秋晴れの五台山(1999.11.7)


青垣マラソンは丹波高原マラソンと同様,「一粒で二度おいしい」マラソン大会になりました。前回の三嶽は,あまりにもあっけなかったので,今回はもう少し大きな山に行くことにしました。青垣マラソンの会場に近い山。地図を見ると,五台山が目に留まりました。この山なら,時間があれば少しは縦走もできるはずです。しかもこの付近では一番高い山なので,展望も期待できます。五台山に決定!

P〜鴨内峠〜五台山

鴨内峠へ

車は道路脇の休憩所にとめ,MTBの準備です。久しぶりのMTBなので,タイヤの空気もすっかり抜けてしまっています。空気を入れ,飲み物・カメラ・双眼鏡・ウインドブレーカーをリュックに入れて出発です。県道からそれても鴨内の集落の中は2車線です。将来的には,この道が延長され,市島町鴨坂にまで続く計画があるようです。鴨内峠の下にトンネルを通すのでしょうか。村外れの教会まで来ると,道は1車線に変わります。その道は左手の川を越す橋までは続いており,橋からは地道の林道です。その林道もしばらく登ると登山道に変わります。登山道入り口には「五台山登山道」という標識があり,道に迷うことはありません。

いよいよシングルトラックの登山道です。登山道といっても,植林の作業道みたいですが,それほど荒れてはいません。きっと利用者が多いのでしょう。しかし,その道を囲む植林は,最近では手が入っていないらしく,枝は伸び放題,木は倒れ放題。なんだかちょっとさびしいものです。登山道は,いくどとなくスイッチバックを繰り返しながら,高度を上げていきます。当然,登山道入り口からは押しの一手です。でも担ぎがないだけマシです。それに道もきれいなので,のんびり歩けます。

あと少しで鴨内峠というところで,中年夫婦に出会いました。五台山を登り,独鈷の滝に帰るということです。が,しかし,峠から独鈷の滝は行けるのかな?地図も持っていないということです。ボクだって『丹波森の径』の地図だけしか持っていないので,人のことは言えませんが,それでも地図を持たずに知らない道を勘だけで進むなんて,無謀です。鴨内峠からは,道なりに鴨内に出て,香良口から引き返すのがわかりやすそうです。距離にして5kmほど。御夫人は,もううんざりといった感じです。もう少し地図を見て,下調べしておくべきですよね,御主人。

落ち葉の尾根道

中年夫婦と別れて峠に着くと,今度はおばちゃんハイカーのグループに遭遇。これまた,「氷上町はどっち?」「独鈷の滝はどういったらいいの?」なんて,言っています。地図は持ってないのでしょうか。でも,そんなことはヘッチャラという雰囲気です。「MTBで大変やねぇ」「あと1400mほどやで」「でも,道がきついよ」ボクの方が心配されてしまいました。いやはや,パワフルです。

鴨内峠には市島町・氷上町の標識と,五台山への案内もあります。少し古いですが,木のベンチだってあります。道の脇には俳句を書いて札も下がっています。山桜が道の脇に植えられています。五台山への標識も200mごとのカウントダウンです。所々に木の階段がありますが,MTBで下るにはノープロブレムです。登山道の右側は植林帯,左側は自然林帯。市島町側の展望もききます。頂上付近になると植林帯の中を進み,トイレだってあります。でも,おそらく水洗ではないでしょう。もちろんウォッシュレットでもないでしょう。残念ながら。

五台山山頂

青々と澄みきった空のもと,それはなんと広濶な心うつ展望だったろう。右端でひときわ高く均整の取れた山が,その頂稜から谷に向かって,夏山の雪渓のように白い条痕を引くのは,まぎれもなく粟鹿峰である。その山麓の盆地から頭をもたげ,成松へとつづく十九山山塊が700mの高度に似合わぬ魅力的な姿で,佐治川対岸に大きく翼を広げて横たわる。さらにその上に粟鹿峰から南西へ伸びる山脈の三国岳,またに山,千ガ峰などが豊かな残雪にかがやく白い波頭を連ねているのだ。私は躍る胸を押え瞳をすえてその奥を視つめる。そしてやっととらえた。氷ノ山,鉢伏山,妙見山の期待をかけた白銀の姿を。それは大海原のはるかな涯てに浮かんだ小舟のように。

(『兵庫の山やま 総集編』多田繁次)

文殊菩薩像のある五台山山頂

二等三角点のある山頂には,いろいろな標識が立っています。文殊菩薩像まであります。展望は南北に開け,安全山,岩屋山などが見えますが,この日はモヤっていて,あまりわかりません。先客1名,すぐあとに家族連れの到着。どうやらこの近辺では五台山は人気スポットのようです。独鈷の滝からだと2kmほどで登れ,展望がいいからでしょう。木のテラスから南の方の山々を見ていると,ランナーらしきおじさんが到着。ペットボトル一つで軽快です。

この時点ではまだ縦走を考えていたボクは,先を急ぎます。頂上直下の九十九折を下るのですが,どうもスイッチバックは苦手です。ついつい足を着いてしまいます。ドリフトやジャックナイフができるとクリアーできるのでしょうが。山頂から下ると,独鈷の滝への分岐です。直進すると展望所を経て,縦走コースとなります。もちろん,直進です。

さすがの展望所

展望所は,名前のとおり,すばらしい展望です。多紀アルプス,三尾山,遠くに六甲山?,アンテナのある篠ヶ峰,千ヶ峰,粟鹿山など,標識も完備されています。ここからの縦走路を見ると,踏み跡程度で,しかも急勾配です。とてもMTBを乗れそうにありません。と,とたんに縦走計画は消滅。しばらくこの展望所で,見事なパノラマを楽しむことにしました。ほどなく,先ほどのランナーらしきおじさんが到着。すっかり話し込んでしまいました。おじさんも青垣マラソンを走ってきたとのこと。しかもタイムもボクとほとんど同じです。きっとボクが最後の方で抜いた人の一人でしょう。おじさんは100kmにも出ているそうで,村岡の88kmマラソンにも出たそうです。今度は萩往還の250km?を走りたいそうです。しかも,定年後にはMTBで日本を回って,日本中の名山を登りたいのだそうです。そのためにも今鍛えているとのこと。アグレッシブで,夢多きスゴイおじさんです。

快感のダウンヒル

スゴイおじさんが下りたあと,縦走をあきらめたボクは登ってきた道を引き返すことにしました。あの道ならほとんど乗車できるに違いありません。そんな誘惑も,縦走計画消滅の要因の一つであることは確かです。いよいよ山頂から駐車地点までのダウンヒルです。山頂直下のトイレを横目に,植林帯を抜けます。尾根に出ると,道はスイッチバックを繰り返します。左回りはともかく,右回りが強敵です。おとっとっと…危ない!あわやコースアウトです。テクニックがあれば,もっと快適なんでしょうがねぇ。まもなく,鴨内峠に到着。10分ほどです。登りの時間の半分もかかっていません。峠からは,植林帯のスイッチバックです。これまた,おっとっと状態ですが,それでも快適にダウン。

しばらくすると,登山道は林道に,林道は車道に変わり,駐車地点へ。五台山山頂から30分。1時間半をかけて登ったコースも,あっけなく下ってしまいました。ちょっとさびしい気分にもなりますが,それでもひさしぶりのMTBは,やっぱり楽しかったです。今回のマラソンも「一粒で二度おいしい」大会になりました。五台山だけに登るなら,今回のようなピストンもいいでしょうが,独鈷の滝から五台山,鴨内峠という周回コースの方が,見所も多くていいかもしれません。ただし,withMTBの場合ですが。

帰りに岩滝寺に寄ってみました。紅葉にはまだ早かったようですが,雰囲気のいいお寺でした。その手前では,五台山を仰ぎ見ることもできます。時間がなかったので,独鈷の滝に行けなかったのが残念です。


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