山頂は笹の海原 青ヶ丸(2000.11.25)


  
P・@〜D
P・@〜D

いざ,青ヶ丸!

先週の波佐利山から1週間。波佐利山の猛烈な笹薮でバージョンアップした我々は,その勢いで青ヶ丸リベンジに出かけました。昨年の10月に,青ヶ丸登頂を企てましたが,登り口を探すだけで時間がかかってしまい,結局は少し登っただけで時間切れ。次回の登頂を誓って,退却となりました。

その青ヶ丸登頂のチャンスがきました。この時期だと,夏草が枯れ,積雪もなさそうです。しかも天気もまずまず。登頂成功の条件がそろっています。メンバーは,いつもS田さんと,今回のゲストdameちゃんです。登山ルートのない青ヶ丸では,3人寄れば文殊の知恵って場面もありそうです。

山崎でdameちゃんと合流。R29から広留高原に向かいます。広留高原では,まわりに見える山々の黄葉がきれいです。左手に扇ノ山,右手には氷ノ山を眺めながら,そして今日のターゲットである青ヶ丸をチラッと見て,扇ノ山林道に入ります。林道から分岐,扇ノ山登山口のある峠着。峠からは,地形図にはない舗装路を通って,高原野菜の農場に向かいます。舗装路の終点は,畑です。昨年は,入口のゲートが閉まっていたのですが,今日はゲート自体がありません。通りかかった人に聞くと,「もう冬だから」ということです。ついでに,青ヶ丸への登山道のようすを聞くと「どこでも,歩いたところが道だ」とのこと。ということは,道はないということでしょう。

明るい青ヶ丸

農場(P)に車をとめて,準備です。先客の軽トラックが2台とまっています。こちらは,おそらくキノコ採りでしょう。山登りの人が,軽トラックで来ることはないでしょう。畑の中の道を見ると,霜柱ができています。気温は3度ですが,風がないためか,それほど寒くは感じません。この農場から見る扇ノ山は,すぐそこです。もちろん,これから登る青ヶ丸だって,それほど遠くには感じません。頂上部のなだらかな笹原の中に大きな大木が1本。青ヶ丸のシンボルです。多田繁次さんは青ヶ丸を「秘境」と呼んでいましたが,あの明るい山頂からは,秘境のイメージはありません。

準備終了。S田さんは,この日の藪漕ぎに備え,ナタに,すねあてを装着しています。ボクは,カマとGパンです。山登りには,Gパンは不向きといわれているそうですが,この日のような藪漕ぎには,その丈夫な生地が役に立ちそうです。それに,めがねバンドです。これは,藪の中で笹にめがねをはね飛ばされないためです。今回のゲストのdameちゃんは,ふだんの山行きの装備のようです。

やはり,笹薮のカベ

早速,笹薮に突入です。農場の北東角から@への尾根を目指します。歩き始めは,踏み跡がしっかりついていましたが,ほどなく消滅。目の前には,笹薮のカベができています。予想通りです。昨年の記憶がよみがえります。このあたりから,行けども,行けども,笹薮のカベ。右手に見える青ヶ丸が遠く感じられました。でも,ところどころに,大小のブナ,スギがあるので,尾根を見失いことはありません。倒木があれば,その上からルートの確認です。まるで,海面から顔を出しているオットセイのように,笹原の海原からまわりの偵察です。それに,時々は声を出して,お互いに位置を確認しておかないと,はぐれてしまいそうです。

笹薮を平泳ぎのように泳ぎ,@に到着。右手に青ヶ丸を見ながら,Aへの尾根を進みます。さらに笹薮の密度は増し,進むスピードが遅くなります。でも,先週の波佐利山ほどの笹薮ではありません。しかし,青ヶ丸の笹薮は,いつまでも続いているようです。手で笹をかき分け,足で踏みつける。そんなことを繰り返しながら,進みます。時々,笹の先が,顔や首に当たり,イッテェ〜!めがねはバンドをしているのではねとばされることはありませんが,それでもめがねにも笹は容赦なく当たります。ヘルメットをつけているので,頭は大丈夫です。

  
笹の尾根 残雪
笹の尾根
残雪

いきなり,ミスコース

大木の上に登ってはまわりを偵察しながら,ルート確認。コンパスで確認することも大切ですが,実際に自分の目で確認することも大切ですよね。部分的には,笹薮の密度の低いところはあるものの,全体としてはあいかわらず笹薮のカベです。Aからは,少し下りますが,ここでいきなりミスコース!です。やっぱり,下りは要注意です。特に傾斜の急な尾根は,急斜面と同じように見えてしまいます。これでは,例え,登頂に成功しても,下りが心配です。準備のいいS田さんは,赤テープで目印をつけています。

尾根を右手に見つけ,ルートを修正。やはりこのルートは,青ヶ丸を右手に見ながら進むというのが正解のようです。Bのピークに近づきましたが,依然としてルートは青ヶ丸を右手に見ています。いくら進んでも青ヶ丸は近づいてはくれません。青ヶ丸を巻くように尾根がついているので,当然といえば当然なのですが。Bのピークを迂回しながら,青ヶ丸に続く尾根を確認します。見ると,このピークの南から青ヶ丸に続く尾根が派生しているようです。これでようやく青ヶ丸に近づけそうです。

まずはCのピークを目指します。あいかわらず,笹薮のカベです。平泳ぎで笹をかき分け,踏みつけますが,股間にも笹が入ります。これがGパンだからいいものの,スカートだったら傷だらけになるでぇと余計な心配をするのはS田さんです。いくらなんでも,スカートで藪漕ぎはせんやろ?

いよいよ山頂へ

Cのピークからは,尾根は西に向かっています。少し不安に思い,大木に登って確認。間違いはありません。2mの笹薮の中を泳ぐように進んでいると,自分の進むべき方向さえもわからなくなってしまいます。これは,先週の波佐利山で学習したこと。同じ過ちを繰り返さないように,今回は大木の上から目でも確認です。

いよいよ,上り斜面の勾配が急になってきました。ということは,山頂が近づいてきたということですが,この急勾配に笹薮はツライものがあります。笹や立ち木につかまりながら,登ります。見ると,足元には白いものがあります。雪です。先日の雪がまだ残っています。雪がここに少しあるだけなのが,せめてもの救いです。

ヤッタ〜!山頂ダ〜!

  
青ヶ丸山頂の三角点 青ヶ丸山頂にて
青ヶ丸山頂の三角点
青ヶ丸山頂にて

左手を見ると,木立の間からは,鉢伏山が見えます。その麓には,ミカタスノーパークのゲレンデも見えます。初めてのアングルから見る鉢伏山です。傾斜がゆるやかになると,山頂が近くです。でも,あいかわらず笹薮は強烈です。山頂の三角点は見つかるかなぁと思いながら進むと,目の前のわずかな空間の中にぽつんと三角点Dを発見!ついに青ヶ丸登頂!ヤブを漕ぐ?泳ぐ?こと,2時間半。道のりは1.5kmほどだというのに,遠い道のりでした。

が,山頂も笹薮の海原

三角点のまわりは,2m×2mほどの切り開きがあります。そのまわりは,あいかわらず2mほどの笹薮です。立っても笹しか見えません。笹薮に埋没して昼食です。昼食の後は,このピークのシンボルである枯れた大木に登りの行きます。これまた笹をかき分け,前進。近寄ると,とても登れたものではありません。そのすぐ脇の木立に登ります。ここからは,360度の展望です。山頂付近は,一面笹薮で覆われています。その笹薮のかなたには,氷ノ山,鉢伏山,日本海,扇ノ山,東山,三室山などが一望できます。この木立は,絶好の展望木です。

  
笹原の山頂 遠くに氷ノ山 笹原のかなたに扇ノ山
笹原の山頂 遠くに氷ノ山
笹原のかなたに扇ノ山

わかっちゃいるけどミスコース

展望を楽しんだ後は,下山です。といっても,道があるわけではありません。登ってきた道は,笹で覆われ,まったくわかりません。らしき所を下ります。急斜面ですが,下りですので,比較的楽です。が,いつの間にルートが西よりになってしまいました。本来進むべき尾根が右手に見えます。ミスコースです。引き返すのもツライので,小さな谷を渡って,斜面をトラバースです。さほどの労力も必要とせず,正規ルートに復帰。足元には,県境の石柱があります。古い地図には,青ヶ丸から仏ノ尾を経て美方町に下るルートがあります。仏ノ尾の手前のピークまで県境尾根を利用しているのですから,以前もこの石柱のあたりには道があったのでしょう。ところが,笹の繁殖力が強く,人が入らないようになると,すっかり道を覆い尽くしてしまったということのようです。笹,恐るべし!です。

Cのピークからは,S田さんの付けた赤テープを目印に,順調に尾根歩き。とはいっても,あいかわらず,笹薮の中で平泳ぎ状態です。苔むした倒木,朽ちた大木,大きなサルノコシカケも発見。しかし,このルートでの人間の痕跡は,山頂の針金とA付近で見つけたタバコの箱のきれっぱしだけです。今まで登ったどんな山でも,空き缶やペットボトル,ナイロン袋などがありますが,今回はこれだけです。やはり,人が入らないルートなのでしょう。

右手に青ヶ丸を見ながら,高度はしだいに下がっていきます。眼下に農場が見えると,ようやく藪漕ぎの終了が近づきます。笹薮に空間が多くなり,視界が開けると,もう農場です。下りは2時間。ということは,合計4時間半,こんなにも長時間,藪漕ぎをしたのは初めてです。でも,秘境と呼ばれる青ヶ丸。これぐらいの苦労をしないと,秘境の名にふさわしくありません。それにしても,恐ろしいのは下りの尾根です。今日も,その恐ろしさを実感してしまいました。


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