ヤブ漕ぎあり,展望なし,波佐利山(2000.11.19)


  
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秋の紅葉が真っ盛りのこの時期,紅葉を見物がてら,音水渓谷に出かけました。音水渓谷は,赤西渓谷とともに紅葉の名所として有名です。先日,発行された『はりまハイキング』にも紹介されています。同書には,音水林道の先の105林班管理歩道を回るようになっていますが,今回はその奥にそびえる波佐利山を目指します。もちろん,この案はS田さんによるものです。なんだか,イヤ〜な予感がします。

―氷ノ山後山那岐山国定公園―

音水渓谷 「山は音水,赤西は谷よ,朝な夕なに雲が立つ」と宍粟民謡に歌われている深山幽谷ですぐれた自然環境です。なかでも音水渓谷は,シオジ,イヌブナ,ミズナラなどの自然林におおわれ,新緑,紅葉など,四季おりおりの美しさは,自然美の極致といわれ多くの人々の憩いの場となっています。

音水鉄山跡

この地域において宝永年間(1704)〜明治32年(1899)まで鉄山の経営がなされていました。当初は約60戸の世帯があり,鉄山で働いて生活していました。金山神社(カナイゴサン)慶応4年当地に鉄山の守護神として祀る。

まずは,音水林道入口の休憩所に車を止め,MTBの準備です。音水林道をMTBで登りながら紅葉を楽しみ,林道終点からは歩きで波佐利山です。いきなりの上り坂に息が切れますが,身体は温まります。この日は,このシーズン一番の冷え込みとかで,気温は10度以下です。もしかすると,氷ノ山は今シーズン初の冠雪ということになったかもしれません。

左手に渓谷を見ながら,登ります。大小の苔むした岩が点在し,その間を透き通った水が流れています。が,紅葉はさかりを過ぎたのか,イマイチです。この渓谷美に赤や黄色の木々があるとさらにきれいだったことでしょう。35年ほど前にこの地を訪れた多田繁次さんは,音水渓谷の美しさを次のように語っています。

ブナ,ミズナラ,カエデなどのもみじ葉を通してふりそそぐ秋の陽ざしが渓流に乱舞して,天国をさまよう気持ちもかくやと思わせる。渓流は,あるときは怒涛のように,あるときは沼のように,ときには飛瀑して真珠の玉を撒き散らしながら,その姿態の限りをくりひろげて走る。さらに水よどむ淵では,漂泊の旅をつづける色とりどりの落葉どもが,あるいは水底に眠り,あるいは水面に浮かんでなにごとかをささやき合っている…。(『兵庫の山やま総集編

清らかな渓流を楽しみながら登ること15分ほどで,明神滝に到着。林道のすぐ脇にあります。高さはそれほど高くはありませんが,水量が多く,2つの水の流れは迫力があります。周りの岩には,苔がびっしり。深山の趣があります。ここでは,写真を撮っている人もいます。この滝に,色とりどりのきれいな紅葉が加わると,もっと絵になったことでしょう。

  
明神滝 山の神
明神滝
山の神

さらに林道を登ります。この林道は,路面がきれいで,普通車でも十分通行可能です。でも,紅葉がさかりを過ぎたこの時期は,予想外に車の通行料が少なく,数台の車に出会っただけです。そして,10分ほど登ると,祠があります。山の斜面の紅葉を楽しみながら,さらに林道を登ります。

15分で,103林班管理歩道に到着。この辺りは,丸太作りの休憩所があり,渓流も近く,ハイキングに最適です。

林木遺伝資源保護林

(目的) 国有林野において生物生態系に係る林木遺伝資源を自然生態系内に広範に保存するために設定したものです。
(対象保存) ブナ,ミズメ,ミズナラ,トチノキ,クリ,モミ その他

橋を渡ると,しだいに谷が深くなり,高度感が増してきます。しだいに天然林より植林の方が多くなり,紅葉はもう楽しめなくなってしまいました。あいかわらず,林道の路面はきれいです。車も少なく,のんびりとMTBで進みます。初めの分岐,栃谷橋からは林道が奥にのびています。林道の先はもう県境尾根でしょう。

さらに進むと,2つ目の分岐です。分岐の方がガードレールがあり,本線のように思えますが,本線は登り続けているはずですし,路面の岩には赤ペンキで矢印があります。登るにつれて,高度が増し,谷がもっとも深くなったところが林道終点(@)です。この林道終点からは,105林班管理歩道があります。1周3時間ということで,今回はパス。

宍粟スギ 林木遺伝資源保護林

(指定経緯)
当地方では,昔数百年間にわたり良質な砂鉄が産出されたことから,森林は,その精錬用木炭の備林となっていた。そのため胸高直径15cm以下程度の広葉樹のみが薪炭材として伐採された。一方この伐採によって天然林(スギ)の伏状・ほう芽が促進され,現在見られるようなスギを主体としたヒノキと広葉樹の混生する天然の林分が出現したといわれている。
この天然スギは,大正末期に当時の署長中山発郎氏が「宍粟スギ」と命名したものである。
往時の頃は,この「宍粟スギ」も音水・赤西国有林内に数千ha程度存在したようであるが,大正初期からの本格的な伐採により,現存するまでになったことから,昭和34年「学術参考保護林」に指定された。さらに平成元年には生態系に係る林木の遺伝資源保護を目的に「林木遺伝資源保護林」として指定された。なお,当国有林103班内には広葉樹の天然林を保護する目的で,他の「林木遺伝資源保護林」の指定地もある。

(特性)
特に峰筋の近くにおいて生育がよい。
枝条に向地湾曲性があり,実生繁殖より伏状成立が容易である。
伏状性及び,ぼう芽性が極めて旺盛なため択伐作業に適している。

(用途)
戦前…酒樽,醤油樽,飯櫃,建築用材
戦後…建築用材,内装材

波佐利山へは,この管理歩道から尾根に上がり,尾根伝いに登ろうという目論見です。早速MTBで突入です。が,当然のことながら,乗車不能。しばらく押していると,尾根に続いていそうな踏み跡を発見。ここから尾根に取り付くことにしました。

盗られるはずもないMTBにカギをして,いざ出発です。踏み跡ははっきりとしていますが,前日の雨のため,路面がドロドロです。急斜面を滑りながらも登り切り,尾根(A)へ。尾根からは,県境尾根が見えます。ここからは,基本的には,尾根を外さなければ,波佐利山に着くはずです。が,道らしきものはなく,踏み跡すら,あるかないかです。

しばらく進むと,しだいに笹薮になってきました。それまでは,踏み跡がなくても,歩けたのですが,この笹薮に入るとあるくことすら難しくなってきました。背丈以上の笹をかき分け,笹の間から尾根を確認しながら進みます。それでも初めは1分3〜5mのペースでしたが,笹の密度が増すとともに1分1mのペースになってしまいました。それでも,S田さん曰く「竹呂山はこんなもんじゃなかった!青ヶ丸もこんなもんじゃない!」なるほど!さすが,藪マニアだけのことはあります。

その猛烈な笹薮の中のところどころに,大杉がたっています。切り倒された大杉の苔むした切り株もあります。宍粟スギといわれるだけのことはあります。でも,こんな山奥にまで来て,大杉を切り倒すなんて,大変だったでしょうねぇ。

あいかわらず,笹薮との格闘は続きますが,左手が植林帯(B)になってきました。これで少しは歩きやすくなります。尾根を確かめながら,植林帯との境界を歩きます。このあたりから,ピークを見ると波佐利山だと口走るようになってきました。が,当然のことながら,そんなに波佐利山は近くにはありません。ヤブを漕いでいると,時間のわりには進まないので,距離感がなくなってくるようです。時間の感覚で考えるので,ずいぶん歩いたように思ってしまいます。これって,恐ろしいことです。

小さなピークのたびにガッカリ。次のあのピークやで,という声もむなしくなってきました。時刻も12時を過ぎ,そろそろランチタイムですが,藪に囲まれてランチとは悲しい。やっぱり,目指す波佐利山山頂でランチといきたいところです。しかし,それ以上に気になるのが時刻です。いつまでも登り続けていると,帰る時間がなくなってしまいます。

  
尾根の木立 波佐利山山頂三角点
尾根の木立
波佐利山山頂三角点

いつまでたっても着かないので,地形図で確認。尾根に,長細いピーク。波佐利山へはまだまだのようです。手前の急斜面にも来ていないようです。植林帯の境界を歩きますが,その植林帯にも笹薮が広がり,またもやヤブ漕ぎです。1分1mのペースで登り,今度こそは波佐利山という期待を胸にピークへ。前を行くS田さんが「山頂や〜!」の声。見ると,三角点(D)があります。まちがいなく波佐利山(1191.6m)です。とうとう登頂。尾根を歩くこと,そしてヤブを漕ぐこと1時間30分。感激です。が,周りを見ると,北方面に少し展望があるだけで,三方は,植林に囲まれ,展望はなし。チョットがっかりです。

時間がそれほどないので,急いでランチです。いつものように,おにぎり弁当に温かいうどんです。S田さんは,冬季限定のやきもちうどんです。山でこの熱々のうどんを食べるようになると,冬です。途中で,大杉の切り株の上から見た三室山は冠雪していました。里はまだ秋ですが,山の上はもう冬です。

おなかがいっぱいになり,温まったところで,下山です。いつもなら,下山は時間短縮できるはずですが,今回はそれはのぞめません。下りでも,あの猛烈な笹薮では,やはり,1分1mだからです。しばらく歩いていると,なんとなく左手の景色がヘンです。あんなに近くに尾根が見えるはずがありません。いつの間にか,ちがう尾根を歩いていたのです。これだから下山は怖い。登りは,ピークを目指せばいいのですし,尾根だって,しだいに集まってくるので,まちがうことは少ないのです。でも,下りは,尾根が分かれているので,知らず知らずのうちにちがう尾根に行ってしまうことがあります。これは,雪の氷ノ山でも経験したことです。なのに…。

それほどの距離を歩いたわけではないので,すぐに引き返し,本来の尾根(C)に戻ります。戻ると,あの猛烈な藪漕ぎの始まりです。しかも,今回は,尾根と斜面を確認しながら漕がなければなりません。切り株の上に立ち,笹薮の上に出て,ピークと尾根の確認です。そして再び,藪漕ぎ。まるで,ときどき水面に上がってくるオットセイです。

この尾根は傾斜があまりないので救われます。これで激上り,激下りだと,体力の消耗が激しくなり,とても山頂までは行けなかったでしょう。獣道のような空間をぬい,笹にボディプレスをしながら進みます。と,しだいに笹薮が少なくなり,植林帯に入りました。当然,歩きやすくなります。なにやら,鉄の仕掛けのようなを発見。何十年も前のもののようです。「来る時には気がつかんかったなぁ」とのんきにしゃべりながら,さらに進むと,ヌタ場のような湿地帯に。?????こんなところはなかったでぇ!見ると,左手の尾根はすぐ近くにあります。本来はもっと遠くにあるはずの県境尾根が,こんなに近くにあるはずはありません。ということは,…,またもやミスコース!左手に見えている尾根こそが,我々が歩いているはずの尾根です。気をつけているはずなのに,藪の中で方向をまちがったようです。ただ,この尾根にマーキングがあったということは,波佐利山へはこの尾根から登っていたのでしょうか。

引き返して,再び尾根(B)へ。もちろん,藪漕ぎは続きます。藪,藪,藪の果てに…ようやく木立が。見たことのある場所です。管理歩道から登ってきた地点(A)に違いありません。島田さんが付けたテープのマーキングもあります。やれやれ,これで藪漕ぎも終了です。あとは急斜面を下って,MTBへ。

  
林道を下る 紅葉の谷をバックに
林道を下る
紅葉の谷をバックに

音水林道を快適に下ること,45分。途中で,写真を撮りながらも,やはりMTBは速い。この林道を歩きで往復するなら,波佐利山はとうてい行けません。もちろん,車で林道の終点まで行き,そこから波佐利山を目指すというのが,時間的にも体力的にもゆとりがあっていいでしょう。その上,もう1週間早ければ,もっときれいな紅葉が楽しめたかもしれません。でも,深山の趣のある波佐利山でした。並みの山登りに飽きた方には,いい山かもしれません。


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