阿瀬渓谷・蘇武岳ツアー(1999.5.22)


阿瀬渓谷

P〜阿瀬渓谷〜金山峠〜蘇武岳〜名色スキー場〜廃道

霧の氷ノ山の1週間後。久しぶりに蘇武岳に行きました。前回は金山峠まで車で行き,そこから林道をとおり蘇武岳へ。帰りは反対側の林道を通りました。今回は阿瀬渓谷を上り,金山峠,蘇武岳へと行きます。時間があれば,蘇武岳から三川山へ登ろうという企てもありましたが,のちになってこの企てはとてつもないものと判明しました。

阿瀬渓谷の入り口に駐車し,MTBで渓谷を登ります。しかし,乗車可は最初の1qほどだけです。あとはいつものことながら押しと担ぎです。でも今回は渓流沿いということで,時折涼しい風が吹いてきます。木々の緑も鮮やかです。自然の豊かさを感じつつも,やはりしんどい!金山峠までの中間点に金山廃村があります。

金鉱が採掘されていた当時は,十余の住居と水車を利用した自家発電を持って栄えていたという。今では半壊の家屋が二,三戸と,住居跡とおぼしきところに柿木だけが寂しく生き残り,耕地跡やあたりは草ぼうぼうの哀れな姿である。

S46.5.2(『兵庫の山やま 総集編』多田繁次)

今ではその二,三戸の家屋もなく,崩れかけた小学校の分校跡が唯一の当時の名残になっています。当時は何人の児童が学んだのかわかりませんが,小さな民家のような校舎です。部屋だって2つしかありません。その入り口に「昭和28年入学生寄贈」のオルガンが,これまた朽ちかけています。その当時,オルガンなんて貴重品だったはずです。それを寄贈するなんて,やはり金山はそれなりに栄えていたのでしょう。しかし,その貴重なオルガンも,その役目を終え,今は哀れな姿です。ボクが同じ年に生まれたということもあって,複雑な心境です。

村の真中には,小川がゆったりと流れ,なんとものどかです。でもこれだって,当時の村の生活を考えると,のどかとばかりは言ってはおられなかったことでしょう。厳しい生活環境だったことでしょう。我々のようにたまに来るから「やっぱり自然はいいねぇ」なんて言えるのでしょう。里までは歩いて1時間。冬は積雪のため,歩くことすら大変だったことでしょう。重い荷物だって人力でしょう。今のように宅配便はありませんからねぇ。分校のオルガンだって何人かの人で運び上げたのでしょう。いくら金鉱があるったって,こんな生活はやってらんないよね。

蘇武岳

渓流を数回渡り返し,小さな谷を登るとようやく金山峠です。もうお昼はとっくに過ぎてしまっています。でもこんな砂ぼこりの中でお食事はイヤです。当然,蘇武岳まではお弁当はお預けです。というわけで,林道をフラフラ登ります。金山峠は林道の最低部で,どっちに行っても登らなきゃあいけません。蘇武岳へ続く林道の横を尾根が続き,その尾根をつなぐように熟知者用の登山道が続いています。かなり細かいアップダウンありそうです。自転車だとけっこうツライかも。

林道の途中には展望台があり,そこからは氷ノ山はもちろん,鉢伏山,扇ノ山など県境の山々が見渡せ,林道随一のパノラマが楽しめます。そのパノラマポイントからしばらく行くと「蘇武岳登山口」の標識がひっそりと立てられています。もちろん?そんな小さな標識は見落とし,後ろの島田さんに呼び止められてしまいました。登山口からは山頂は5分程度です。山頂は以前に比べて西側の展望が開け,よりワイドな展望が楽しめます。ここでようやくお弁当です。いつものように食後にはコーヒーをいただきました。少し霞んではいるものの,やはり山はこうでなくっちゃあね。先週のガスの中の氷ノ山が残念です。

食後は,山頂からの激下りに冷や汗を流し,小刻みなアップダウンを繰り返し,名色高原備前山へ。林道にはない,小技が要求される楽しいコースでした。名色高原では前回同様,パラグライダーが青空に浮かんでいます。ああ,パラグライダーもしたいなぁと,いつものように思ってしまうのでした。このあとは,林道を下るのみです。

廃道

今回は蘇武岳の東側の林道の途中から別の林道を降りようというわけです。地図では明記されているのですが,実際にはわからず。入り口を行き過ぎ,谷にわずかに残った残雪で遊んでいると,またしても島田さんがブ〜たれながらやってきました。「行き過ぎや!」やっぱり。大分走ったもんね。でも戻って林道の入り口を見ると,こりゃアカンわ。廃道です。雑草と潅木で,なにやら怪しげな雰囲気です。今回は,廃村に,廃校,そしてこの廃道。なんともよからぬ気配です。「廃人」にはならないようにせにゃならん。

茨の道を進み,藪を突き抜け,沢を渡り,なんとか無事下山。こんな廃道で倒れたって10年経っても発見されそうにありません。この林道だって,開設当初はそれなりに利用価値もあったのかもしれませんが,すぐに廃道になった感じです。きっと予算消化のための林道だったのでしょう。今でも県内には計画中の林道がたくさんあるようです。でもその林道は今でも利用価値があるのでしょうか。これからも利用価値があるのでしょうか。状況がどのように変化しようとも,予算がつけば作るではアカンやろ。と,憤慨しながらも,「せっかく作った林道なんやったら,せめて自転車が通れるぐらいに整備はしてよ」というのは,ダメ?やっぱり?


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