360°の展望 黒尾山(2000.7.9)


  
P・A〜I
P・A〜I

兵庫県南限の1000m級

梅雨の中休みのこの1週間。日差しは,もうすっかり真夏です。こんな日は,標高の高い山で涼しい風に吹かれたいものです。でも,あまり人の入らない山だと,この時期は夏草と虫,クモの巣で大変です。ということで,今回の山行きは黒尾山です。黒尾山は,宍粟郡一宮町にあり,兵庫県最南の1000m級の山です。以前にこの山に登ったことのあるS田さんによると,山頂には無線中継所跡があり,そこからの展望がスバラシイとのこと。これは,登ってみる価値があります。

長い登山口への道

ということで,黒尾山の東麓の乗取の集落にある八幡神社に駐車(P)。準備を済ませ,MTBで出発です。普門寺を過ぎ,集落を過ぎると,周りは植林帯です。日差しはあるものの,木立の中ということもあり,爽やかです。が,出発地点からずっと登りが続いているので,汗が流れます。ただ,舗装路の登りなので,タイヤがスリップすることがないだけに登りやすい。道の脇の岩場からは清水が湧き出ている所があり,チョッピリ涼を感じます。

行者の山 黒尾山

植林帯の中の林道を15分ほど登ると,道は地道に変わります。しかし,荒れているわけではないので,タイヤはしっかりグリップし,登りやすい道です。出発地点から40分ほど登ったところが,黒尾山登山口(A)です。ここには,案内板と登山証明や感想文を収納した事務机があります。麓の西安積自治会の皆さんが登山道の整備,案内板の設置をされているとか。感想文にもきちんと目を通し,要望事項をチェックしています。地元の人たちの黒尾山への思いが伝わってきます。きっと,黒尾山が「兵庫50山」に選定されたことがきっかけになったのでしょう。

この登山口からは3つのルートがあります。右折し尾根の北をまく不動滝ルート。林道を直進し,途中から尾根を直登する中央稜ルート。同じく林道を直進し,虚空蔵に直登する左俣ルート。3択問題です。案内を見ると,「登りやすい」と不動滝ルートが標示されています。滝もあるということで,不動滝ルートを選択。

登り始めてすぐにMTBは乗車不能に。しばらくすると,滝が現れました。不動滝?と思ったものの,あまりにも距離が短すぎます。無名の滝のようです。九十九折りの道を登ること15分あまり。道はついに,シングルトラックになりました。それまでは,地道ながらも何とか車が1台通れる幅がありました。ここからが登山道です。早速MTBを担ぎ,登ります。左手の沢からは,涼しげな水の音が聞こえてきます。見上げると,広葉樹の緑がきれいです。沢を渡り,しばらくすると不動滝の案内が。

不動滝と不動明王

足場の悪い岩場を渡ると,奥に不動滝(B)が見えます。先ほどの登山口からは750mだそうです。それほど水量は多くありません。左手の大木の根元には,不動明王が祀られています。お酒やお菓子が供えられてあり,今も信仰が厚いようです。奥にももう1本,巨木があります。周りを見回すと,巨岩がいくつもあります。昔の人は,巨木や巨岩を信仰の対象にすることが多かったようなので,それからすると,このあたり一帯は信仰の地という感じです。

不動滝を過ぎると,道はしだいに緩やかになり,尾根を巻くように進みます。ところどころは,MTBでも乗車可ですが,左手は谷なのでチョットこわい。その谷のはるか向こうには,暁晴山をはじめ,雪彦山に続く尾根が見えます。尾根を巻き,水平移動の道を進むと,中央稜に出ます。左手からは,中央稜ルートが登ってきていますが,なぜかロープが張られています。ここには,「虚空蔵195m」の標示あります。急な尾根を,MTBを肩に登ります。と,道の脇に,丸い穴が。しかも,何mかおきにあります。きっと,山頂の無線中継所へ送電していた電柱の跡でしょう。

虚空蔵さん

11時45分。虚空蔵着(C)。まるで人が造ったかのような庇状の巨岩の下に,虚空蔵さんの祠があります。その先には,「6畳敷きの大岩」があります。それほど展望はよくないのですが,座ってみたくなります。下からは,左俣ルートが登ってきています。ここから黒尾山山頂までは460mです。

虚空蔵さんからは尾根を直登です。斜度があり,けっこうキツイ!周りは植林帯です。左手には,鹿よけのネットが現れました。ネットの向こうは,広い笹原です。足元に気をつけながら登っていると,大量の鹿のフンを発見。と同時に,異臭も。足元に気を取られて気がつかなかったのですが,実はこの時,ネットの向こうでは鹿が死んでいたそうです。あとから別の登山グループの人に聞くと,虫がたかっていて,気持ち悪かったとか。ああ〜,見なくてよかった。でも,人間だって,山で遭難すればそんな運命になるんですよね。う〜ん,『死者は還らず』の世界です。

  
虚空蔵さん 黒尾山山頂
虚空蔵さん
黒尾山山頂

黒尾山山頂

最後の階段を登ると,黒尾山山頂(D)です。12時過ぎ着。結局,出発してから2時間あまりで山頂ということになります。広くて,展望のいい,明るい山頂です。登山記念の木碑もたくさんあります。ここでも,昨年や今年になってからの登山が多いようです。ふるさとの山として,地元の多くの人が登り出したのでしょう。山頂には,廃墟となった無線中継所があります。屋上からは,さらに展望がよさそうです。山頂からも展望はいいのですが,西方面が木立にジャマされて見えません。

無線中継所は360°

昼食後は,早速,無線中継所の屋上へ。ところが,2階から屋上へ上がる階段がこわい。一部が木になっており,鉄の部分もさびています。いつ壊れてもおかしくない状態です。そろり,そろりと登り,屋上へ。期待通り,360°の展望です。吹く風も爽やかです。さらに電波塔へ。こちらは,階段がしっかりしているので大丈夫。黒尾山の山頂が1025mということですから,この電波塔の上は1050mといったところでしょうか。西から見ていくと,日名倉山,後山,三室山に植松山。その奥には,かすかに氷ノ山が見えます。その右手には,阿舎利山,一山,その奥には藤無山も見えます。東には,暁晴山,明神山なども見えます。ただ,時期的に遠くが白っぽく見えていますが,それでも見事な展望です。まさに360°の展望です。

  
開けた黒尾山山頂 無線中継所跡
開けた黒尾山山頂
無線中継所跡

山頂で1時間ほど遊んだあとは,待望の下りです。電波中継所の裏手からSTを下ります。思ったほどの斜度もなく,快適に下れます。が,しばらくすると笹原へ。MTBに乗ると,下が見えません。しかたなく,押しで下ります。目の前には,西播の山々が見えています。眼下には,林道があります。新しく作られた林道なので,地形図にはまだのっていません。林道に下りる道を探すのですが,見つかりません。仕方がないので,S田さんの記憶を頼りに下ります。小さな砂防ダム(F)を過ぎると,先ほどの林道の続きに出ます。ここから牧場までは,一気の下りです。

山上の牧場

林道が地道から舗装路に変わると,牧場(G)です。「大国農場」といって,主に乳牛を飼っているそうです。牛舎の下手には,事務所があります。木造2階建ての洋風建築です。庭には,この牧場の創設者らしき人の銅像もあります。残念ながら牧場の人には会えなかったのですが,今も牧場経営をされているようです。

河原山川沿いに林道は続きます。登りですが,緩やかなので,周りの景色を楽しみおしゃべりをしながら,のんびりサイクリングです。川の両側には,ところどころ広くなった草地がありますが,牧草地という感じではありません。現在は,牛を放牧することはないのでしょうか。それでも,広い谷は牧場らしさを感じさせます。こんな所を走っていると,信州の入笠山を思い出してしまいます。入笠山も,高原には牧場が広がり,よく整備された林道が牧場の中を通っています。広々とした景色と爽やかな空気は感動ものでした。

事務所を出ると,この牧場の放牧場へと登って行く。私は初めて来たときからこの谷の源流地帯の,地図が示すゆったりと間隔を広げた等高線の曲線に,未知の憧れを抱いていたのである。そこに牧草地と放牧場が拓かれているのだ。みどりの牧草地と草原が,ゆるやかな起伏をひろびろとくりひろげ,それをとりまく山々は針葉樹の濃緑と,広葉樹林の燃えるような新緑の鮮やかな彩色。広い農道をさけて丘の草原をさまよい歩くとき,あちらで一群,こちらに一群と,肥えた乳牛どもが貪欲に草を喰んでいるのどかな風景。森の中からは小鳥たちが,澄んだ大気をふるわせて流す伴奏の調べ。私たちも草の上にのびのびとねころんで,この甘美な牧歌調にひたらすにはおれない。  『兵庫の山やま 総集編』多田繁次

しゃべりながらサイクリングしていると,いつの間にか分岐(H)です。そのまま道なりに進むと,牧場を周回してしまいます。もちろん,我々は峠を越えてR29の行くのですから左折です。よく見ると,分岐点にダンボールに書いた「小野」という標識があります。左折すると,いよいよ山道かと思うとさにあらず。峠まではすぐでした。途中に夏草の茂っているところはありましたが,山道というものではありません。あっけなく峠着。周りは植林帯に変わり,牧場との境界になっています。あとでわかったことですが,このあたりに珍奇な墓があるそうです。

しばらく探検しても,珍しいものは発見できず,峠を下ることにしました。峠からの下りは,植林帯の中です。植林帯につきものの小枝がたくさん落ちています。この小枝がMTBのスポークやチェーンに絡まると厄介です。気をつけながら下ります。ガレ場もあたりするので,要注意です。

  
大国農場事務所 小野の大トチの木
大国農場事務所
小野の大トチの木

大トチの木

植林帯を抜けると,新しくできた林道に出ます。ここからは,この林道を下るだけです。車が十分に通れるぐらいの広さがあるので,小技は使えませんが,展望がよく,景色を楽しみながら下ることができます。と,ずいぶん下ったと思われるころ,右手に看板を発見。ボクは気にも留めていなかったのですが,S田さんは早速チェックです。見ると,「県指定文化財 小野の大トチの木」とあります。これはやはりチェックです。

谷に降りると,うっそうとした森の中に大トチの木(I)はありました。

県指定文化財 小野の大トチの木
指定年月日 平成3年3月30日    所有者・管理者 小野部落
 トチの木は,果実を食糧にするため,大木が残っていることがあるが,とち餅を作る風習が廃れるとともに伐採され,巨木が少なくなっている。
 この両大トチノ木は,約20m間隔で並んでおり,大きい株は樹高27.5m,小さい株は樹高26.7mでともに樹齢は推定400年とされる。このトチノ木は学術的価値が高いのみでなく,果実を拾うために樹下の雑草は伐り払っており,住民の生活と今もなお深く結びついて大切に保存されている。このことは民俗学的資料としての一面もある。又,ビロウドシダ,オシヤダジデンダ,サジラン(いずれもシダ類の着性が顕著である。)
    平成3年11月   兵庫県教育委員会

この谷川沿いにSTが続いています。きっと,旧道なのでしょう。今は,上に林道ができ,利用者が少なくなっているのかもしれません。

林道に戻り,再び林道ダウンヒルです。車が通らないので,快適です。右手の山の斜面を見ると,見事な植林帯です。1本1本の木が幾何学的な模様を描いています。しだいに標高が下がってくると,本日の山行きのフィナーレです。舗装路に出ると,あとはR29を通って車に帰るだけです。

今日の山行きは,珍しく迷走がなく,思ったほどの担ぎ&押しもなく,なんとなく楽チン山行きといった感じです。人生同様?,山行きにも波乱を求めるS田さんですが,たまにはこんな山行きもいいんじゃないの?


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