歩きとMTBの千ヶ峰縦走(2000.5.5)


  
P2・1〜10・P1
P2・1〜10・P1

手抜き登山?

日本中がゴールデンウイークで大騒ぎの5月5日。珍しく晴天が続き,初夏の陽気です。行楽地にはたくさんの人たちがくり出しているでしょうが,山はそれほどではないでしょう。しかも今日は,千ヶ峰から飯森山・高坂峠・金蔵山へ縦走です。千ヶ峰は登山者が多いでしょうが,それから先を縦走しようなんていう人は,ほとんどいないでしょう。千ヶ峰から続く優雅な尾根を独占状態です。ただ,下山してから車まで帰るのが大変です。そこで,今回も,氷ノ山に引き続き,2台の車を使うことにしました。まず下山予定地(P1)に車を置き,出発地にもう1台の車で行く。これで下山しからの長〜い舗装路のサイクリングをしなくてすみます。

千ヶ峰の優雅な尾根を見ながら市原コースの出発地点に向かいます。市原から山に入ると,舗装の林道が続いています。高度がみるみる上がっていきます。もし,車が1台だと,下山してから長い距離を走り,その上この長い林道を延々登らなきゃあいけないことになります。これはダメダメ!車で登れるだけ登って,下りは楽チン。ヤッパ,これっしょ!

さっそく担ぎ

いつものように,林道の終点(P2)に車を置き,さっそくMTBを担いで,登山道を登ります。何回登っても,やはりこの登りはシンドイ!が,道の脇を見ると,なにやら看板が。その看板には短文がかかれています。地元の人が書いた文章と限っていないようです。年齢もまちまちです。いったい,この看板は何なのでしょう?光明寺の句碑の道のパクリ?

笠形山・千ヶ峰縦走路完成

歩くこと10分。市原峠(1)に到着。以前は不明瞭だった,北方面への尾根道がきれいに整備されています。笠形山・千ヶ峰・三国ヶ岳の縦走路が整備されているという新聞報道の通りです。またに山へのアプローチも楽になりそうです。

本格的な縦走路が完成 【北播】
 加美町と神崎郡にまたがる東播磨の最高峰、千ケ峰(1005メートル)と八千代町の笠形山(939メートル)を結ぶ縦走路が、このほど完成した。地元の登山グループが雑草や雑木を手分けして刈り取り、3年がかりでルートを切り開いた。北播磨地域では本格的な縦走路があまりないことから、登山愛好者に喜ばれそうだ。(古根川 淳也)
 笠形山で知り合った登山愛好者のグループ「千笠会」が中心となり、「笠形山と千ケ峰の自然を多くの人に楽しんでもらいたい」と開拓を続けてきた。
 作業は三年前、笠形山と千ケ峰のほぼ中間にある高坂峠から笠形山までの約五キロの整備から始まった。同会のメンバー三人が休日ごとに山に入り、尾根筋の草木をせん定ばさみやノコギリを使って切り取った。夏場はマムシが出るので、十月から三月の間に作業を行い、二年かけてこのルートをつくった。
 昨年十月からは同会のメンバー、高砂市春田野町の福岡忠勝さん(49)が千ケ峰から高坂峠まで約七キロのルートの開拓に取りかかった。十一月ごろからは千ケ峰の登山グループ「千ケ峰愛好会」のメンバー約十人も手伝い、二月に縦走路の全面開通にこぎつけた。
 縦走路は千ケ峰を出発し、飯盛山(九〇〇メートル)、高坂峠(五〇〇メートル)、入相山(七八〇メートル)を経て、笠形山に至る約十二キロの道のり。所要時間は約九時間。特に危険な場所もなく、天気が良ければ尾根筋から播磨灘や岡山県との県境、京都の比良山まで一望できるという。
 この十一日には地元四町(加美、八千代、市川、神崎の各町)で構成する「笠形山・千ケ峰グリーンクリエイト協会」の協力で、千ケ峰山頂に縦走路の案内板も設置した。二十九日の千ケ峰山開きでは、訪れた人に同山系の地図を配る予定。
 千ケ峰愛好会は氷上郡青垣町との境界にある三国岳に向けたルートも開拓中で、縦走路をさらに延ばす。福岡さんは「将来は高坂峠に山小屋を建て、本格的な縦走路にしたい。人が通らないと道が荒れてしまうので、多くの人にこのルートを歩いてもらい、自然を楽しんでいただきたい」と話している。

すばらしい尾根道の展望

この市原峠からは,千ヶ峰山頂までは約2kmです。ここからは尾根道になり,部分的にはMTBの乗車が可能です。が,それ以上に楽しみなのが,尾根からの展望です。東方面には,市原の集落が見え,その向こうには先日縦走した篠ヶ峰,岩屋山などの山並みが続いています。見事な展望です。尾根道の乗車率は,30%というところでしょうか。今回は,歩きのお二人とMTBの4人の混成登山です。歩きが速いか,MTBが速いか。それは乗車率しだいというところです。MTBの乗車可能の箇所になると,当然MTBの方が速いのですが,道草をしているとすぐに追いつかれます。だからといって,道草をしないわけにはいきません。展望も楽しみたいし,休憩もしたいし,写真も写したい。これが歩きだと,歩きながらできるから道草の必要はありません。どっちが速いということはなさそうです。

360度の展望の山頂

尾根道から千ヶ峰山頂が見えると, 最後の一頑張りです。登り始めて1時間で山頂(2)です。山頂には,人の姿があります。GWなので,たくさんの登山者があるかと思うと,いつもの日曜日ぐらいの人数です。MTBでも迷惑になりそうにはありません。ヨカッタ,ヨカッタ。いつものことながら,山頂から見事な展望が広がっています。この日は,春霞でそれほど遠くまでは見えませんでしたが,それでも360度の展望は素晴らしいものです。

ススキとクマササの狭い頂上は,中部兵庫に位置する好条件が360度のすばらしい展望をたのしませる。笠形山は手が届きそうだし,その向こうから北へ峰山高原に続いて段ヶ峰山群,その波の上に氷ノ山の巨体が厳然と浮かんで見える。さらに南但から丹波への山群,そして南西の涯ヘ目を向けると,薄紫色に長々と連亘するのが懐しい六甲山系である。なお南はるかに播磨灘の銀波が視界に入れば,その日は最高の展望に恵まれたといえよう。(『兵庫の山やま 総集編』多田繁次)

山頂では,昨秋以来の再会となるご夫婦やS田さんの無線仲間にもお会いしました。この山頂には,縦走路の案内もあり,見ると,笠形山・千ヶ峰の略図とプロフィールマップが書かれています。これだけ案内板がしっかりしていると,縦走路を歩く人も増えることでしょう。

  
千ヶ峰山頂 雨乞岩
千ヶ峰山頂
雨乞岩

縦走開始

いよいよこれから,縦走路です。右手には植林帯,左手は雑木林。その雑木の間からは,麓の村や篠ヶ峰などの山々が見えます。道は,予想以上に踏み固められ,MTBで走るのには no problem です。目印の赤テープもいたるところに付けられ,迷うこともありません。一つ目の分岐は,岩座神への下山道です。

急な上りを登ると986です。ここからは,千ヶ峰を望むことができます。今まで何回も千ヶ峰に来たことがありますが,このアングルからの千ヶ峰は初めてです。986の少し先には雨乞岩があります。昔のこの岩の上で,踊って雨乞いをしたのでしょう。今,同じことをすると,きっとアヤシイ宗教に間違えられ,警察に通報されることでしょう。

このあたりから傾斜がゆるやかになり,サイクリング気分です。笹も刈り払われ,左手には,先日縦走した篠ヶ峰・岩屋山・カザシ・延命寺山が望めます。二つ目の分岐(3)は,地図上にもある岩座神への下山道です。分岐付近には,赤テープがのれん状態で下がっています。こんなにテープを付けないと迷うのかなぁ。しかも,この縦走路のポイントには新しいプレートも完備しているのに。でも,これだけ整備してくれた労力にも頭が下がります。

歩きとMTBのスピードは?

さらに稜線上のサイクリングは続きます。とはいっても,あいかわらず道草をしたりしているので,歩きのお二人とすぐご一緒してしまいます。どうやら,歩きとMTBの進む速さはそれほど変わらないようです。ここに来るまでは,両方の速さがあまり違うと別行動になってしまうなぁとか,もしかしたらヤブ漕ぎもあれば歩きの方が速いかなぁとか,S田さんと話していたのですが,その心配はまったくありません。むしろ,MTBの我々の方が「ということは,このMTBは何の意味があるネン!?」

834(4)で昼食です。展望はありませんが,謎の分岐があります。その先には,満開のつつじがあります。初夏の日差しを浴びながら,さっそく湯を沸かし,いつもの弁当&汁物です。もちろん,食後のコーヒーも欠かせません。S田さんは,今回はお餅は持って来なかったようです。せっかく今まで続いた「力○○シリーズ」が,今回は欠番です。残念なことです。

昼食後も稜線サイクリングが続きます。793のピークからは傾斜が急になり,常人は乗車不能となりましたが,S田さんは得意のダッチロールで果敢に下っていきます。さすがです。目の前には,新しい鉄塔を作る工事をしています。東の尾根の678付近でも大規模な鉄塔工事をしています。この鉄塔工事は,先日の篠ヶ峰縦走の際に見た鉄塔工事につながるもので,岡山県と能勢をつなぐ大規模なもののようです。ふだん,当たり前のように使っている電気も,こうやって安定供給されているのだと思うとムダにはできません。と思いつつ,PCを使ってこの文章を打っているのですから,困ったものです。

劇的?に整備された縦走路

右手,西方面には,神崎町の山々が見えます。それまでは,西方面は植林帯で展望がなかっただけに,新鮮です。急な下りを下ると,多田坂(5)に出ます。ここは,神崎町と加美町,それぞれへ続く道の分岐になっています。縦走路が整備されたので,この分岐から千ヶ峰に登る人もいるようです。ちなみにS田さんは,以前,この分岐から飯森山に登ったそうですが,その当時は道は不明瞭で,歩くだけでも大変だったそうです。ですから,縦走路が整備された今の道には,しきりに感激しています。が,我々にはその感激の意味は,当然わかりません。

  
稜線上のサイクリング 飯森山山頂
稜線上のサイクリング
飯森山山頂

多田坂から飯森山へは,登りあるのみです。あいかわらず,植林帯と自然林の境界を進んでいます。植林帯はひのきの香りがすがすがしいですが,一年中,その様子はほとんど変わりません。それに対して,自然林は四季それぞれに変化があっていいものです。今日は,やわらかな新緑が鮮やかです。つつじをはじめとして,白や黄色の花が咲いています。名前がわからないのが残念です。

今日一番の激上り

伐採地に出ると,神崎町方面の展望がますます開けてきます。1000m未満のさほど高くない山々が連なり,その麓には越知川が流れています。のどかな景色ですが,その展望とは逆に,目の前には激上りがそびえています。伐採地の上りを過ぎても,激上りは続きます。飯森山直下の激上りです。やれやれ飯森山山頂(6)です。山頂には三角点があります。標高900.7m。赤テープに混じって,標識がいくつか下がっています。見ると,アノ「MTB登山 O柿プレート」も下がっています。なんとまぁ,こんな山にも登ったんかいなぁ。少し年月が経っているようなので,この縦走路が整備されていない時期に登ったのでしょう。絶句です。

飯森山からは,地図上では大きな上りはありません。下り基調なので,MTBの本領発揮といったところです。ところどころある激下りに歓声を上げて下っていくのは,S田さんです。I本さんもT巳さんも続きます。常人のボクは,そんな危険なことはしません。が,途中で,木にハンドルがぶつかり転倒!やれやれ。

高い乗車率

高坂峠までは,ほとんど乗車可能です。途中の731(7)のピークからは,新旧の高坂峠が一望できます。南には,笠形山へ続く稜線も見えています。笠形山への縦走は,まだまだ続きます。起伏も今まで以上にあるようです。これを1日で行くというのは,至難の業です。でも,歩きで千ヶ峰から笠形山まで8時間で行った人たちがいるとか。現代の「カト文」と呼ばせていただきましょう。

あいかわらずの植林帯の中の薄暗い道ですが,ひのきの香りに包まれながら快適に走ります。と,高圧線鉄塔が出現。旧道の高坂峠はすぐそこです。峠への出口には,レイの「火の用心」があります。久しぶりの高坂峠旧道(8)です。10数年前は,よくここまでロードで来たものです。その当時は,こんな道があることすら知りませんでした。縦走路は,舗装路を横切って続いていますが,今日は行きません。行けません。

峠から少し下ったところに,松ヶ井の水があります。すっかり水がなくなってしまった我々は,ここで給水です。新道の高坂トンネル付近にも松ヶ井の水が湧き出ていますが,本家は旧道にあるこちらの方です。ただし,水量は少なく,車で来るにしても時間がかかります。でも,ここも水を汲みに来る人が絶えません。これだと,高坂トンネルの別館松ヶ井の水は,すごい行列でしょう。屋台も出て,大賑わいでしょう。

給水を終え,歩きのお二人とはここでお別れです。これから先の金蔵寺への道は林道ですので,歩いても楽しくありません。しかも,距離が長いので,なおツライ。ここは,旧道を下り,P1に向かう方がいいとの結論です。

  
植林帯の道 金蔵寺
植林帯の道
金蔵寺

金蔵寺へ

金蔵寺にむかう我々MTBは,峠に引き返し,林道に入ります。林道は広いのですが,砂利で走りにくいことこの上なしです。林道は,広域林道につながっています。広域林道に入り,少し引き返すと,金蔵寺に続く尾根が見えます。切通しの脇の木の階段(9)を登り,尾根を登り,あとは下るだけです。途中には,西国47?ヵ所の祠ができています。新しくできたようで,道もプルドーザーで削ったばかりといった感じです。お寺も,新規事業の開拓に余念がないようです。

大きな杉の古木(10)を眺め,参道を下ります。途中で,旧参道に入ります。この道も,ブルドーザーで拡張したような道です。途中には,祠や休憩所があったり,行場道への分岐もあります。スイッチバックを繰り返しながら,高度はしだいに下がっていきます。ようやく,集落が見え始めると,長かった縦走の終わりです。

所要時間6時間。ちょうどいい時間です。でも,笠形山への縦走は,これだけではすまないでしょう。あと2時間ほどはかかるような感じです。早朝から千ヶ峰に登り始めて,夕方に笠形山を下りるといったところでしょうか。高坂峠に山小屋ができるということですが,その必要性も納得できます。しかも,千ヶ峰から北へ,またに山・三国峠・三国岳へと縦走路は続く計画だそうですから,これはとうてい1日では無理です。2泊3日は必要かもしれません。そうなると,もう1ヶ所山小屋が必要です。どこかに作るのでしょうか。

初夏の陽気の中,登山者にほとんど出合うこともなく,楽しい山歩きwithMTBでした。今回のような縦走なら,車を2台使う方法が楽です。でも,これに慣れると,楽をすることを覚えて,いつも手抜き登山になってしまいそうです。イカン,イカン。


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