けるために橋げたとして建てたとかサ…。

  
婆婆岩 その1 婆婆岩 その2
婆婆岩 その1
婆婆岩 その2

婆婆岩由来
前方,しら坂トンネルの山上に高さ5.5m,岩の周り6mの巨岩が約20度鴨川寄りに傾いて,まるで巨大なタケノコが生えたように天に向かって屹立している。これが世に言う御所谷の婆婆岩である。
この近郷では,昔から5月8日の花の日(お釈迦様の誕生日)は,山に入ってはいけないと言われている。
ある日,近在の若者が元気にまかせて,親や村の古老の制止を振り切り御所谷へ入った。しばらくすると,一天,俄かにかき曇り,一陣の風とともに山々の木々が激しく揺れ動いた。
若者がふと山上を見ると,大きなおババが髪を振り乱し,袖を翻して「こっちへ来い,こっちへ来い」と手招きして踊りくるっているではないか。それは巨岩の周りの木々が強風で激しく揺れ動いていたのであるが,若者の眼には,婆婆が踊っているように映ったのである。
若者は這う這うの体で村へ逃げ帰り,三日三晩熱にうなされ「おババが来た。婆婆が踊っとる」とうわごとを言ったという。
それからは,花の日には誰一人として山へ行かなくなり,この岩を御所谷の婆婆岩と称し,今に伝う誠に奇岩である。
                 
平成12年3月吉日    鹿野町有志

この婆婆岩でしばらく写真休憩。下から撮ったり,登ったところを撮ったり。なぜか,S田さんは,テッペンまでは登ろうとしません。せっかくの超展望スリルポイントなのにねぇ。なんで?なんで,なんで?

ランチポイントもいい眺め

婆婆岩で遊んだあとは,縦走の再開です。岩場を過ぎると,やはり,道は悪くなっています。両側から柴が張り出し,顔にビシバシ!痛いガヤ。でも,道はハッキリしているので迷うことはありません。それにしても,こんなところにも,ゴミがあるのはオドロキです。ハイカーが捨てたわけではないでしょうが…。ハンターかなぁ,ハンターがこんな上まで登るかなぁ。こんな稜線でシカを撃つんかなぁ。それとも,松茸ハンターかなぁ。しずれにしても,山でゴミを見ると,やっぱり興ざめですねぇ。

小さなアップダウンを繰り返し,三角点(C)へ。この三角点は,角の欠けていないきれいなものです。ゴミを捨てた輩も,さすがに三角点には手を出さなかったようです。とはいえ,この三角点ピークは,まったく展望がありません。しかも,ゴミが…。こんなところでランチにする気はおこりません。この先の岩場で,展望を楽しみながらランチとしましょう。

三角点から西へ。踏み跡程度の道ですが,ずっと続いています。木立ちの間からは,谷の車道を走る車が見えます。吹き上げてくる風に乗って騒音も聞こえてきます。あれだけ離れているのに,こんなにハッキリと聞こえるなんて,ちょっと不思議な感覚です。不意にS田さんが「ゴルフボール?!」 足元を見ると,ゴルフボールが転がっています。なんで?なんで,なんで?尾根の左右には,ゴルフ場がありますが,まさかそこから打ち上げたものではないでしょう。こんなところまで打ち上げるパワーの持ち主なんて,いるのかねぇ。打っても,OBでしょ。謎のゴルフボールです。う〜ん,今日の山行きは謎が多い!?さすがは,S田さん特選のコースです。

ランチポイントの岩場(D)に着くと,これまた予想通りの展望です。眼下にはゴルフ場と車道が見え,しら坂トンネルも見えます。その稜線上には,ポツンと小さく婆婆岩も見えています。トンネル手前の公園に人影が見えますが,おそらくその人たちからは我々は見えていないでしょう。それにしても,この岩場は,日当たり良好風光明媚,テラス状になっているのでランチをするのに最適です。

縦走断念

ランチを終え,縦走の再開です。一旦,三角点ピークに戻り,西光寺山に続く尾根を北上します。S田さんは,600mピークまで北上し,そこから南東に下り,437.3三角点ピークを経由して下ろうという目論見です。でも,道はあるのでしょうか。それに,これまでのような展望ポイントもあるのでしょうか。ただただ,柴をかき分けるだけなら,意味ないじゃ〜ん。

  
三角点 点名西山ノ北 鴨川の郷に下る
三角点 点名西山ノ北
鴨川の郷に下る

案の定,三角点ピークからも,踏み跡程度の道はありますが,柴がビシバシ。まったく展望は無し。ピークを越えた2つ目の鞍部(E)には,両方にきれいな道があります。正面の尾根には,シダヤブにおおわれた踏み跡のみ。選択の余地はありません。右手の山道を下り,とっとと下山です。この道もS田さんは,以前,通ったことがあるとかで,これまでのコースは,S田さんにとってはまったく新鮮味のないものだったかもしれません。だからというわけでしょうか,鴨川の郷から三角点ピークを周回しようと言い出します。時間は十分ありますが,その三角点ピークに行ってエエことあるんかや?

茸山につき入山禁止   ※入山の場合 百万円以上の罰金を頂きます。  9月10日〜11月15日/受主

  
鴨川ひびきの森案内図
鴨川ひびきの森案内図

遊歩道へ

鴨川の郷に着き,才神池のほとりを通り,万丈峠に向かいます。池から離れると,あたりは落葉樹の森です。サクサク落ち葉のじゅうたんが,里山の冬を演出しています。

コナラの林
このまわりの林には,太くて大きなコナラやアベマキがたくさん生えています。
見上げると,林をおおっている木のほとんどは,このコナラやアベマキです。
これらの木は秋になると一斉に葉を落として冬を過ごす落葉樹です。また,木の種類によってちがう形のどんぐりを秋につけます。
「鴨川ひびきの森」をつくっている林の大部分はアカマツの林ですが,土の養分や水分が豊富な谷や山すそには,このようなコナラの林が広がっています。

里山林と炭焼き
現在のように電気やガスが使われるようになる前は,近くの山で切ってきた薪や木炭が燃料として使われていました。また,山でとれた下草や落ち葉は肥料として利用されていました。
このように,生活のために利用してきた山を里山と呼んでいます。
里山の林では,切った木を焼いて木炭を作っていました。これは,その炭焼き窯のあとです。
「鴨川ひびきの森」には,このような炭焼き窯のあとが,まだほかにもたくさんあります。
この森でも昔はさかんに炭焼きが行われていたのでしょう。

アカマツの林
「鴨川ひびきの森」は,木材や薪をとるために切ったり,肥料にするため落ち葉を集めたり,昔からいろいろと利用されてきました。
このような山では,尾根などの土の養分や水分の少ないところに,アカマツがたくさん生えて林を作っています。
このアカマツの林では,ツツジの仲間がたくさん生えています。
とくにこのあたりではコバノミツバツツジが多く,春先に赤紫色の花をたくさんつけます。
また,モクレンの仲間のタムシバも多く見られ,白い花をたくさんつけます。

  
コナラの森 東屋
コナラの森
東屋

万丈峠(F)からは,キャンプ場に行けるようですが,我々は東屋に向かうのでその逆です。山腹を巻くように付けられた遊歩道は,昔からの作業道ではなく,遊歩道のためにブルで強引に作ったような道です。九十九折りを過ぎ,展望が開けてくると,東屋が見えます。この東屋(G)からは,鴨川の郷が一望でき,その遠く向こうの稜線には婆婆岩がポツンと立っています。南〜西〜北の180度の展望がある東屋ですが,わざわざここまで登ってくる人がいるのかと思いきや,先客が一組,山頂方向からもう一組がやってきます。利用者はいるようです。

さて,どうする?S田さんは,当然のごとく,山頂に向かいます。ゆるやかな上りを登りきると,そこは見事なウバメガシの林です。ベンチがあり,案内板もあります。遊歩道はここでおしまいです。

ウバメガシの林
このまわりの林には,ウバメガシがたくさん生えています。ウバメガシはふつう海沿いの潮風のあたる場所に生える木で,このような海から離れた山の中にたくさん生えているのは,とてもめずらしいことです。
まわりのウバメガシをよく見ると,木の根元からたくさん枝分かれしているのがわかります。
ウバメガシを切ると,切ったところからたくさんの芽が出て伸びるため,このような形になったものです。よい木炭として有名な備長炭はウバメガシを材料にしてつくられます。このあたりでも昔は木炭の材料として,たびたび切られたと思われます。

ウバメガシの林の中には,道らしいものは見当たりません。が,当然のことながら,踏み跡はあります。この踏み跡をたどって三角点ピークに行こうということです。あまり気が進みませんが,三角点には行ってみたい気もするので,踏み跡をたどるハメに。

またもや軽〜くヤブ漕ぎ

地形図では,それほど距離はないだろうと思っていたのですが,意外に遠い。しかも,上空には黒い雲が急速に広がり,しばらくするとポツリ,ポツリと冷たいものが…。雨に打たれ,柴に打たれて,三角点をめざします。小さなアップダウンを繰り返し,やっと三角点(H)へ。ほとんど展望のない三角点には,O柿さんのプレートだけがぶら下がっています。そりゃあ,そうでしょう。こんなところへ来たって,な〜んもいいこと,ありゃせんガヤ。三角点マニアだけの聖地ってところですね。

  
三角点 点名上鴨川 鞍部
三角点 点名上鴨川
鞍部

さあて,鞍部に下って,さっさと鴨川の郷に帰りましょう。ところが,鞍部(I)に着いてビックリ!鞍部へ降りるには,ガケのような法面を下らなければなりません。地形図にある道路は,別荘地のためにつけられたもののようですが,現在はその別荘地自体が閉鎖されているようです。つまり,バブルの残骸です。これまでにも,山の中で別荘地らしいものを見ましたが,その多くは閉鎖されています。そもそも,日本に別荘なんて必要あるのかなぁ。ゆとりある社会から競争社会に戻った今の日本では,別荘に行く時間なんてないでしょう。White-collarExemptioなどといって,果てしなく働かそうというのに,別荘どころか休みをとるのだってむずかしいでしょう。そういえば,昔,「Economic Animal」という言葉がありましよねぇ。こんな廃墟になり果てた別荘予定地を見るたびに,日本という国の薄っぺらさと政治の無責任さを感じてしまいます。…と思うのは,貧乏人のひがみ?

鞍部で廃墟見物をしたあとは,鴨川の郷に向かって谷を下るだけです。最初は踏み跡程度の道も,下るにつれてハッキリとし,やがて山道に。そして,廃林道に。横には,一見きれいに見える水が流れていますが,その源流となる鞍部には,投棄物が多かったので,顔を洗う気にもなれません。

  
つい走っちゃいました
つい走っちゃいました

廃林道も下るにつれて,切れない落ち葉の道に。ここで思わず,MTBに乗ったつもりで爆走してしまいました。きれいな道を見ると,MTBがなきゃあ,走っちゃう。ホント,ビョ〜キですねぇ。やがて,道はせせらぎの道とこもれびの道の二手に分かれています。せせらぎの道には,滝ノシリ池とやらがあるので,それを見物。といったって,冬場の今は,ただの池。

滝ノシリ池の生物
この池にはいろいろな生物がすんでいます。
カワムツやカワヨシノボリといった魚たちが泳いでいるのが見えます。
これらは,池のなかにすむ昆虫やコケを食べていますが,池に落ちた昆虫も食べるので,枯れ枝を池に投げ込んでやると,それをめがけて集まってくることがあります。
池の底には細長い巻貝のカワニナや大きなオオタニシ,池や川にすむエビ類のスジエビなどがすんでいます。
このほかにも,まだたくさんの生物がすんでいます。
岸からそっと観察してみましょう。

最後に,鴨川の郷に出たところに,こんな俳句が。

野の花は  ここにありてぞ美しく  無下に摘む手の  空しかるらん     才の神

 

出発9:30   しら坂峠10:05  婆婆岩10:50  三角点ピーク11:25  ランチタイム11:35〜12:15  鴨川の郷13:00   万丈峠13:15   東屋13:30   三角点ピーク14:05   鴨川の郷14:50


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