鎌倉山MTB回峰行(2000.1.9)


鎌倉山に決定!

『なつかしの山やま』(多田繁次)を読んでいると,次の一節が気になりました。

鎌倉山の修験道について伺うと,昔は河内町の東から山伝いに北上して十指に余るピークを上り下りしながら,ぐるっと回って鎌倉山へと修験者の回峰行が盛んに行われ,山頂付近には覗岩や鎖場もあり,途中の山中に要所には石仏が祀られ,現在も毎年の正月には地元の有志がその道を登っている,ということであった。

  
P・A〜I
P・A〜I

そこで,早速2万5千分の1の地形図を取り出し,調べることに。な〜るほど!加西市河内町の鎌倉谷をグルッと囲むようにつけられた「修験道」を発見!そこで,等高線を調べることに。等高線については,今までにも何回も痛い目にあってきているので,慎重にならざるを得ません。谷への等高線は混んでいますが,尾根を結ぶ等高線からは,それほどの上り下りもなさそうです。しかも,地元の人が年に何回か歩いているのなら,道は明瞭なはず。石像なんて,興味ないけど,たまにはいいかぁ。それに石像が目印にもなるかもしれないし。ヨッシャ〜!でも,チョット待てよ,鎌倉山から市境への道が地図にはないぞ。まぁ,地図にはないだけでしょう。

そこで,早速「山であそぼっ」のS田氏に連絡。彼は鎌倉山は登ったことがあり,市境から鎌倉山への道はあったということで,一安心。これで日曜日のコースは決定!まずはこのルートの中では一番標高の高い鎌倉山に登り,そこから下り基調で市境をたどるという,回峰行の逆ルートをとることに。S田氏は,ボクが考えたこのルートには懐疑的です。でもこれは無理もありません。ボクの考えたルートで,今までに何回も痛い目をしているのですから。これって学習能力がある証拠?本当にあるんならいっしょに山に行くわけはないよね。

いざ!MTB回峰行

かくして,学習能力のない我々2人は,今にも降り出しそうな空のもと,鎌倉山に向けて出発したのでした。この日は昼から雨ということなので,いつものようにお弁当は買わず,時間のかからないパン類にしました。でも,昼ご飯の時には,やっぱりコーヒーをするのにお湯を沸かしたりしたので,結局同じぐらいの時間がかかりました。ナンノコッチャ!?

普光寺の駐車場(P)に車を停め,MTBの準備です。と,「カ〜ン!」「パ〜ン!」という音が。「ハンターが鉄砲を撃ってるんや」とS田氏はうれしそうに言います。こりゃイカンがや。でも,よ〜く聞いてみると,ゲートボールのボールを打つ音です。S田氏は残念そうです。そんなに撃たれたいんかぁ。

いきなり,最強最悪の修行

MTBで出発。「是より鎌倉山」の石柱(A)で左折。すぐに第1石像発見!「何なさってるんですか〜?」とインタビューするわけにはいきません。でも最初で珍しいので撮影。この石像は,『なつかしの山やま』でも紹介されている石像です。よくもまぁ,こんな上手に彫れるもんだと感心。信心深い山あそ氏はありがたがっています。

ところが,そのありがたい雰囲気を引き裂くように鶏糞の臭いがプ〜ン。少し進んだところに養鶏場があるからです。鶏糞が山と積み上げられていますが,道にもそのオコボレがあるようです。でもここを通らなければ,鎌倉山へは行けません。これも「修行」の一つのようです。いわゆる一つの「臭場(くさいば・においば)」といったところでしょう。ところが,この修行が結果的には一番強烈でした。だって,いつまでたってもMTBから臭いがとれないのですから。MTBを担いだ時には,そりゃもう筆舌に尽くしがたいものがありました。思わぬところに「修行場」があったものです。多田繁次さんもこの「修行」をされたのでしょうか。

修験の聖域

第一の修行場を抜け,道は植林帯に入っていきます。もうこの辺りでは,押しの一手です。でも,逆に下りだと乗車できます。下りた〜い!と思いつつも,下ると再びアノ「修行場」を通らなければならないのでヤメ。足は疲れてきますが,口はあいかわらず元気一杯です。「登るほどに周りの植生は照葉樹に変わり,やがて森森として空をおおい,侵し難い森厳さが漲る」(前掲書)中を,その森厳さを突き破るような大声でしゃべりながらお堂に到着。こら,バチが当るはずやわなぁ。でも人生,バチだらけの我々?にはこたえません。

「森閑とした修験の聖域」(前掲書)であるお堂を見学(探検)したあと,さらに急になる登りを,臭いMTBを担いで「修行」です。息が荒くなりますが,大きく息を吸うとレイの臭いが…プ〜ン。ゴホッ!ゲボッ!MTB回峰も荒行です。多田繁次さんが「私が初め,この山は低い,けれどもただものではない,と想った予感はまさに的中した。驚きと大いなる感銘を受ける」と述べていますが,ボクも「この山は低い,けれどもただものではない」という点では,同感です。感銘は受けませんでしたが。

覗岩,山頂

鶏糞の臭いにむせながら尾根に出ると,覗岩(B)があります。ここからの展望は,今までの臭さを忘れさせるほどの素晴らしさがあります。足元に切れ落ちる岩壁。その向こうには,第一の「修行場」である養鶏場もはっきりと見えます。遠くはかすんでいるため見えにくくなっていますが,加古川の城山や高御位山も見えます。と,横を見ると,S氏が枯れ木を倒しています。危ないやろ〜!ヘタをすると枯れ木もろとも転落するやろ!でも,展望にかけるS氏の意気込みは,他を寄せつけないほどの迫力があります。そしてついには,その枯れ木をへし折り,轟音と共に足元のはるか下に駆逐してしまいました。この「ただものではない」鎌倉山で,神をも恐れぬ暴挙。自然破壊です。やはり,S氏も「ただものではない」バチ当たりものです。

覗岩から数分。待望の鎌倉山山頂(C)です。山頂の表示板はありませんが,「法起大菩薩像」があります。繧繝彫りという芸術的な彫刻だそうです。三等三角点もあります。ところがその「社町の式内社『佐保神社』の祭神がまず,鎌倉の峰へ天降ったといわれる,あらたかな頂上」(前掲書)で,用を足す輩が…。またもや,バチ当たりものです。でも,アンテナだって捨てちゃってるもんね。誰か知らんが,こりゃアカンやろ!

  
山頂の法起大菩薩像 やっぱ尾根道だね
山頂の法起大菩薩像とアンテナ
やっぱ尾根道だね

やっぱMTBは下りだね

さて,いよいよ待望の下りです。北に伸びるシングルトラック(ST)は,期待に違わず快適です。小ピーク(D)に出ると,またもや石像。こうたびたび石像があると,珍しくもありがたくもありません。でも,石像の表情がそれぞれに変化があって楽しいものです。小ピークからはヤブったSTを降り,市境に出ます。やせた尾根からは,笠形山が美しい姿を見せています。でも,高圧線鉄塔がちょっとジャマ。

ここからは関電の巡視路です。巡視路はよく整備されているので,大いに期待できます。快適にSTを楽しみながら,峠(E)へ。ここからは南北にもSTが伸びていますが,今日はパス。東に向かうSTを登ります。ここから459までの登りが始まります。一気に登らず,いくつかのピークを登る感じで,登っていきます。でも巡視路なので押すのも楽です。しかし,ここまで来てもまだMTBは臭います。

臭うMTBを担ぎ上げると,459です。ここからは,下り基調の尾根走行です。しかも,(H)までは巡視路なので,快適です。今までの労働?が報われます。ヤッホーッ!キャッホーッ!(G)手前の分岐は,八千代町へ下るSTに続いています。ここは要チェックです。(H)へのピークを避けて進みかけましたが,調査の結果,ピークへ行くことに。ピークからの下りが極楽と判明したからです。

快適尾根道

ピークへ登ると,ちょうどランチタイムになりました。コーヒーを沸かしながら,パンをほおばります。心配していた天気も,どうにかもちそうです。でも,MTBは依然として強烈な臭いを発しています。麓からは,車の音も聞こえてきます。アンテナを忘れた山あそ氏は,無線機をガーガー鳴らしています。当然のことながら,アンテナがなくて無線がつながらないので,ついにはヤケクソになって?オカリナを吹き始めました。冒し難い森厳さは,すでにもうありません。

  
石像その1 石像その2
石像その1
石像その2

森閑とした修験の聖域を侵し切った我々は,奇声を上げながら再び極楽STを下ります。MTB回峰行の再開です。途中で,カトちゃん顔の石像を写真に撮り,志村ケン顔の石像を出現を期待しつつ,快適にSTを楽しみます。ところが,この快適STは,巡視路の分岐(H)で終了です。左は巡視路,右は尾根道。分岐にも石像があります。こんなに要所,要所にあるとは,道路標識の代わりかいなぁ。

いよいよ回峰行のフィニッシュ

巡視路から分岐した尾根道は,早速倒木の連続です。右手には,白いタフロープの残骸があります。ここは松茸山なのかもしれません。でも,加西の松茸なんて,知らないもんね。タフロープはギアに絡まると厄介です。気をつけながら進んでいると,だんだんシダの繁る尾根道になってしまいました。道も不明瞭ですが,とにかく尾根を外さずに進め!下り基調なので,勢いで進めます。巡視路だったらもっと整備されているのになぁ。

  
倒木,倒木 オシャレな石像
倒木,倒木
オシャレな石像

しだいに南に池が見え始めました。標高が下がっているのです。と同時に,そのことは今回のMTB回峰行の終焉が近づいたことを意味してもいるのです。石像を発見し,まだまだ下ります。途中で小さなピークはありますが,MTBの乗車率は80%ぐらいです。これぐらいの乗車率なら快適です。ところが,尾根の終わりに近づくにつれて,倒木が多くなってきました。あまり人が入っていないのかもしれません。尾根に終わり(I)には石像,さらには祠があります。石像には色が付き,棒?も持っています。オシャレな石像です。ついでに髪の毛を茶パツにしてもいいかも知んないね。耳にはピアス。厚底靴まではいちゃったりして?

鎌倉山MTB回峰行は右回りで

フィニッシュ近くにはお堂があります。お堂から下りると,天理教の教会の横を抜けて,MTB回峰行の終了です。今回は,MTBで行をしながらのツーリングでした。ルートは全くの予想通りで,快適そのものでした。臭場の修行を除いては。このルート,今回の逆周りだと,最初から459(F)までずっと登り。しかも下りはわずか。これじゃあ,MTBを持って登る意味はないでしょ。まるで「雪の虚空蔵山」です。このルートは,右回りが正解。今回は,心配された雨だって降りませんでした。悪運強しといったところでしょうか。さらには,石像の表情が豊かなのも楽しい。信心なんてなくたって,十分に楽しめます。信心があれば,さらにヨシ。MTBお薦めコースです。


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